端的に言えば「空即是色」の意味は「実体がないことが本当であるということ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「空即是色」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/やぎしち
雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。
「空即是色」の意味は?
「空即是色」には、次のような意味があります。
仏語。一切の存在は現象であって空であるが、その空であることが体得されると、その現象としての存在がそのまま実在であるとわかるということ。「般若心経(はんにゃしんぎょう)」には「色即是空、空即是色」とある。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「空即是色」
区切り方は「空、即是、色」で読み方は「空、すなわちこれ、色(なり)」となります。
直訳すると、「空=実体のないということによって、色=物質や現象世界が成り立つ」ということ。難しい言葉ですね。
「空」も「色」も、どちらも仏教で使われる言葉で、「空」は「くう、から、むなしい」とも読むように、実体がないもののこと。
「色」は、非常に簡単に言えば、物質的存在のすべてのこと。時間が経てば、人も物も全て変化し、最後には全て消滅しますね。その移り変わるさまを、「色」と表現したのかもしれません。
「世の中で不変でないものはなく、その無常であるということこそが本質なのだ」という根本真理を説いています。
詳しくは語源の項でご紹介しますが、これは「色即是空、空即是色(しきそくぜくう、くうそくぜしき)」とセットの考え方です。
「色即是空」と対の意味になる言葉ですので、まずは混同しないよう注意しましょう。
「空即是色」の語源は?
次に「空即是色」の語源を確認しておきましょう。
この言葉はもともと『般若心経』に見られる言葉。『般若心経』とは、大乗仏教の本質的なことが記されている経典です。
その中で「色即是空 空即是色」と述べられており、その意味は「この世全てのものは実体がなく」だからこそ「実体のないものが縁によって、意味があるのものになっている」というもの。
物質は全て移り変わり消滅するのだから、実体がないといえる。だけれど、その実体のなさというものも、人や物との様々な縁があることによってわかるものなのだから、大切にして日々を過ごしなさい。という教えになります。
大変難しい言葉ですが、何となくイメージはつくでしょうか。このように、前半の「色即是空」があってこそ成り立つ「空即是色」というわけです。語源を知ることで理解しやすくなる四字熟語といえるでしょう。
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