流れが非常にゆっくりな川と速く流れる川を想像してみよう。流れ方が違うように見える。流れが遅い場合特に波打つことなく真っ直ぐ流れていくが、流れが速いと波打って何となく乱れて流れている。

そんな流れの状態を数字で表せるのがレイノルズ数。元ポンプ設計者のR175と解説していきます。

ライター/R175

関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の高校理科の教員免許も持っている。エンジニアの経験があり、教科書の内容に終わらず実際の現象と関連付けて説明するの得意。

1.流れ方の種類

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流体が流れる時どんな風に流れるでしょうか?一様にスライドしていくでしょうか?川の流れを見ている限りそうは思えませんね。何となく波打っていて乱れながらように見えますね。

流れが一様な時と乱れる時

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流体が一様に流れているのはどんなパターンか?いくつかパターンが考えられますね。

1つは流れが非常にゆっくりな場合。例えば、田んぼに張ってある水がわずかに流れている時。

あとは、粘度が高い流体が流れる場合。例えば、たこ焼きの生地とホットケーキの生地を流し込む時を想像してみましょう。たこ焼きの生地は割としゃばしゃばにするのが一般的ですね。流し込む時、渦を巻きながら落ちていくような、何となく乱れた状態になると思います。一方、ホットケーキの生地は割とどろどろ状態にするのが一般的。流し込む時もドロッと一様に流れていいき、たこ焼き生地のように渦を巻いて乱れながら落ちていくのは想像つきにくいですね。

なぜ一様でない?

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一様でなくなってしまう理由。たこ焼き生地のところで少し言及した「」が原因です。渦の発生原因はいくつかあり、全て解明されているわけではありませんが、この記事では、流速の違いによって渦が発生する例を見ていきます。

流速分布

流速分布

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円形の管の中を流れる水を例に渦の発生について述べていきましょう。水は基本的に一様に同じ速度でスライドするように流れようとしますが、流れやすさの違いからどうしても速度分布がて来てしまいます。管の壁に接している部分は摩擦を受けて流れにくく、真ん中が一番流れやすい。イラストのような速度分布が出来てしまいます。

渦の発生

渦とは流体粒子が回転している状態。流体中で「質的」に異なったモノが接触すると渦が発生すると言われています。例えば、固体と液体、液体と気体、熱いと冷たい、遅いと速い、重いと軽いなど。管内の流体流れにて速度分布があることを述べました。速く流れる流体と遅く流れる流体が接触しているため少なからず渦発生の要因になりますね。

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コリオリの力による渦発生

コリオリの力による渦発生

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コリオリの力によって渦が発生するという考え方もあります。コリオリの力については、イラストを参照下さい。速度差がある状態でモノをやり取りをすると左右にズレるという現象。台風の渦が発生する原因はこれです。

円管内の流れにおいて、真ん中が壁側より流れやすいため、壁側の流体が真ん中に移動しようとします。流れに垂直な方向への移動速度差がある状態でこのような移動をした時、コリオリの力により左右にズレて渦発生の原因となりますね。

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2.層流と乱流

最初に述べておきますが、乱流と層流の明確な区別はありません。こうなれば層流、こうなれば乱流という基準はありません。とはいえ、乱流と層流は流れの性質が違いすぎるため、ざっくりどちらの性質が強いかは把握しておきたいもの。

前述の「一様に」流れている状態が層流を作って乱れながら流れている状態が乱流という用語で表現されます。因みに、日常で見かけるのはほぼ乱流の方でしょう。川の水も水道水もペットボトルからコップに注ぐ時の飲料も皆「乱れながら」流れていますね。層流は逆にレアで、マヨネーズやホットケーキの生地など非常に粘りっこいモノをゆっくり流した時に見られる性質。

3.層流or乱流に影響する因子

層流の性質or乱流の性質がどちらが支配的なのか。これを決める要因が決まっています。前述の通り、流速と粘度も影響しますが他にもあるもの。一つずつ見ていきましょう。

\次のページで「流速」を解説!/

流速

基本的に流れが速いほど管内での流速差が激しくなりが起きやすくなるもの。つまりは乱流になりやすいことが想像できますね。水道水もゆっくり流すと一様に真っ直ぐ流れ出て来ますが、速く流せば流すほと流れが乱れやすいですね。

粘度

先ほどの例だと、粘度低めのたこ焼きの生地は粘度高めのホットケーキの生地より乱流になりやすいことを述べました。たこ焼き生地とホットケーキの生地、同じ速度で流せたとしましょう。ホットケーキは割と豪快に速めの速度で流しても流れが乱れにくい。一方たこ焼きの生地は、ゆっくり慎重に流してもその割には流れが乱れやすい。

マヨネーズとウスターソースでも同じですね。マヨネーズは粘度が高いため、割と勢いよく噴射してもあまり流れが乱れず、一様に流れてきますね。粘度が高い方が力学的に安定していて流れが乱れにくいです。

配管の断面積

細い管と太い管、どちらが渦が起きやすいか?太い方が、壁近辺の流れにくい部分と真ん中の方の流れやすいところの速度差が激しい。加えて、太い方が渦が発生出来るスペースが多い。よって、太い管の方が乱流になりやすいということ。

注射器のように細い管から出てくる流体が渦巻いて乱流になるのはあまり想像できないですね。

流体密度

こちらは直感的には分かりにくいですが。流体の密度が高い=重いわけで、それだけ流体の運動エネルギーが大きいわけです。層流と乱流を決める1つの考え方として、運動エネルギーによって流れが乱れていく因子と粘性で乱れを抑える因子のどちらが強いかというものがあります。流体が重いほど運動エネルギーが大きくなるため、流れが乱れやすくなるのです。

4.レイノルズ数

乱流性質が強いか層流の性質が強いか。明確な基準はありませんが、ある程度数字で判断する方法がります。レイノルズ数という数値を使用した判定です。

前述の通り乱流、層流に関係するパラメータは流体の速度、粘度、配管断面積、流体密度。レイノルズ数にはこれらのパラメータが考慮された定義。

分子は「運動エネルギー」の大きさを表し、分母は「粘性」を表すもの。運動エネルギーが大きいほど、粘性が小さいほどレイノルズ数は大きくなります。しゃばしゃばな流体を勢いよく流すと流れが乱れやすく、ドロドロの流体をゆっくり流すと流れが乱れにくいのは想像される通りですね。

数値による判定

レイノルズ数の計算結果が2000程度までなら層流、2000~4000程度の範囲なら層流と乱流どちらの特性も持つ遷移領域、4000以上程度なら乱流と推定されることが多いです。ただし正確な決まりはありません。

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数値によってざっくり判断

層流一様な流れで、乱流は渦が発生し乱れた状態の流れ。渦が発生しやすい要因は速度が速い、粘度が低い、管が太いなど。ざっくり言うと、しゃばしゃばな流体を太い管に速く流すほど乱流になり、ドロドロの流体を細い管にゆっくり流すほど層流になる傾向。

これら流速、粘度、菅の太さを考慮された「レイノルズ数」が乱流、層流の判定に使われます。レイノルズ数が2000程度までなら層流、2000~4000程度の範囲なら層流と乱流どちらの特性も持つ遷移領域、4000以上程度なら乱流と推定されることが多いですが、正確な決まりはありません。

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流体力学物理理科

流れの様子を数字で表せる「レイノルズ数」を元ポンプ設計者がわかりやすく解説

流れが非常にゆっくりな川と速く流れる川を想像してみよう。流れ方が違うように見える。流れが遅い場合特に波打つことなく真っ直ぐ流れていくが、流れが速いと波打って何となく乱れて流れている。

そんな流れの状態を数字で表せるのがレイノルズ数。元ポンプ設計者のR175と解説していきます。

ライター/R175

関西のとある国立大の理系出身。学生時代は物理が得意で理科の高校理科の教員免許も持っている。エンジニアの経験があり、教科書の内容に終わらず実際の現象と関連付けて説明するの得意。

1.流れ方の種類

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流体が流れる時どんな風に流れるでしょうか?一様にスライドしていくでしょうか?川の流れを見ている限りそうは思えませんね。何となく波打っていて乱れながらように見えますね。

流れが一様な時と乱れる時

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流体が一様に流れているのはどんなパターンか?いくつかパターンが考えられますね。

1つは流れが非常にゆっくりな場合。例えば、田んぼに張ってある水がわずかに流れている時。

あとは、粘度が高い流体が流れる場合。例えば、たこ焼きの生地とホットケーキの生地を流し込む時を想像してみましょう。たこ焼きの生地は割としゃばしゃばにするのが一般的ですね。流し込む時、渦を巻きながら落ちていくような、何となく乱れた状態になると思います。一方、ホットケーキの生地は割とどろどろ状態にするのが一般的。流し込む時もドロッと一様に流れていいき、たこ焼き生地のように渦を巻いて乱れながら落ちていくのは想像つきにくいですね。

なぜ一様でない?

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一様でなくなってしまう理由。たこ焼き生地のところで少し言及した「」が原因です。渦の発生原因はいくつかあり、全て解明されているわけではありませんが、この記事では、流速の違いによって渦が発生する例を見ていきます。

流速分布

流速分布

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円形の管の中を流れる水を例に渦の発生について述べていきましょう。水は基本的に一様に同じ速度でスライドするように流れようとしますが、流れやすさの違いからどうしても速度分布がて来てしまいます。管の壁に接している部分は摩擦を受けて流れにくく、真ん中が一番流れやすい。イラストのような速度分布が出来てしまいます。

渦の発生

渦とは流体粒子が回転している状態。流体中で「質的」に異なったモノが接触すると渦が発生すると言われています。例えば、固体と液体、液体と気体、熱いと冷たい、遅いと速い、重いと軽いなど。管内の流体流れにて速度分布があることを述べました。速く流れる流体と遅く流れる流体が接触しているため少なからず渦発生の要因になりますね。

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