この記事では「千篇一律」について解説する。

端的に言えば千篇一律の意味は「芸術作品などが、どれも変わりばえせず同じであること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「千篇一律」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「千篇一律」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「千篇一律(せんぺんいちりつ)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「千篇一律」の意味は?

「千篇一律」には、次のような意味があります。

[名・形動]多くの詩がいずれも同じ調子で変化のないこと。転じて、多くの物事がみな同じ調子で、おもしろみのないこと。また、そのさま。「千篇一律な(の)正月映画」

出典:大辞泉(小学館)「千篇一律」

作られた多くの文章や芸術作品などが、どれも同じ調子や体裁で変わりばえのしないこと。転じて、どのようなことでも機械的に一つのマニュアルに従って処理して、融通がきかないこと。また、平凡で何の特徴もないこと。▽「千篇」は数多くの詩文のこと。「一律」はすべて同じ調子で変化がないこと。「篇」は「編」とも書く。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「千篇一律」

「千篇一律」とは、ほとんどが同じような調子で変化に乏しく、面白みのないことを表す四字熟語です。本来は芸術作品(詩文など)に向けた言葉でしたが、現在ではより幅広い物事や話し方などに対して用いられています。

内容に変化や起伏がなく、非常に単調でつまらない状態が「千篇一律」です。さらには、一定の形式や型から抜け出せず、融通のきかない様子であるともいえます。「単調」と言い換えるとイメージしやすいかもしれませんね。

書く際には漢字に注意しましょう。「千遍(千回・千度のこと)」や「一率」は誤りです。ただし「千編」と書かれることがあり、こちらは正しい書き換えとなります。

「千篇一律」の語源は?

次に「千篇一律」の語源を確認しておきましょう。

\次のページで「「千篇一律」の使い方・例文」を解説!/

千篇
・たくさんの詩篇(詩集)や作品のこと


一律
・すべてが同じ、似たような調子で変化のないこと
・一定の調子であること

「千篇一律」を二つの熟語に分解すると、上記のような意味が確認できました。「千篇」(多くの作品)が「一律」(一定の調子)であること、つまり「多くが似たような調子で変わりばえのしないこと」を表しているのですね。

確かに、どれだけ多作の詩人がいても、生み出す作品がみな同じような内容では人々に飽きられてしまうでしょう。あるいはヒーローが地球を救うといった在り来たりなストーリーの映画ばかりでは、観客に面白みや新鮮さを与えられません。たとえ素晴らしいクオリティをもっていても、優れた技術によるものであっても、同じ内容や似たことの繰り返しでは受け取り手の期待を超えた感動にはたどり着かないでしょう。

「千篇一律」の使い方・例文

「千篇一律」の使い方を例文を通して確認していきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.近頃は千篇一律のテレビドラマばかりで退屈だ。

2.その画家は晩年に多くの作品を残したが、どれも千篇一律な印象を受ける。

3.教授の話し方は良くも悪くも千篇一律で、講義中眠たくなることもしばしばだ。

4.千篇一律ともいえる平凡な暮らしに憧れる一方で、日々の目まぐるしい変化を楽しんでいる自分がいる。

例文1、2では作品に対して、その作風や内容が似たり寄ったりで面白みに欠けることを「千篇一律」とたとえています。

例文3では人物の話し方について、声のトーンやスピードが一定で単調なことを「千篇一律」と表していますね。

また、例文4では平凡な暮らしを「千篇一律」と称しています。「千篇一律」な暮らしとは決して悪い意味ではなく、平凡でも十分に満たされた暮らしを表しているのです。

このように「千篇一律」は様々な物事に対して使うことができます。ぜひ実際に文章を作ってみてくださいね。

\次のページで「「千篇一律」の類義語は?違いは?」を解説!/

「千篇一律」の類義語は?違いは?

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それではここで「千篇一律」の類義語を確認しましょう。

「一本調子」

「一本調子(いっぽんぢょうし・いっぽんちょうし)」は、音楽や文章などが同じ調子で続き、面白みがないことを表す四字熟語です。「千篇一律」同様に、話し方に対しても使うことができます。

読み方が二通りあるので注意しましょう。

「千篇一律」の対義語は?

続いて「千篇一律」の対義語を確認しましょう。

「千変万化」

「千変万化(せんぺんばんか)」とは、状況・状態が目まぐるしく変化することを表す四字熟語です。世界情勢や経済状況などに対しても使われます。

「多種多様」

「多種多様(たしゅたよう)」とは、物事の種類や性質、特徴などが様々であることを表す四字熟語です。人の数だけある考え方や意見、あるいは職業などに対しても使われます。

「千姿万態」

「千姿万態(せんしばんたい)」とは、様々な姿・形のことを表す四字熟語です。「千姿」は多くの姿を、「万態」は様々な状態を表します。

「千篇一律」の英訳は?

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最後に「千篇一律」の英語表現を確認しましょう。

\次のページで「「cookie-cutter」」を解説!/

「cookie-cutter」

cookie-cutter とは直訳すると「クッキーの抜き型」のことなのですが、同じ形をたくさん作ることができるため、転じて「個性のないこと、似たり寄ったりであること」を表す英語表現として使われます。

「monotony」

monotony とは名詞で「状態などが退屈・単調であること」を表します。日本語でも白と黒でまとめたインテリアやファッションをモノトーン(monotone)と呼びますが、このように生活や物事の状態に変化がなく単調な場合を monotony  ということが可能です。

「lack of variety」

lack of variety とは直訳すると「多様性が欠けていること」です。lack が「不足」を表し、variety が「変化、多様性」を指します。

「be in a groove」

be(stuck) in a groove とは「同じことの繰り返しである」ことを表す英語表現です。

キーワードは groove で、水路やレコードに刻まれた「溝」を表す名詞でもありますが、ここでは「決まり切った方法やしきたり」として使われています。いつも通りのパターンや道筋を辿れば目的は達成できる、けれども刺激はなく退屈。このようなイメージを表すのに be(stuck) in a groove はぴったりです。

「千篇一律」を使いこなそう

この記事では「千篇一律」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「千篇一律」とは
・多くのものが同様の調子を持つ
・変化や新鮮さがなくつまらない
ことを表す四字熟語でした。

芸術作品だけにとどまらず、人の話し方や文章などにおいても「千篇一律」を確認することができます。ぜひ身の回りの「千篇一律」を探してみましょう。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「千篇一律」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「千篇一律」について解説する。

端的に言えば千篇一律の意味は「芸術作品などが、どれも変わりばえせず同じであること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「千篇一律」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「千篇一律」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「千篇一律(せんぺんいちりつ)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「千篇一律」の意味は?

「千篇一律」には、次のような意味があります。

[名・形動]多くの詩がいずれも同じ調子で変化のないこと。転じて、多くの物事がみな同じ調子で、おもしろみのないこと。また、そのさま。「千篇一律な(の)正月映画」

出典:大辞泉(小学館)「千篇一律」

作られた多くの文章や芸術作品などが、どれも同じ調子や体裁で変わりばえのしないこと。転じて、どのようなことでも機械的に一つのマニュアルに従って処理して、融通がきかないこと。また、平凡で何の特徴もないこと。▽「千篇」は数多くの詩文のこと。「一律」はすべて同じ調子で変化がないこと。「篇」は「編」とも書く。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「千篇一律」

「千篇一律」とは、ほとんどが同じような調子で変化に乏しく、面白みのないことを表す四字熟語です。本来は芸術作品(詩文など)に向けた言葉でしたが、現在ではより幅広い物事や話し方などに対して用いられています。

内容に変化や起伏がなく、非常に単調でつまらない状態が「千篇一律」です。さらには、一定の形式や型から抜け出せず、融通のきかない様子であるともいえます。「単調」と言い換えるとイメージしやすいかもしれませんね。

書く際には漢字に注意しましょう。「千遍(千回・千度のこと)」や「一率」は誤りです。ただし「千編」と書かれることがあり、こちらは正しい書き換えとなります。

「千篇一律」の語源は?

次に「千篇一律」の語源を確認しておきましょう。

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