この記事では「無二無三」について解説する。

端的に言えば無二無三の意味は「ただ一つだけで他に代わりがないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「無二無三」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「無二無三」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「無二無三」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「無二無三」の意味は?

「無二無三」には、次のような意味があります。

[名・形動]《「むにむざん」とも》

1.わき目をふらずいちずになること。また、そのさま。ひたすら。「ゴールを目ざし、無二無三に走る」
2.仏語。法華経に説く、仏となる道はただ一つ一乗であり、二乗、三乗にはないということ。無二亦無三 (むにやくむさん) 。
3.ただ一つしかないこと。二つとないこと。唯一。「東大寺と申すは、一閻浮提 (いちえんぶだい) ―の梵閣」〈盛哀記・二四〉

出典:大辞泉(小学館)「無二無三」

ただ一つしかなく、それに代わるものがないこと。転じて、一つの物事に心を傾けてそれに打ち込むさま。▽もと仏教語。仏になる道は一乗だけで、ほかに道はないという意から。「三」は「ざん」とも読む。

 

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「無二無三」

「無二無三」は仏教用語が由来となって生まれた四字熟語です。仏になるための道はただ一つであることが本来の意味でした。

現在では転じて「他に代わりのない、唯一のこと」「一心に・一途に物事に取り組むこと」という意味で使われています。どちらも物事の重要性・熱心な姿勢が共通して感じられますね。

※読み方は(むにむさん)ですが、(むにむざん)とされる場合もあります。

\次のページで「「無二無三」の語源は?」を解説!/

「無二無三」の語源は?

次に「無二無三」の語源を確認しておきましょう。語源を深く知るための鍵は仏教の思想にあります。

本来は仏教用語「無二亦無三(むにやくむさん)」を省略したものが「無二無三」でした。仏になるための一つの道は「一乗」と呼ばれ、他に代わりの道や方法は無いと信じられていたのです。「無二無三」にある数字はそれぞれ「二乗」「三乗」という「一乗ではない代わりの道」を表し、それを「無」が打ち消しています。この成り立ちから、第二、第三の道や選択肢はなく、ゴールへの道はただ一つであることを説いているのです。

ちなみに「無二」は単体でも使われ、「同じものは他にないこと、かけがえのないこと」を表します。たとえば他に代わりのいない親友は「無二の親友」であり、心から大切に思う存在は「唯一無二(※)」であるといえるのです。

これらの語源から、「無二無三」は現在では「唯一の存在であること」「一つの物事に熱心に取り組むこと」として用いられるようになりました。

※「唯一無二」は後ほど類義語の項で詳しく紹介します。

「無二無三」の使い方・例文

「無二無三」の使い方を例文を使って確認していきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.リレーランナーに選ばれたからには、無二無三に取り組まねばならない。

2.彼は来月の国家試験に向けて、無二無三に勉強しているようだ。

3.何でも相談し合える妹は、まさに無二無三の存在だ。

「無二無三」はただ一つしかないことや、一度きりであるような高い重要性をもつ物事や機会に対して使われる言葉です。

例文1、2のように重要な大会や試験に対して、一途に取り組むことを「無二無三」で表すことができます。また例文3では大切な家族を「無二無三」とたとえ、この世に二人といない存在のかけがえのなさを強調しているのです。

「無二無三」の類義語は?違いは?

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それではここで「無二無三」の類義語を確認しましょう。

\次のページで「「遮二無二」」を解説!/

「遮二無二」

「遮二無二(しゃにむに)」とは他のことを考えずにひたすらに物事に取り組む様子を表す四字熟語です。

ただひたすらにがむしゃらに、勢いのまま強引に行うことが「遮二無二」であり、後先を考えている状況ではありません。他のことを考えたりよそ見をするのではなく、ただ一つのことに集中して全力を注いでいるのです。

副詞として使われるため、「遮二無二〜する」「遮二無二〜をする」は誤用となります。正しくは「遮二無二取り組む」「遮二無二生きる」のように使われますよ。

「唯一無二」

「唯一無二(ゆいいつむに)」は他に二つとない、かけがえのないことを表す四字熟語です。

「無二無三」の「無二」がこちらでも使われていますね。「唯一」・「無二」はいずれも同じものが他に存在しないことを表す熟語であり、重ねてその意味を強調して生まれたのが「唯一無二」です。

その存在が一風変わった個性的なものであれば「ユニーク」、大切な存在に対しては「オンリーワン」などと言い換えて表すこともできますね。

「一心不乱」

「一心不乱(いっしんふらん)」は心を一つのことだけに集中し、他のことに気を取られない状態を表す四字熟語です。

熱心に物事に取り組むことであり、それ以外に注意を逸らさないという意味をもっています。「無二無三」同様に仏教が語源となっているので、この機会に一緒に覚えておきましょう。

「無二無三」の英訳は?

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最後に「無二無三」の英語表現についてです。表す対象によって用いられる単語が異なる点に注目しましょう。

「uniqueness」

uniqueness は名詞で「独特であること、比べるものがないこと」を表します。


「無二無三」の意味のひとつである「他に代わりのないこと」の理由が独特で個性的である場合に uniqueness を使うことができますよ。

「peerless」

peerless は形容詞で「無類の、比べるものが他にない状態」を意味します。

ややかたい表現ではありますが、「無二無三」のもつ唯一さを表すことが可能です。たとえば決して真似できないほど独創的な物事や、素晴らしい実績をもつ人物などに対して用いられます。これ以上の上はない、というほど重要な存在に対して用いられる表現です。

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「the one and only」

the one and only は「唯一無二であること」を表す英語表現です。

「唯一無二」は「無二無三」の類義語でしたね。このようにただ一つしかなく、他に代わりのないかけがえのない存在に対して使うことができます。

「be extremely concentrated」

be extremely concentrated は直訳すると「極限まで集中している」ことを表す英語表現です。

「無二無三」とはわき目もふらずに一途・一心に取り組むことでしたね。この熱心な姿勢を表現することができますよ。

「無二無三」を使いこなそう

この記事では「無二無三」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「無二無三」とは
・仏教用語「無二亦無三(むにやくむさん)」の略
・ただ一つしかない、他に代わりのないこと
・一心、一途に取り組むこと
を表す四字熟語でしたね。

何か一つでも、わき目をふらずに熱中できるものがあれば人生はより豊かになると筆者は感じています。過去を振り返る時、現状を再確認する時、自分にとっての「無二無三」な存在があらためて見えてくるかもしれません。

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【四字熟語】「無二無三」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「無二無三」について解説する。

端的に言えば無二無三の意味は「ただ一つだけで他に代わりがないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「無二無三」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「無二無三」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「無二無三」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「無二無三」の意味は?

「無二無三」には、次のような意味があります。

[名・形動]《「むにむざん」とも》

1.わき目をふらずいちずになること。また、そのさま。ひたすら。「ゴールを目ざし、無二無三に走る」
2.仏語。法華経に説く、仏となる道はただ一つ一乗であり、二乗、三乗にはないということ。無二亦無三 (むにやくむさん) 。
3.ただ一つしかないこと。二つとないこと。唯一。「東大寺と申すは、一閻浮提 (いちえんぶだい) ―の梵閣」〈盛哀記・二四〉

出典:大辞泉(小学館)「無二無三」

ただ一つしかなく、それに代わるものがないこと。転じて、一つの物事に心を傾けてそれに打ち込むさま。▽もと仏教語。仏になる道は一乗だけで、ほかに道はないという意から。「三」は「ざん」とも読む。

 

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「無二無三」

「無二無三」は仏教用語が由来となって生まれた四字熟語です。仏になるための道はただ一つであることが本来の意味でした。

現在では転じて「他に代わりのない、唯一のこと」「一心に・一途に物事に取り組むこと」という意味で使われています。どちらも物事の重要性・熱心な姿勢が共通して感じられますね。

※読み方は(むにむさん)ですが、(むにむざん)とされる場合もあります。

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