この記事では「老少不定」について解説する。

端的に言えば老少不定の意味は「人の寿命に年齢は関係がなく、予測不可能なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「老少不定」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「老少不定」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「老少不定(ろうしょうふじょう)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「老少不定」の意味は?

「老少不定」には、次のような意味があります。

仏教のことばで、人間の寿命は、老人か子どもであるかに関わりなく、だれが先に死ぬかまったくわからないこと。

出典:四字熟語辞典(学研)「老少不定」

人間の寿命がいつ尽きるかは、老若にかかわりなく、老人が先に死に、若者が後から死ぬとは限らないこと。人の生死は予測できないものだということ。

▽人生の無常をいう仏教語。「不定」は一定しないこと、決まった法則や規則がないこと。「少」は若い意。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「老少不定」

「老少不定」は人生の無常を表す仏教語です。世の中に変化しないものなどなく、特に人の寿命・生死に関しては予測ができず、年齢も関係ありません。たとえば老人が必ずしも若者より先に死ぬとは限らず、若者が病気や事故で先に人生を終える可能性もあるのです。このように「老少不定」とは「人の人生は予測不可能である」ことを表します。

\次のページで「「老少不定」の語源は?」を解説!/

「老少不定」の語源は?

次に「老少不定」の語源を確認しておきましょう。まず二つの熟語に分解してその意味をご紹介しますね。

老少
・老人(老)と若者(少)のこと
※「老若(ろうにゃく)」ともいう

不定
・一定しないこと
・定まらず不確かである様子
・決められた法則や規則のないこと
・思いがけない意外なこと

「老少」の意味は非常にシンプルで、老人と若者のことです。漢字「少」は少年・少女と使われるように、その年齢の数が少ないことから転じて「若いこと、若者」を表します。

一方「不定」とは「一定しないこと」ですが、転じて「不確かであること」「予測できないこと」も意味する熟語です。仏教の考えである「無常」とも重なるニュアンスがありますね。

これらの熟語が合わさった「老少不定」は、年老いても若くても人生には確かな定めは何一つないことを表すようになりました。人生とは不確かであり、いつ死ぬのかは誰にもわからないと述べているのです。

みなさんは仏教用語としての「無常」の意味を正しく説明できますか?「老少不定」は人生の無常を語る四字熟語です。ここでさらに理解を深めましょう。

無常」とは?
この世の全ては生滅流転(しょうめつるてん)し、永遠不変ではないこと。
人生(命)は儚いこと、その様子

常に万物は変化を続け、この世に永遠は存在しないことが「無常」です。人生とは不確実であり、儚く呆気ないというイメージが「老少不定」の根幹にもあります。一緒に覚えておきましょう。

「老少不定」の使い方・例文

「老少不定」の使い方を例文を使って確認していきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.人生とはまさに老少不定であることを実感したのは、若くして友人が不慮の事故でこの世を去った時である。

2.老少不定、これから先何が起こるかなんて誰にもわからない。

3.どれだけニュースやインターネットで長生きするための情報を集めても、老少不定、そこに絶対の確証など存在しない。

4.
A「おじいさんは元気?」
B「とても元気で、毎日運動しているよ。周りは怪我するから危ないって言うけど、僕は祖父の生き方に憧れるな」
A「素敵だね。老少不定というし、年齢を気にせず好きなことをできたら良いよね。」

5.友人が雑誌で連載しているコラムは、人生の儚さや尊さが感じられると読者から好評らしい。自身が若い頃に事故で生死を彷徨った経験から得た老少不定の視点を反映させているようで、綴られる言葉には重みがある。

「老少不定」は決して悲観的に使われるとは限りません。確かに人の寿命や人生は誰にも分からない「老少不定」なものですが、だからこそ今を大切にするという前向きな気持ちを伝えることもできます。

「老少不定」の類義語は?違いは?

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それではここで「老少不定」の類義語を確認しましょう。

「無常迅速」

「無常迅速(むじょうじんそく)」とは仏教用語で、世の移り変わりや変化が非常に速いことを表す四字熟語です。

「無常」とは語源の項でも触れたように、人生の儚さやこの世が永遠不変でないことを表す言葉でした。この「無常」に素早さを表す「迅速」が結びつくことで、世の変化の速さがより強調されています。

「諸行無常」

「諸行無常(しょぎょうむじょう)」はこの世の全ては常に変化し続け、一瞬たりとも留まらないことを表す四字熟語です。何一つ永遠を確証するものは無いというニュアンスが「老少不定」と共通しています。

平家物語の冒頭に登場する「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。「諸行無常」は仏教の根本的理念である三法印(※)の一つであり、普遍的な真理として現在も用いられています。

※諸行無常、諸法無我、涅槃寂静

「老少不定」の英訳は?

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最後に「老少不定」の英語表現を確認しましょう。

\次のページで「「Death comes to young and old alike.」」を解説!/

「Death comes to young and old alike.」

Death comes to young and old alike. は、直訳すると「死は若者にも老人にも平等に訪れる」という英語表現です。

非常にシンプルな言い回しですが、「老少不定」の意味合いを的確に掴んでいるといえるでしょう。ポイントは文末の alike で、ここでは副詞として使われ「等しく、同等に」という意味を与えています。

「Death is no respecter of age.」

Death is no respecter of age. は、直訳すると「死は年齢を全く尊重しない」となる英語表現です。

キーワードは名詞 respecter で、 of 以下を「えこひいきする、尊重する」という意味合いをもちます。そこに強い否定の no が付くことで、「死は全く年齢に左右されない、年齢を特別扱いしない」というニュアンスになるのです。

「Nobody can tell how long they will live.」

Nobody can tell how long they will live. は、「誰もどれだけ生きるかは分からない」という意味の英語表現です。

動詞 tell は「伝える・話す」という意味で使われますが、ここでは「知る・分かる」というニュアンスで機能しています。誰かに何かを伝えるためには、まず自分が理解している必要がありますね。Nobody can「誰も〜することが出来ない」と打ち消しの主語が使われていることもポイントです。

「Life is uncertain.」

Life is uncertain. は「人生とは不確かである」という意味の英語表現です。

形容詞 uncertain は「はっきりしない、不確実な」という意味で、「老少不定」の「不定」と同様のニュアンスを持っています。

「老少不定」を使いこなそう

この記事では「老少不定」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「老少不定」とは「人の寿命に年齢は関係なく、人生が予測不可能であること」を表す四字熟語でした。シンプルですが、とても奥深い言葉です。

文学作品を通して出会うこともあるでしょう。夏目漱石の『こころ』でも「老少不定」は使われています。ぜひ意味と共に今回学んだイメージを思い出してみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「老少不定」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「老少不定」について解説する。

端的に言えば老少不定の意味は「人の寿命に年齢は関係がなく、予測不可能なこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「老少不定」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ナガタ ナミキ

外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。

「老少不定」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「老少不定(ろうしょうふじょう)」の意味や語源・使い方を確認していきましょう。

「老少不定」の意味は?

「老少不定」には、次のような意味があります。

仏教のことばで、人間の寿命は、老人か子どもであるかに関わりなく、だれが先に死ぬかまったくわからないこと。

出典:四字熟語辞典(学研)「老少不定」

人間の寿命がいつ尽きるかは、老若にかかわりなく、老人が先に死に、若者が後から死ぬとは限らないこと。人の生死は予測できないものだということ。

▽人生の無常をいう仏教語。「不定」は一定しないこと、決まった法則や規則がないこと。「少」は若い意。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)「老少不定」

「老少不定」は人生の無常を表す仏教語です。世の中に変化しないものなどなく、特に人の寿命・生死に関しては予測ができず、年齢も関係ありません。たとえば老人が必ずしも若者より先に死ぬとは限らず、若者が病気や事故で先に人生を終える可能性もあるのです。このように「老少不定」とは「人の人生は予測不可能である」ことを表します。

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