この記事では「岡目八目」について解説する。

端的に言えば「岡目八目」の意味は「第三者の方がよく判断できること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「岡目八目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「岡目八目」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 22883750

それでは早速「岡目八目(おかめはちもく)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「岡目八目」の意味は?

「岡目八目」には、次のような意味があります。

《他人の囲碁をそばで見ていると、対局者よりも冷静に手が読める意から》第三者のほうが、物事の是非得失を当事者以上に判断できるということ。

[補説]「対局者よりも8手先まで見通せる」とする解釈が広く行われているが、目(もく)は手数を数える語ではなく、地(じ)(石で囲んで自分のものとした部分)を数える語であるところから、「観戦者は8目分、得をする手を思いつく」の意とする説もある。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「岡目八目」

少し複雑なので、それぞれの漢字の意味を見ていきます。

「岡目」とは「他人のしていることをそばで見ていること」を意味する言葉。

「八目」の「目」は、囲碁において「地(じ。石で囲んで自分のエリアとしたところ)」や、「石の数」を数える言葉です。

これらの言葉が組み合わさって、「他人の囲碁を横で見ているほうが、良い手が読めること」。転じて、「当事者でないほうが、物事の良し悪しが判断できること」の意味になりました。

「岡目」は「傍目」とも書き「傍目八目」とも書くこともできます。

「傍目」は二字熟語の場合は「はため」とも。「傍ら(かたわら)」という漢字のため、こちらのほうが意味を想像しやすいかもしれませんね。合わせて押さえておきましょう。

「岡目八目」の語源は?

次に「岡目八目」の語源を確認しておきましょう。

意味の説明の項で触れたように、これは囲碁で使われる言葉でした。

対戦している本人たちはどうしても目の前の状況に集中してしまい、良い手を見落としてしまうということは、いかにもありそうなシチュエーションですね。

引用でも補足されているように、「八手先が読める=全体が見える」という意味よりも、「八目分の手=有効なやり方に気づく」という限定的な意味が本来とする辞書もありました。

前者の意味に捉えられるのは、一般的に「第三者のほうがよく状況が見える」という意味が浸透したからかもしれません。

試験においてここまで細かく問われることはあまりないでしょうが、語源と合わせて押さえておきましょう。

\次のページで「「岡目八目」の使い方・例文」を解説!/

「岡目八目」の使い方・例文

「岡目八目」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・先生はいつも、こういうのは岡目八目だからな、といってクラスで配るプリントを日直に確認させる。

・スポーツ界のプロフェッショナルが集まるセミナーには、岡目八目を目的としていつも別分野の専門家も参加する。

・関係者が集まってもずっと答えが出なかった問題なのに、岡目八目で部外者に意見をもらったらすぐに解決した。

当事者でない人の方が冷静に、的確に判断できる」というイメージができますでしょうか。

自分でも、この四字熟語を使うとしたらどんな状況に対して使うか想像してみましょう。

ポジティブな意味で使うとしたら、外部の意見も取り入れて視野を広げたい、それによって間違いをなくしたいという希望も含まれているイメージになりますね。

逆にネガティブな意味だとしたら、身内だけで固まっていて新しい考えが出てこない、など不満や批判もあるかもしれません。

読解問題などで見かけた場合は、この四字熟語が使われている意図まで想像したいところです。

「岡目八目」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「岡目八目」の類義語には、四字熟語ではありませんが「灯台下暗し」が適切でしょう。

「灯台下暗し」

灯台は想像がつきますね。明かりが高いところにあるため、その真下は光が届かず暗くなっています。

このことから、「事情や事件に近いほど、逆に真相がわかりにくい」という意味を持つ表現です。

この慣用表現は有名なため、よく耳にしたことがある人も多いでしょう。逆に、この言葉から「岡目八目」を選ばせる問題なども考えられます。セットで覚えるようにしてしまいましょう。

\次のページで「「岡目八目」の対義語は?」を解説!/

ずっと解決方法を探していた問題だったが、灯台下暗しで、祖父に訊いたらすぐにやり方を教えてくれた。

「岡目八目」の対義語は?

「岡目八目」の対義語は、「あばたもえくぼ」が考えられます。完全な一致ではありませんので、違いと合わせて理解してください。

「あばたもえくぼ」

この言葉は、「好きになると、欠点が見えなくなったり良く見えてしまう」という意味の言葉です。

「あばた」とは、伝染病の一種によって顔出来てしまったできものの“あと”のこと。「えくぼ」は、笑ったときに頬に出来る小さなくぼみのことで、可愛い顔を連想させるものです。

「できもののあとが、えくぼに見えるくらいに」好き、ということで、どれほど好きかを表すため使われます。

「岡目八目」とは、好き=近すぎて、客観的に判断できないという意味において、似ているといえるでしょう。

性格に難ありとさんざん言われている彼女だけれど、ずっと付き合っている彼にはあばたもえくぼで、全く気にならないらしい。

「岡目八目」の英訳は?

image by iStockphoto

「岡目八目」の英語訳は「Lookers-on see most of the game」がいいでしょう。

「Lookers-on see most of the game」

直訳すれば、「見物人の方が、試合がよくわかる」ということで、まさに「岡目八目」の意味になっている表現です。

これは慣用表現として辞書に載っていることも多く、英語圏でも同様の意味の言葉が必要とされていたことが想像できて面白いですね。

「lookers-on」は「見物人、傍観者」のことで複数形で使うことがほとんです。単数形は「looker-on」になります。あまり耳慣れない単語で、慣用表現でしか使わないかもしれません。

「onlooker」ということもでき、その場合の表現は「The onlooker sees most of the game.」となります。

\次のページで「「岡目八目」を使いこなそう」を解説!/

As lookers-on see most of the game,there is no doubt that she is right.
岡目八目、彼女が正しいのは疑いようがないよ。

「岡目八目」を使いこなそう

この記事では「岡目八目」の意味・使い方・類語などを説明しました。

当事者になると、つい思いが入りすぎて本質的なことが見えていなかったなんてことは、皆さんにも思い当たることがあるかもしれませんね。

英語でもそのままの慣用表現があったように、どんなところでもこのような状況があるのでしょう。特にスポーツでは熱くなる人が多いということが、語源からもわかって面白い言葉です。

もし勉強しているときそうなっていると感じたら、誰か、特に第三者に相談してみるのもいいですね。

" /> 【四字熟語】「岡目八目」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【四字熟語】「岡目八目」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校講師がわかりやすく解説!

この記事では「岡目八目」について解説する。

端的に言えば「岡目八目」の意味は「第三者の方がよく判断できること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「岡目八目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「岡目八目」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 22883750

それでは早速「岡目八目(おかめはちもく)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「岡目八目」の意味は?

「岡目八目」には、次のような意味があります。

《他人の囲碁をそばで見ていると、対局者よりも冷静に手が読める意から》第三者のほうが、物事の是非得失を当事者以上に判断できるということ。

[補説]「対局者よりも8手先まで見通せる」とする解釈が広く行われているが、目(もく)は手数を数える語ではなく、地(じ)(石で囲んで自分のものとした部分)を数える語であるところから、「観戦者は8目分、得をする手を思いつく」の意とする説もある。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「岡目八目」

少し複雑なので、それぞれの漢字の意味を見ていきます。

「岡目」とは「他人のしていることをそばで見ていること」を意味する言葉。

「八目」の「目」は、囲碁において「地(じ。石で囲んで自分のエリアとしたところ)」や、「石の数」を数える言葉です。

これらの言葉が組み合わさって、「他人の囲碁を横で見ているほうが、良い手が読めること」。転じて、「当事者でないほうが、物事の良し悪しが判断できること」の意味になりました。

「岡目」は「傍目」とも書き「傍目八目」とも書くこともできます。

「傍目」は二字熟語の場合は「はため」とも。「傍ら(かたわら)」という漢字のため、こちらのほうが意味を想像しやすいかもしれませんね。合わせて押さえておきましょう。

「岡目八目」の語源は?

次に「岡目八目」の語源を確認しておきましょう。

意味の説明の項で触れたように、これは囲碁で使われる言葉でした。

対戦している本人たちはどうしても目の前の状況に集中してしまい、良い手を見落としてしまうということは、いかにもありそうなシチュエーションですね。

引用でも補足されているように、「八手先が読める=全体が見える」という意味よりも、「八目分の手=有効なやり方に気づく」という限定的な意味が本来とする辞書もありました。

前者の意味に捉えられるのは、一般的に「第三者のほうがよく状況が見える」という意味が浸透したからかもしれません。

試験においてここまで細かく問われることはあまりないでしょうが、語源と合わせて押さえておきましょう。

\次のページで「「岡目八目」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: