料理を手軽に美味しくできる化学調味料、きっとどこの家庭のキッチンにもあるでしょう。化学調味料があるとみそ汁、煮物などを作る時に便利です。

化学調味料を知っていても、いつどうやってできたのか知らない人も多いでしょう。化学調味料の歴史は古く、なんと明治時代まで遡る。また化学調味料は体に悪いというイメージがありますが、そう思われるようになったのには理由がある。

発明の経緯、その成分などいつも口にしてるのにあまり知られていない化学調味料について科学館職員のたかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

料理は作るより食べる方が好き、手軽に使える調味料大好きなリケジョ。不思議な現象の理由を解き明かす科学が好きで理系に進んだ科学館職員。

そもそも化学調味料とはなにか?

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そもそも化学調味料とはどんなものでしょうか。化学調味料とは人工調味料の一種で、舌にうま味を感じさせる成分を人工的に精製したものです。

化学調味料はよく聞く言葉ですが、実は現在の正しい呼び方ではありません。経緯は後程詳しく解説しますが、 現在はうま味調味料と呼ばれています。

化学調味料の歴史

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化学調味料が発売されたのは1909年、なんと明治42年です。ちなみに1909年は初代総理大臣、伊藤博文が暗殺された年でもあります。100年以上の歴史を持っているとは意外ですね。ではどのように開発されたのかその経緯を確認していきましょう。

化学調味料が発売される2年前、1907年に「酸・甘・塩・苦」に続く第5の味覚「うまみ」が提唱されました。このうま味を提唱したのは化学者の池田菊苗(いけだきくなえ)教授です。池田教授は昆布のうま味成分がL-グルタミン酸ナトリウムであることを発見し、精製することに成功しました。

そして翌1908年、「グルタミン酸を主要成分とする調味料製造法」に関する特許を取得し、最初の化学調味料「味の素」が製造販売されたのです。

化学調味料は1920年代にアメリカに輸出され、戦後の食料がおいしくない時代に活用され普及しました。しかし、化学調味料の摂取しすぎから体調不良になったという人が続出します。その後、様々な研究の結果からWHOが化学調味料の安全を認める発表をしました。しかし、この出来事から未だに化学調味料に否定的な意見を持つ人が多くいます。

この件に関しては後程詳しく説明しますね。

化学調味料と呼び方

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化学調味料はもともとその商品名、「味の素」と呼ばれていました。そして昭和30年代に国営放送で扱う際、登録商標を流すことを避けて化学調味料という呼び方をするようになったと言われています。しかし1990年代から化学調味料を「うま味調味料」と呼ぶようになりました。化学、という言葉に不健康なイメージを持つ人が多くいたからです。

1948年に発足した日本うま味調味料協会も1985年までは「日本化学調味料工業協会」という名称でした。

\次のページで「人の味覚」を解説!/

人の味覚

人の味覚

image by Study-Z編集部

ところで人間の味覚とはどのようなものなのでしょうか?

味覚とは五感(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)のひとつ。この味覚には5つの味「酸味・甘味・塩味・苦味・うま味」があります。独立したこの5つは他の味を組み合わせても作ることができません。そのためこの5つの味を基本味というのです。

味覚によって人は食事をおいしいと感じることができ、また苦みを感じるおかげで料理や食材の傷みや毒に気付くことができます。人にとって味覚は大切な感覚なのですね。

グルタミン酸ナトリウムと健康

化学調味料と聞くと体に悪いイメージがあります。うま味調味料と名前を変更したのも名前のイメージが原因でしたね。しかし本当に化学調味料は体に悪いのでしょうか?

化学調味料が体に悪いと言われるようになった大きなきっかけのひとつが、先ほど少し説明したように、1960年代にアメリカで化学調味料を摂取しすぎて体調不良を起こした人が続出したことです。この体調不良は「中華料理店症候群(グルタミン酸ナトリウム症候群)」と言われます。

アメリカの中華料理店で化学調味料がよく使われていた化学調味料。中華料理店症候群の主な症状として頭痛、発汗、疲労感などがあげられます。しかし、中華料理店症候群となった人を被験者にグルタミン酸ナトリウムを大量に摂取する実験を行ってもそのような症状は見られませんでした。体調不良者とグルタミン酸ナトリウムの間に因果関係は見つからなかったのです。おそらく体調を崩した人たちの共通点として挙げられた中にたまたま中華料理を食べた、というのが多かったのでしょう。

確かに極端な量の化学調味料を摂取すれば体調を崩します。しかし、化学調味料に限らず摂取のしすぎは体に悪影響を及ぼしますね。天然塩だって食べ過ぎたら体に悪いです。化学的なものだから一切摂取しない、とするよりも適度な量で調理や食事を楽しむ方がよいのではないでしょうか。

現在の化学調味料

世界中で愛されている化学調味料には様々な農産物が入っています。例を挙げるとサトウキビ、キャッサバ、トウモロコシなどです。グルタミン酸は農作物に含まれた糖を微生物によって発酵させて作ります。微生物が発酵させたグルタミン酸を結晶にし、乾燥させて出来上がりです。

日本うま味調味料協会によると現在売られるうま味調味料は大きく4つに分類されています。

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グルタミン酸だけでなく、イノシン酸グアニル酸もうま味成分として知られています。グルタミン酸がアミノ酸であるのに対し、イノシン酸、グアニル酸は核酸に分類されるのです。イノシン酸は魚や肉、グアニル酸は干しきのこに多く含まれています。

リボヌクレオチドナトリウムはイノシン酸ナトリウムとグアニル酸ナトリウムの混合物のことです。

化学調味料は日本の発明!

化学調味料は100年以上の歴史を持ち、世界中の食をおいしくしてくれました。日本の素晴らしい発明のひとつです。

体に悪いイメージがあり、うま味調味料と名前を変更した化学調味料。過去には化学調味料が原因と思われる体調不良が起こったこともあります。しかしその後の研究によって化学調味料との因果関係は否定されました。

化学調味料は安全性が確認されていて、極端な量を食べなければ特別体に悪いわけではありません。適度な化学調味料でおいしい料理を楽しみましょうね。

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化学理科生活と物質

化学調味料ってどんな調味料?科学館職員がわかりやすく解説

料理を手軽に美味しくできる化学調味料、きっとどこの家庭のキッチンにもあるでしょう。化学調味料があるとみそ汁、煮物などを作る時に便利です。

化学調味料を知っていても、いつどうやってできたのか知らない人も多いでしょう。化学調味料の歴史は古く、なんと明治時代まで遡る。また化学調味料は体に悪いというイメージがありますが、そう思われるようになったのには理由がある。

発明の経緯、その成分などいつも口にしてるのにあまり知られていない化学調味料について科学館職員のたかはしふみかが解説します。

ライター/たかはし ふみか

料理は作るより食べる方が好き、手軽に使える調味料大好きなリケジョ。不思議な現象の理由を解き明かす科学が好きで理系に進んだ科学館職員。

そもそも化学調味料とはなにか?

image by PIXTA / 49729932

そもそも化学調味料とはどんなものでしょうか。化学調味料とは人工調味料の一種で、舌にうま味を感じさせる成分を人工的に精製したものです。

化学調味料はよく聞く言葉ですが、実は現在の正しい呼び方ではありません。経緯は後程詳しく解説しますが、 現在はうま味調味料と呼ばれています。

化学調味料の歴史

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化学調味料が発売されたのは1909年、なんと明治42年です。ちなみに1909年は初代総理大臣、伊藤博文が暗殺された年でもあります。100年以上の歴史を持っているとは意外ですね。ではどのように開発されたのかその経緯を確認していきましょう。

化学調味料が発売される2年前、1907年に「酸・甘・塩・苦」に続く第5の味覚「うまみ」が提唱されました。このうま味を提唱したのは化学者の池田菊苗(いけだきくなえ)教授です。池田教授は昆布のうま味成分がL-グルタミン酸ナトリウムであることを発見し、精製することに成功しました。

そして翌1908年、「グルタミン酸を主要成分とする調味料製造法」に関する特許を取得し、最初の化学調味料「味の素」が製造販売されたのです。

化学調味料は1920年代にアメリカに輸出され、戦後の食料がおいしくない時代に活用され普及しました。しかし、化学調味料の摂取しすぎから体調不良になったという人が続出します。その後、様々な研究の結果からWHOが化学調味料の安全を認める発表をしました。しかし、この出来事から未だに化学調味料に否定的な意見を持つ人が多くいます。

この件に関しては後程詳しく説明しますね。

化学調味料と呼び方

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化学調味料はもともとその商品名、「味の素」と呼ばれていました。そして昭和30年代に国営放送で扱う際、登録商標を流すことを避けて化学調味料という呼び方をするようになったと言われています。しかし1990年代から化学調味料を「うま味調味料」と呼ぶようになりました。化学、という言葉に不健康なイメージを持つ人が多くいたからです。

1948年に発足した日本うま味調味料協会も1985年までは「日本化学調味料工業協会」という名称でした。

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