「天涯孤独」…見るからにさみしさの漂う四字熟語です。俺はできれば回避したい状態です。俺みたいに「天涯孤独」って言葉を聞いたことがあって、なんとなく『ずっと孤独』って感じの意味だと理解しているやつは多いでしょう。しかし『「天涯」の意味はなに?』って聞かれて答えられるでしょうか。ちょっとでも理解があやふやだと、他人に説明するときに困るよな。
そこで今回は、孤独をこよなく愛するライターであるぷーやんを呼んです。「天涯孤独」の意味と使われ方について、説明してもらおう。
ライター/ぷーやん
webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。一対一のような対話を避けられない状況以外では、存在感を消して極力輪の中に入らない。そして物理的にも心理的にも離れたところから、独り全体を眺めるのが好き、という偏屈もの。
辞書にみる「天涯孤独」
「天涯孤独」は辞書で調べると、次にように書かれています。
遠く異郷に、ひとり暮らすこと。また、身寄りがないこと。「天涯孤独の身の上」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「天涯孤独」
「天涯孤独」について、『「身寄りがない」という意味で理解していた』という方が多いのではないでしょうか。「天涯」はもともと「空の果て」を指しますが、転じて「故郷を遠く離れた地」という意味も。
ただし新しい場所での暮らしはじめは独りかもしれませんが、いずれなんらかのコミュニティに属すれば人付き合いもできるでしょう。そうなると「天涯孤独」と呼ぶには違和感がありますね。
例文で「天涯孤独」の使い方を確認!
辞書で意味を知ると実際に使ってみたくなるもの。「天涯孤独」の使い方を例文でご紹介します。
1.仕事は定年を迎え、伴侶には先立たれ、子どもは作らなかったので、いよいよ「天涯孤独」になってしまった。
2.彼は『新天地で「天涯孤独」を貫いて、自由気ままに生きていく』と豪語しているが、独り身の楽しさにしか目がいっておらず、リスクに気が付いていないようだ。
例文1は近しい人がいなくなって、「天涯孤独」の身に陥ってしまったようですね。例文2は、自分から進んで「天涯孤独」になろうとしています。昨今は生涯未婚率も上昇しているようですが、孤独になりにくいような社会がつくられていくことを願ってやみません。
ひとりぼっち:肉親や親友がいない
説明の必要もない言葉ですね。近年はクリスマスにも一人で過ごすことを選ぶ方が増えているようで、「ひとりぼっち」をもじって『クリぼっち』と呼ばれていますね。チキンの一人用パックなど、時代の流れにならって企業も工夫しているようです。
鰥寡孤独(かんかこどく):身寄りのない人
中国から日本に伝わり、平安時代の扶養義務を定めた法律の解説書に登場する言葉。「鰥」は61歳以上の妻を亡くした夫、「寡」は50歳以上の未亡人、「孤」は父親のいない子ども、「独」は子どもがいない人を指します。
「天涯孤独」に対義語はある?
哲学的には、「孤独」の対義語は存在しないようです。ここでは「天涯孤独」の対義語について、『プライベートで関わる人がいない』ことの反対として考えてみたいと思います。
人脈が豊富:人とのつながりが多い
社交的で人脈を築いて維持することが上手な人は、自然と相手のことを考えて行動しているもの。自分の都合だけを優先しないことは、なにかトラブルがあったときに、『手伝ってあげたい』という気持ちを生む原動力になるのではないでしょうか。
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