

端的に言えば「無為徒食」の意味は「働かず遊び暮らすこと」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んだ。一緒に「無為徒食」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/ヤマゾー
ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。
「無為徒食」の意味は?
「無為徒食」には、次のような意味があります。
なすべきことを何もしないでただ遊び暮らすこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「無為徒食」
「無為徒食」は「むいとしょく」と読みます。「無為」は、なにもしないでブラブラすること。もしくは、自然のままに任せて手を加えないという意味になります。「徒食」は、働かずに遊び暮らすこと。「徒」という言葉自体にも、虚しさや無益、浮ついた様子といった意味が含まれています。言葉の並びからして、いかに、やりたい放題の気ままな生活を送っているのか想像しやすいのではないでしょうか。
「無為徒食」の語源は?
次に「無為徒食」の語源を確認しておきましょう。全く良いイメージがない「無為徒食」ですが、「無為」という言葉自体には、本来は中国哲学による道家の理想的な人のあり方が込められています。道家とは諸子百家の1つで、春秋戦国時代に現れた思想家の総称。要するに、道家とは「社会的影響力を持っている人」と考えるとよいでしょう。
「無為」は、老子の「無為自然」が由来だと言われています。老子といえば、周の思想家として有名ですよね。「無為自然」とは、知恵や欲望を働かせず、自然に生きるのが一番だという考え方を表した四字熟語。多くの人が「無為自然」であれば、世の中は全て丸く収まると老子は考えたのです。そのため、「無為」は「何もしない」という意味ではなく、自然体のあるがままで「無理をしない」という意味が込められているといえるでしょう。