この記事では「八面玲瓏」について解説する。

端的に言えば八面玲瓏の意味は「誰とでも差別なく交際すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「八面玲瓏」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「八面玲瓏」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「八面玲瓏」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「はちめんれいろう」です。意味だけでなく語源や使い方など、さまざまな面から見ていくことで理解が深まりますよ。

「八面玲瓏」の意味は?

「八面玲瓏」には、次のような意味があります。まずは、基本的な意味をつかむために、しっかりと確認していきましょう。

1.どこから見ても透き通っていて、曇りのないさま。また、心中にわだかまりがなく、清らかに澄みきっているさま。また、だれとでも円満、巧妙に付き合うことができるさま。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

「八面」はあらゆる方向や四方八方のこと、「玲瓏」は玉のように透き通って美しく輝くようすのことを表しています。

「どこから見ても透き通っている」というのは、誰にでも分け隔てなく純粋な心で接することができるということであり、「だれとでも円満、巧妙に付き合うことができる」ということにつながっていますね。基本的にはプラスイメージの言葉です。

「八面玲瓏」の語源は?

次に「八面玲瓏」の語源を確認しておきましょう。「八面玲瓏」は、中国の元の時代の詩人である馬煕の作品の中に登場しますよ。

馬煕の『開窓看雨(窓を開けて雨を見る)』という作品に、「八面玲瓏多得月」とあります。これは、「部屋のあらゆる方向の窓を開けても美しい月が見ることができる」という意味です。そこから、誰に対しても平等に好意的に接することができるという意味合いにつながっています。

もし、馬煕が見た月が満月だったなら、円満に付き合うという意味にさらにピッタリの表現になりますね。

\次のページで「「八面玲瓏」の使い方・例文」を解説!/

「八面玲瓏」の使い方・例文

「八面玲瓏」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。意味としての使い方と文法的な使い方についても見ていきますよ。

1.彼は算盤に長けており、妻が八面玲瓏で明るい人柄の女性であったので商売はうまくいった。
2.彼女は美人で八面玲瓏の世渡り上手だったので、みんなに人気がある。

例文1.も2.も「だれとでも円満、巧妙に付き合うことができるさま」という意味で使われています。1.では妻がお客さんと上手く付き合い、2.では周りのだれとでも円満に付き合うことができるようすを表していますよ。

また、1.では「八面玲瓏で…」と形容動詞としての表現、2.は「八面玲瓏の…」と助詞をつないだ表現です。これらのような使い方が多くなっています。

「八面玲瓏」の類義語は?違いは?

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それでは、「八面玲瓏」の類義語についての説明です。二つの類義語を見ていきますが、それぞれのニュアンスも含めて詳しく見ていきましょう。

「八方美人」

「八面玲瓏」の類義語には、「八方美人(はっぽうびじん)」があります。意味は、だれからもよく見られたいと愛想よく振る舞うことです。「八方」はあらゆる方向という意味で、もともとは「どこから見ても欠点のない素晴らしい女性」という意味で使われていました。

「八方美人」は今ではややマイナスの表現で使われることが多くなっていますが、「八面玲瓏」も「八方美人」ともに、もともとはプラスの意味で使われていた四字熟語です。

\次のページで「「一視同仁」」を解説!/

「一視同仁」

もう一つの類義語には、「一視同仁(いっしどうじん)」があります。すべての人に平等に接して差別しないことという意味です。「一視」は区別なく一つの見方で見るということ、「同仁」は思いやりを同じくするということを表しています。

全てを平等に接するというのは、身分や出身など人のことに限らず、鳥や獣に対しても使うことがある表現です。

「八面玲瓏」の対義語は?

次に、「八面玲瓏」の対義語についての説明です。「だれとでも円満に付き合う」のが「八面玲瓏」でしたので、平等に接しないのが対義語になります。二つの対義語をチェックしていきましょう。

「依怙贔屓」

「八面玲瓏」の類義語には、「依怙贔屓(えこひいき)」があります。意味は、自分の気に入った者に目をかけたり味方をしたりすることです。「依怙」とは本来の頼りにするという意味から転じて不公平という意味を表しています。

周りの人全員に同じように接することが平等とはいい切れませんが、かたよった接し方をするということで「依怙贔屓」はマイナスのイメージで使わる表現です。

「判官贔屓」

もう一つの対義語には、「判官贔屓(ほうがんびいき)」があります。弱者や日の目を見ない者を味方したり応援したりすることという意味です。「判官」は律令制の役職である検非違使の三等官のことを表しています。

数ある役職のうちなぜ「判官」かというと、兄の頼朝に滅ぼされた悲劇の英雄である源義経が判官職であったためです。義経が愛されていたということもありますが、昔から弱者や不遇な立場の人に肩入れしたくなる気持ちはあったのですね。

「八面玲瓏」の英訳は?

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最後に、「八面玲瓏」の英訳についての説明です。「八面玲瓏」のニュアンスを含めた意味合いに近い英語表現を見ていきましょう。

「a disposition to be friendly」

「八面玲瓏」の英訳には、「a disposition to be friendly」があります。直訳すると「付き合いやすい性質」です。顔を合わせるときに自然な優しい表情をするなど、接しやすい雰囲気を持っている人であるということを表しています。

さらに、動詞「approach(近づく)」の名詞形「approachable(親しみやすい)」を付け加えてもいいですね。「a disposition to be friendly and approachable」で「付き合いやすく親しみやすい性質」となりますよ。

\次のページで「「八面玲瓏」を使いこなそう」を解説!/

「八面玲瓏」を使いこなそう

今回の記事では「八面玲瓏」の意味・使い方・類語などを説明しました。

類義語の「八方美人」は、もともとはプラスのイメージで使われていた言葉でしたが、徐々にだれにでも好かれたいなど自分の都合が含まれていてマイナスのイメージで使われることが増えてきています。「八面玲瓏」はプラスイメージの四字熟語なので、「八方美人」と混同しないようにして使い分けるといいですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「八面玲瓏」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「八面玲瓏」について解説する。

端的に言えば八面玲瓏の意味は「誰とでも差別なく交際すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「八面玲瓏」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「八面玲瓏」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「八面玲瓏」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「はちめんれいろう」です。意味だけでなく語源や使い方など、さまざまな面から見ていくことで理解が深まりますよ。

「八面玲瓏」の意味は?

「八面玲瓏」には、次のような意味があります。まずは、基本的な意味をつかむために、しっかりと確認していきましょう。

1.どこから見ても透き通っていて、曇りのないさま。また、心中にわだかまりがなく、清らかに澄みきっているさま。また、だれとでも円満、巧妙に付き合うことができるさま。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

「八面」はあらゆる方向や四方八方のこと、「玲瓏」は玉のように透き通って美しく輝くようすのことを表しています。

「どこから見ても透き通っている」というのは、誰にでも分け隔てなく純粋な心で接することができるということであり、「だれとでも円満、巧妙に付き合うことができる」ということにつながっていますね。基本的にはプラスイメージの言葉です。

「八面玲瓏」の語源は?

次に「八面玲瓏」の語源を確認しておきましょう。「八面玲瓏」は、中国の元の時代の詩人である馬煕の作品の中に登場しますよ。

馬煕の『開窓看雨(窓を開けて雨を見る)』という作品に、「八面玲瓏多得月」とあります。これは、「部屋のあらゆる方向の窓を開けても美しい月が見ることができる」という意味です。そこから、誰に対しても平等に好意的に接することができるという意味合いにつながっています。

もし、馬煕が見た月が満月だったなら、円満に付き合うという意味にさらにピッタリの表現になりますね。

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