端的に言えば一路平安の意味は旅立つ人の「旅行中の安全を願う言葉」で旅立ちのときや別れのときに使う挨拶言葉として使われるが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
語学好きでライターを5年経験したEastflowerを呼んです。一緒に「一路平安」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/eastflower
語学好きで英語、中国語が得意の5年目のライター。今回のような中国語起源の言葉の解釈では、本来の中国での言葉の使い方から現在使える場面まで幅広く解説していく。
「一路平安」の意味は?
「一路平安」には、次のような意味があります。まずは辞書の言葉の定義から見ていきましょう。
1.《中国語で「道中ご無事で」の意》旅立つ人の道中の無事を祈る言葉。
出典:大辞林 第三版(三省堂)「一路平安」
2.《名詞》道中御無事でごきげんようの意。
出典:日本国語大辞典(精選版)「一路平安」
「一路平安」はもともと中国から伝わった言葉です。
「一路」は日本語では「ひとすじに続く道」や副詞的に「寄り道をせずまっすぐに」という意味を含みますが、中国語の場合「一路」は単純に「道中」や「旅の途中」の意味として使われます。
「平安」は日本語でも中国語でも「平安に」「無事に」「平穏に」とほとんど同じ意味になり、辞書で記載されているとおり「道中ご無事で」という意味になるのですね。
「一路平安」は旅立つ人の道中の無事を祈る言葉であり、中国でも旅立つ相手に「一路平安」と声をかけますが、多くの場合「祝你一路平安」と「祝你」を「一路平安」の前につける方が多いです。
「祝你」の「祝」は「祈る」という意味で「你」は「あなた」の意味になりますから中国語の「祝你一路平安」は「ジュー・ニィー・イールー・ピンアン」と発音し、「(私は)あなたが道中ご無事であることをお祈りします。」という意味になるのですね。
「一路平安」の語源は?
次に「一路平安」の語源を確認しておきましょう。
「一路平安」という表現は、中国、清朝中期の乾隆帝(けんりゅうてい)の時代(18世紀中ごろ)に書かれた『紅楼夢』(こうろうむ)という作品の中でも使われているのです。
『紅楼夢』は長編の口語小説であり大貴族の家庭を舞台に上流階級の生活や主人公たちの恋愛物語であり、中国版『源氏物語』と例えられることもしばしばあります。実際には、かなり古くから別れの時のあいさつとしてひんぱんに使われてきた表現だと考えられているのです。
\次のページで「「一路平安」の使い方・例文」を解説!/