この記事では「生者必滅(しょうじゃひつめつ)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「生者必滅」の意味は「人はいつ必ず死ぬ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「生者必滅」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「生者必滅」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「生者必滅」の意味や使い方を見ていきましょう。

「生者必滅」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「生者必滅」には、次のような意味があります。

〘仏〙 生あるものは必ず死ぬということ。世の中がはかないことにいう。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「生者必滅」

まず、「生者必滅」仏教語が由来であり、「生者」は「しょうじゃ」と読むことに気をつけてください。「生者」の意味は、そのまま「生きとし生ける者」という意味です。

また、後半部の「必滅」は「ひつめつ」と読み、そのまま「必ず滅びる」という意味を表します。これら二つをつなげると見えてくるのが、「生きているものはいつかは必ず滅びる」という仏教の世界にある「無常観」です。

みなさんも、中学や高校の国語の時間に学んだことがあるのではないでしょうか。

「生者必滅」の由来・出典は?

次に「生者必滅」の出典を確認しておきましょう。この四字熟語の出典は、「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」という仏教の経典です。

この経典の中にある「寿命品(じゅみょうぼん)」の一節に次のようなものがあります。

一切諸世間(いっさいしょせけん)、生者皆帰死(しょうじゃかいきし)、寿命雖無量(じゅみょうすいむりょう)、要必当有尽(ようひっとううじん)。

この部分の意味は簡単に言えば、「生あるものは必ず死に、現世では寿命は必ず尽きる」です。これが由来となって、現在の「生者必滅」が生まれました。

\次のページで「「生者必滅」の使い方・例文」を解説!/

「生者必滅」の使い方・例文

「生者必滅」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

ビデオゲームに現れるどんなモンスターだって頑張っていればいつかは倒れる、生者必滅ってやつだよ。

生者必滅を証明するクエストをクリアするのに必要な武器の材料は、私に言ってくれれば調達しますよ。

あんなにわが世の春を謳歌していたギルドも、生者必滅の絶対法則には抗うことができなかったようだ。

「生者必滅」は、原則として生きとし生ける者に対して用いられるものです。しかしながら、上記の例文の中に出てくるモンスターなど、架空の生き物に対して応用することもできます。

また、最後の例文のギルドのように生き物ですらないものを人にたとえた上で、いつかは滅びるとすることも可能です。いずれにしても、この世に永遠に続くものなど何もないという基本の意味を押さえておくことが重要でしょう。

#2 「生者必滅」の類義語は?違いは?

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ところで、「生者必滅」類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、その中でも代表的なものを二つほどご紹介します。

「盛者必衰」

「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」は、「生者必滅」の類義語の中でももっとも代表的なものではないでしょうか。というのも、かの有名な平家物語の冒頭文に「祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘の声、諸行無常(しょぎょうむじょう)の響きあり、沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色、盛者必衰の理(ことわり)をあらわす」という一節があるからです。

この四字熟語のは、勢いが盛んな者もいつかは必ず衰えるという意味を表します。「生者必滅」と同様に無常観を表しているわけですね。

\次のページで「「会者定離」」を解説!/

「会者定離」

「会者定離(えしゃじょうり)」もまた、「生者必滅」の類義語のひとつだといえます。こちらの四字熟語が表すのは、現世で出会った人とはいつかは必ず離れる定めにあるという意味です。元々は仏教語である点も、「生者必滅」と共通しています。

また、「生者必滅会者定離」とセットで用いられることも多いので、覚えておくといいでしょう。では、これらの類義語を用いた例文をチェックしてみましょう。

いくらレアアイテムを揃え装備を強化したところで、盛者必衰の原則は崩れるはずもなかろう。

会者定離とはいうものの、飲み会で訪れた人気の居酒屋が閉店との情報を耳にすると物悲しいものだ。

#3 「生者必滅」の対義語は?

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さて、「生者必滅」の対義語はどのようにとらえればいいのでしょうか。「生者必滅」がいつかは必ず死んでしまうことを意味するのなら、その対義語は命が永遠に続くことを表すはずです。

ここでは、そのような意味合いをもった四字熟語を二つほどご紹介します。

「不老不死」

「不老不死」は、「生者必滅」の対義語の中でももっとも易しく分かりやすいものではないでしょうか。この四字熟語の表す意味はいうまでもなく老いることなく永遠に生きることです。

この四字熟語の出典は、「列子(れっし)」という書物の中にある「湯問(とうもん)」の一節だとされます。その書物の中にある「之を食らえば死なず老いず」という一文にその由来があるというのが定説です。

「長生久視」

「長生久視(ちょうせいきゅうし)」もまた、「生者必滅」の対義語だといえるものです。この四字熟語には、「長くずっと生きること」という意味合いがあります。

前半の「長生」はともかくとして、後半の「久視」とはどのような意味を表しているのでしょうか。「久視」には、永久に目で見るという意味があります。

これらを合わせると、長生きをして永久に目で見続けるという意味合いが浮かび上がってくるというわけです。

\次のページで「「生者必滅」の英訳は?」を解説!/

生き物が死滅せずに不老不死になる方法があるのなら、ぜひ披露していただきたいものだね。

この世の中に長生久視なんてものがあるわけがないとあれほど口を酸っぱくして言ったじゃないか。

#4 「生者必滅」の英訳は?

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最後に「生者必滅」の英語訳についても押さえておきましょう。

「All living things must die.」

「All living things must die.」は、「生者必滅」を過不足なく表現した英語訳だといえるものです。この英語表現を直訳すると「すべての生き物は死ぬものである」となります。

これは、「生者必滅」の意味とほとんど同じだといってもいいのではないでしょうか。

「Life is subject to decay.」

「Life is subject to decay.」もまた、「生者必滅」の英語訳として十分に通用するものです。この英語表現に現れる「be subject to ~」には、「~の対象になる」という意味があります。

また、最後の「decay」が表すのは、「老衰」「衰え」などの意味です。これらをつなぎ合わせると、この英語表現には「生命というのは衰えの対象となるものだ」という意味であることが分かります。

「生者必滅」を使いこなそう

この記事では「生者必滅」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の意味は、「生きているものはいつか必ず死を迎える」でしたね。

何かの漫画か小説で、「命が永遠に続いたならば、それは拷問にも等しい」という内容のセリフを見かけたことがあります。まさにその通りではないかと思わされました。

命は限られているからこそ大切にし、また真摯に人生をまっとうするのだと感じ入ったしだいです。みなさんも、この四字熟語を使う機会に恵まれたら、ぜひ臆することなくどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「生者必滅」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「生者必滅(しょうじゃひつめつ)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「生者必滅」の意味は「人はいつ必ず死ぬ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「生者必滅」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「生者必滅」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「生者必滅」の意味や使い方を見ていきましょう。

「生者必滅」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「生者必滅」には、次のような意味があります。

〘仏〙 生あるものは必ず死ぬということ。世の中がはかないことにいう。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「生者必滅」

まず、「生者必滅」仏教語が由来であり、「生者」は「しょうじゃ」と読むことに気をつけてください。「生者」の意味は、そのまま「生きとし生ける者」という意味です。

また、後半部の「必滅」は「ひつめつ」と読み、そのまま「必ず滅びる」という意味を表します。これら二つをつなげると見えてくるのが、「生きているものはいつかは必ず滅びる」という仏教の世界にある「無常観」です。

みなさんも、中学や高校の国語の時間に学んだことがあるのではないでしょうか。

「生者必滅」の由来・出典は?

次に「生者必滅」の出典を確認しておきましょう。この四字熟語の出典は、「大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)」という仏教の経典です。

この経典の中にある「寿命品(じゅみょうぼん)」の一節に次のようなものがあります。

一切諸世間(いっさいしょせけん)、生者皆帰死(しょうじゃかいきし)、寿命雖無量(じゅみょうすいむりょう)、要必当有尽(ようひっとううじん)。

この部分の意味は簡単に言えば、「生あるものは必ず死に、現世では寿命は必ず尽きる」です。これが由来となって、現在の「生者必滅」が生まれました。

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