この記事では「蛙の子は蛙」について解説する。

端的に言えば蛙の子は蛙の意味は「親子は同じ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、慣用句のライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「蛙の子は蛙」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回はことわざの「蛙の子は蛙」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「蛙の子は蛙」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 41401665

それでは早速「蛙の子は蛙」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。この用語の読み方は「かえるのこはかえる」ですね。ところで、蛙の子がおたまじゃくしだということは知っていますね。哺乳類は生まれ落ちたときにすでに親と似ていますが、両生類のカエルは卵を産み、卵から生まれた子供は親とはまったく違う姿をしていますね。しかし、おたまじゃくしはやがて脚がはえ、尻尾が縮んでいき、いつの間にか親のカエルと同じ姿になりますね。生まれたときは親とまったく似ていないおたまじゃくしも、結局は親と同じカエルにしかならない、ということですね。そこから、人間対して使う表現になったのですよ。

「蛙の子は蛙」の意味は?

蛙の子は蛙」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

子は親のたどった道を歩むものだ、また、凡人の子は凡人にしかなれないものだ、の意。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「蛙の子は蛙」

親と子は遺伝子情報が共通していますから、素質にそれほどの差はありませんし、子供は両親の作り出す生活環境の中で育ちますから、親が平凡で才能がないとすれば、子供も同じように育つのがふつうですね。ですから「蛙の子は蛙」は、子供が親をはるかに超えて優秀になることなどない、という意味が含まれていますね。ですから、褒め言葉として使うことはできませんが、自分たちを卑下したり謙遜したりする言葉としては使うことがありますね。もちろん、子供が大人になったとき親をはるかに超える能力を発揮することもありますし、その逆に、親は評判がいいのにその子供は人生に失敗する、などということも人生にはよくありますから、自然界のカエルと人間はかなり違いますね。

「蛙の子は蛙」の使い方・例文

蛙の子は蛙」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「蛙の子は蛙」の類義語は?違いは?」を解説!/

人間というのはしょせん「蛙の子は蛙」だと思っていたら、その人気のスポーツ選手は、親がふつうのサラリーマンだというから驚きだ。

うちの息子は、たしかに高校時代は優秀な成績を取りましたが、まあ「蛙の子は蛙」ですから、大学卒業後は研究職から転職いたしました。

皆様に、お宅のお嬢様は知識も教養も抜群だとお褒め頂いていますけれど、「蛙の子は蛙」ですから、ご期待に添えるほど成長するとは思えません。

蛙の子は蛙」ですから、あなたの息子さんは将来あなたと同じような社会の指導者になられると思います、などという使い方をしてはいけません。自分が謙遜して言うのには適した言葉ですが、相手を誉める言葉ではないのですよ。また、親と子は同じ程度のものだという意味の「蛙の子は蛙」ということわざは、ふつうは平凡な親子に用いますから、レベルの高い親子には使わないことに注意してくださいね。

「蛙の子は蛙」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 44704971

蛙の子は蛙」の類義語として、「瓜の蔓には茄子はならぬ」と「狐の子は面白」を紹介することにしますね。

「瓜の蔓には茄子はならぬ」

瓜の蔓には茄子はならぬ」の読み方は、「うりのつるにはなすびはならぬ」で、「蛙の子は蛙」のちょうど逆の表現ですね。瓜はつるになって生長し、そこにキュウリを太くしたような実がなりますね。瓜も食べることができますが、紫色をした茄子と比較したら、野菜としての価値は落ちますね。瓜の蔓には、そんな茄子が実ることはなく、結局瓜しか実らないということになりますね。

瓜の蔓には茄子はならぬ」ということわざがあるけれど、成長した子どもの姿を見るにつけて、それが事実だと実感している。

\次のページで「「狐の子は面白」」を解説!/

「狐の子は面白」

狐の子は面白」の読み方は、「きつねのこはつらじろ」で、キツネは親に似て顔が白いということですね。「蛙の子は蛙」と同じように、子供は親に似るものだという意味ですが、ただ、キツネの子はおたまじゃくしとは違って、そもそも親のキツネに姿形が似ていますね。それでいて、顔が白いというところを強調して言うのは面白いですね。オオカミの顔は白くないので、おとぎ話でもよくいっしょに行動するキツネとオオカミの違いが、そのあたりに出ているのかもしれませんね。

まあ、なんて可愛い赤ちゃんでしょう。「狐の子は面白」と言いますけど、お母さんそっくりですね。

「蛙の子は蛙」の対義語は?

蛙の子は蛙」の対義語として、「鳶が鷹を生む」と「不肖の息子」を紹介しておきましょう。「蛙の子は蛙」は親と子はいい意味でも悪い意味でも似るものだ、という意味ですから、対義語としては、子供が親を超えた能力を発揮するという意味のものと、その逆に子供が親の地位まで届かないという意味のものがありますね。

「鳶が鷹を生む」

鳶が鷹を生む」は、「とびがたかをうむ」と読みますが、トビもタカも猛禽類に属する鳥ですね。自然界では絶対にそういうことはありませんが、子供が親以上の能力を発揮して親以上の存在になることをたとえて表現することわざですね。タカはワシとならんで、猛禽類の頂点に位置していて、人間がとても登っていけないような岩山に住んでいますね。それに対してトビは、郊外の農村に住んでいて、独特の鳴き声を出しながら、中空をぐるぐる回っていますから、人間にとって身近な存在ですね。トンビということもあります。自然界ではありえないことですが、人間社会では、親をはるかに超える才能をもった子供が生まれるという奇跡のようなことも起こりますし、親の社会的地位をしのぐ成功を収める子供もいますね。

うちの息子は小学生のときには天才などと言われ、将来どんな素晴らしい人物になるかと期待されたのですが、「鳶が鷹を生む」などということはなかったとうことですね。

「不肖の息子」

不肖の息子」は「鳶が鷹を生む」の反対に、親に似ずできのわるい息子という意味ですね。ふつうは、親が自分の息子のことを謙遜する場合に使いますから、本当に親に似ないできのわるい息子という意味ではありませんので、注意してくださいね。

\次のページで「「蛙の子は蛙」の英訳は?」を解説!/

親に似ず「不肖の息子」ではありますが、皆様のご尽力で支えて頂ければと、お願いする次第です。

「蛙の子は蛙」の英訳は?

image by PIXTA / 11439521

「蛙の子は蛙」をそのまま英語にしてみても通じないかもしれませんが、「親と子は似ている」という意味のことわざが、英語にはありますね。Like father, like son. がそれです。 

「Like father, like son.」

Like father, like son. という英語のことわざですが、このlikeは「好き」という意味の動詞ではなく、「~のような」という意味だということはわかりますね。「父親と息子は同じようなもの」という意味になりますね。

「蛙の子は蛙」を使いこなそう

この記事では「蛙の子は蛙」の意味・使い方・類語などを説明しました。親と子は似るものだ、というのは当たり前のことのように見えますが、この広い世界で成長しているうちに、親と子が対立したり、子供は親とは別の自分の道を歩くこともあります。「蛙の子は蛙」でいられたら、むしろ人生は安泰なかもしれませんね。

" /> 【慣用句】「蛙の子は蛙」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「蛙の子は蛙」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「蛙の子は蛙」について解説する。

端的に言えば蛙の子は蛙の意味は「親子は同じ」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、慣用句のライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「蛙の子は蛙」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回はことわざの「蛙の子は蛙」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「蛙の子は蛙」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 41401665

それでは早速「蛙の子は蛙」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。この用語の読み方は「かえるのこはかえる」ですね。ところで、蛙の子がおたまじゃくしだということは知っていますね。哺乳類は生まれ落ちたときにすでに親と似ていますが、両生類のカエルは卵を産み、卵から生まれた子供は親とはまったく違う姿をしていますね。しかし、おたまじゃくしはやがて脚がはえ、尻尾が縮んでいき、いつの間にか親のカエルと同じ姿になりますね。生まれたときは親とまったく似ていないおたまじゃくしも、結局は親と同じカエルにしかならない、ということですね。そこから、人間対して使う表現になったのですよ。

「蛙の子は蛙」の意味は?

蛙の子は蛙」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、次のように書かれていますね。

子は親のたどった道を歩むものだ、また、凡人の子は凡人にしかなれないものだ、の意。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「蛙の子は蛙」

親と子は遺伝子情報が共通していますから、素質にそれほどの差はありませんし、子供は両親の作り出す生活環境の中で育ちますから、親が平凡で才能がないとすれば、子供も同じように育つのがふつうですね。ですから「蛙の子は蛙」は、子供が親をはるかに超えて優秀になることなどない、という意味が含まれていますね。ですから、褒め言葉として使うことはできませんが、自分たちを卑下したり謙遜したりする言葉としては使うことがありますね。もちろん、子供が大人になったとき親をはるかに超える能力を発揮することもありますし、その逆に、親は評判がいいのにその子供は人生に失敗する、などということも人生にはよくありますから、自然界のカエルと人間はかなり違いますね。

「蛙の子は蛙」の使い方・例文

蛙の子は蛙」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「蛙の子は蛙」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: