「後ろ髪を引かれる」という慣用句は簡単に言うと、心がそこに残って前に進むことが出来ないという感情。失恋がそうでしょう、別れても相手のことを想い続けている。そんな気持ちが「後ろ髪を引かれる」状態です。感情面だけでなく言葉の意味を詳しく知って、使いこなせるようになろう。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んです。一緒に「後ろ髪を引かれる」を解説していく。
ライター/小島 ヨウ
言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。
「後ろ髪を引かれる」の意味・使い方
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例えば、家族の仕事の都合で引っ越さなければならなくなった時。気の合う友人たち、思い出いっぱいの家を残していくのが惜しい、地元から離れがたい、しかし去らなければならない寂しさ。この切ない気持ちを表す慣用句が「後ろ髪を引かれる」です。詳しい意味、使い方を説明していきますね。
「後ろ髪を引かれる」の意味
まず「後ろ髪を引かれる」の言葉の意味を辞書で調べてみます。
後に心が残って、先に進むことが出来ない。未練が残って、きっぱりと思いきることが出来ない。
出典:精選版 日本国語大辞典 「うしろがみ【後髪】を引(ひ)かれる」 より
「後ろ髪」は後頭部に生えている髪のこと、引っ張られると前に進むことは難しいでしょう。この状態をたとえにして、気になってすっきり思いきれない・心が残って離れられないといった意味で使われます。
「後ろ髪」は心残り、「前髪」は?
「前髪」は額にかかる髪のこと。古くは女子や少年が額の髪を別に束ねた髪型で、元服前の男子を指しました。
また「幸運の女神は前髪しかない」ということわざがあります。幸運の神様は女性また男性と説はありますが、ばったり出遭ってつかめるのは前髪だけ、すれちがって引っ張ろうにも後ろの髪はありません。チャンスは巡ってきたその瞬間につかまなければならない、という意味です。幸運を逃してしまうと、心残りで「後ろ髪を引かれる」のでしょう。
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