
どうして空は青いの?「レイリー散乱」を理系学生ライターがわかりやすく解説
レイリー散乱と波長の関係

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ここでは、レイリー散乱による散乱光の強度と入射光の波長の関係について考えてみましょう。レイリー散乱光の強度Iは、I=(π4d6/8R2)(n2-1/n2+1)(1+cos2θ)( I0/λ4)で与えられることが知られています。ここで、πは円周率、dは粒子の直径、Rは粒子からの距離、nは屈折率、θは散乱角、I0は入射光の強度、λは入射光の波長です。
定点で散乱光を観察するとき、d、R、n、θは定数とみなすことができます。ゆえに、定点観測の場合、レイリー散乱光の強度Iは比例定数Sを用いてI=S( I0/λ4)と表すことができますよね。I=S( I0/λ4)という式から、レイリー散乱光の強度は、入射光の波長の4乗に反比例することがわかります。つまり、波長が短いほど、レイリー散乱が生じやすくなるということですね。
青い空

良く晴れた日に空を見上げると、綺麗な青空が目に入ってきます。ですが、よく考えてみてください。地表面にいる私たちから見て、空の方向に存在しているものは大気だけです。大気の主成分は、酸素や窒素であり、これらは無色の気体ですよね。では、なぜ空は青く見えるのでしょうか?実は、空が青く見る理由は、レイリー散乱を用いて説明することができますよ。
太陽光には、赤外線、可視光線、紫外線といった様々な波長成分をもった光が混ざっています。可視光線の波長について考えると、赤、橙、黄、緑、青、紫の順で波長が短くなっていきますよね。ここで、先ほど学んだことを思い出してみましょう。レイリー散乱光の強度は、入射光の波長の4乗に反比例するということです。
このことから、青味のある色は赤味のある色よりもレイリー散乱が生じやすいことがわかります。そのため、地球にやってくる太陽の光が大気を通過するとき、青味のある色がレイリー散乱によって広がりますよ。レイリー散乱によって散乱された光が、他の粒子に入射し、もう一度レイリー散乱されるということを繰り返すのです。このような現象が生じることで、晴れた日には一面に広がる青空を見ることができるのですね。
夕焼け

先ほど、なぜ晴れた日の空が青く見えるのかを考えました。次に考えるのは、なぜ夕焼けは赤く染まってみえるのかということです。この現象は、日中と夕方では太陽光の光路長が異なるということから説明することができますよ。
昼間の太陽の位置を考えてみてください。昼の間、太陽は私たちの頭の上にあり、太陽光は地面に対して垂直に近い角度で入射します。これは、太陽光が大気に対しても垂直に近い角度で入射していることを意味しますよね。一方、夕方の場合はどのようになるでしょうか。日が沈む前、太陽は低い位置に見えます。このとき、太陽光は地面に対して平行に近い角度で入射しますよね。そして、太陽光は大気に対しても平行に近い角度で入射しますよ。
以上のことから、日中よりも夕方のほうが、太陽光が大気を通過する時間が長くなることがわかります。そのため、夕方のほうが、レイリー散乱の生じる回数が多くなるのです。レイリー散乱を何度も繰り返すと、光は減衰してしまいます。日が沈む前、レイリー散乱しやすい青味のある色は減衰し、人間の目には届かないのです。
一方、波長が長い赤味のある色はレイリー散乱が生じにくいので、夕方であっても私たちの目に届きます。これが、夕焼けが赤く見えるメカニズムなのです。
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