この記事では「筋を通す」について解説する。

端的に言えば筋を通すの意味は「首尾を一貫させる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「筋を通す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に年間60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「筋を通す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「筋を通す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「筋を通す」の意味は?

「筋を通す」には、次のような意味があります。

首尾を一貫させる。また、道理にかなうようにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「筋を通す」

「筋(すじ)」には、様々な意味があります。筋肉や家柄、ほかにも素質がある人に「筋がいい」といった表現をすることもあるでしょう。「筋を通す」での「筋」は、真っ直ぐに伸びた一本の糸をイメージしてみてください。真っ直ぐな糸は、簡単に針の穴に通すことができますよね。もしも、糸が絡まっている場合には通せず、次の作業に進むことすらできません。その糸は「思考」であり、針を「困難」だと思って考えてみてください。

「首尾」は、始まりから終わりまでという意味。「道理」は、人としての正しい道を表しています。途中で考えを変えることなく、一度決めたことを最後までやり抜く姿は見ていて気持ちがいいもの。「筋を通す」人というのは一貫性があり、道理を外れたようなことはしません。だからこそ、多くの人から信頼され尊敬されるのです。人柄を表現する以外にも、一貫した話や、矛盾のない表現に対しても「筋を通す」を使うとよいでしょう。

「筋を通す」の使い方・例文

「筋を通す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「筋を通す」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.約束をしたのなら、破ることなく最後まで筋を通して欲しい。

2.あなたの筋を通した生き方は、尊敬に値する。

3.優良企業において、筋を通すことは当然だ。

「筋を通す」は、相手を称賛する以外にも、相手の行動を非難する場合にもよく使われます。たとえば、約束した契約を撤回したうえに、考えがコロコロ変わる社員がいたとしましょう。このような場合に「筋を通してください」と使うことができます。

ほかにも、会社の方針が頻繁に変更されていたら、従業員はどう思うでしょうか。きっと不安になりますよね。いかなる場合においても、物事には筋を通す必要があります。むしろ、筋を通さずに業績を伸ばすなど不可能でしょう。一貫性がない仕事の取り組み方は、信用問題に関わりかねません。ビジネスにおいても「筋を通す」は欠かせない要素なのです。

「筋を通す」の類義語は?違いは?

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では、「筋を通す」の類義語や違いをみていきましょう。

「筋道を立てる」

「筋道を立てる」は、「筋を通す」と同じ意味として使うことができます。「筋道」とは、物事がそうなっている理屈、もしくは正しい順序という意味。「立てる」は、新たに作り仕立てると考えるとよいでしょう。大きな違いとしては、「筋道を立てる」は必要な手続きを踏むという意味も含まれていることです。「筋道を立ててください」といえば「結果に繋がるまでの工程を考えてください」という意味になりますね。

ビジネスでは「筋道を立てる=論理的思考」と考えられる場合が多いです。合理的に仕事を進めるためには「筋道を立てる」作業は欠かせません。工程を明確にしておくことで、一緒に作業する相手にも分かりやすく説明することができます。どのような業務であっても「道筋」を意識するだけで効率が上がるはずですよ。

「辻褄を合わせる」

「辻褄(つじつま)を合わせる」の意味は、筋道が通るようにすること、もしくは理屈を合わせることです。「筋を通す」が、真っ直ぐな糸によって簡単に針に通せたとするならば、「辻褄を合わせる」は、糸が通るように針の形を変化させたとイメージしてみてください。

正解に辿り着くためには、結果に至るまでの工程と理屈が必ず必要ですよね。すなわち、矛盾があってはいけません。矛盾があった時点で、最終的には不正解に辿り着いてしまいます。想像通りの結果となるように、先に順序を調整していく作業こそが「辻褄を合わせる」といってよいでしょう。

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「筋を通す」の対義語は?

反対の意味として、シンプルに「筋を通さない」と表現をしても問題ありませんが、ほかにも対義語として使える言葉があります。状況に応じで使い分けられるように、「筋を通す」の対義語をみていきましょう。

「二転三転」

「筋を通す」の意味は、始めから終わりまで貫き通すことでした。対して「二転三転」は、物事の内容や成り行きが何度も変化するという意味になります。よく「あの人の話は二転三転する」などと表現しますよね。話す内容が変化してしまうのは、筋が通っていない証拠。貫き通す覚悟が足りないからです。その場に合わせて適当に発言したところで状況は好転しません。「二転三転」するような人より、「筋を通す」人の方が信頼できることは間違いないでしょう。

「義理を欠く」

「筋を通す」は、人の行いが正しく論理的であるという意味がありました。対して「義理を欠く」は、対人関係において当然しなければいけない事を怠るという意味になります。たとえば、普段からお世話になっている人がいたら、お礼を言うのは当然ですよね。ところが、お礼をするどころか、お世話になった人に対して失礼な態度をとったとしましょう。これは「義理に欠ける」行為といえますね。

「義理」には、物事の正しい筋道や道義といった意味があります。人として「義理を欠く」行動や発言は好ましくありません。感心できない行いをした相手に対して、注意したい時に使うとよいでしょう。

「筋を通す」の英訳は?

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では、「筋を通す」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「reasonable」

reasonable」は「道理に合った」や「合理的な」という意味になります。そのため「reasonable」を用いれば「筋を通す」として伝えることができるでしょう。「She is reasonable」と言えば「彼女は筋を通す人だ」と英訳することができます。「筋が通らない」と英訳したい場合は、「not」をプラスして「not reasonable」にするとよいでしょう。

\次のページで「「make sense」」を解説!/

「make sense」

make sense」は「道理にかなう」という意味になります。まさに「筋を通す」と全く同じ意味といえますね。「sense」は「感覚」といった意味以外にも「物事の道理」という意味もあります。そのため「make sense」で「筋を通す」として英訳することができるでしょう。少しフランクな言い方をするならば「It make sense」といえば「それは筋が通っているね」と伝えることができます。

「筋を通す」を使いこなそう

この記事では「筋を通す」の意味・使い方・類語などを説明しました。「筋を通す」は、言葉で言うのは簡単ですが、実際に行動で示すとなると意外と大変です。やはり、揺るぎない信念を持って挑まない限り、ちょっとした事がきっかけで気持ちが揺らぐことがあるのではないでしょうか。ただし、何かで成功したい時、もしくは目標を達成したい時などは、筋を通す姿勢も大切です。いきなり実践できなくても、始まりから終わりまでの道筋を想像することから始めてみましょう。スタートとゴールの過程が明確になることで、きっと自信を持って一歩が踏み出せるはずですよ。

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国語言葉の意味

【慣用句】「筋を通す」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「筋を通す」について解説する。

端的に言えば筋を通すの意味は「首尾を一貫させる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「筋を通す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に年間60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で慣用句を解説していく。

「筋を通す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「筋を通す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「筋を通す」の意味は?

「筋を通す」には、次のような意味があります。

首尾を一貫させる。また、道理にかなうようにする。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「筋を通す」

「筋(すじ)」には、様々な意味があります。筋肉や家柄、ほかにも素質がある人に「筋がいい」といった表現をすることもあるでしょう。「筋を通す」での「筋」は、真っ直ぐに伸びた一本の糸をイメージしてみてください。真っ直ぐな糸は、簡単に針の穴に通すことができますよね。もしも、糸が絡まっている場合には通せず、次の作業に進むことすらできません。その糸は「思考」であり、針を「困難」だと思って考えてみてください。

「首尾」は、始まりから終わりまでという意味。「道理」は、人としての正しい道を表しています。途中で考えを変えることなく、一度決めたことを最後までやり抜く姿は見ていて気持ちがいいもの。「筋を通す」人というのは一貫性があり、道理を外れたようなことはしません。だからこそ、多くの人から信頼され尊敬されるのです。人柄を表現する以外にも、一貫した話や、矛盾のない表現に対しても「筋を通す」を使うとよいでしょう。

「筋を通す」の使い方・例文

「筋を通す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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