この記事では「驚天動地(きょうてんどうち)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「驚天動地」の意味は「とても驚かせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「驚天動地」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「驚天動地」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「驚天動地」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「驚天動地」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「驚天動地」には、次のような意味があります。

世間を非常に驚かせること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「驚天動地」

「驚天動地」は、「天を驚かし地を動かす」と読むこともできます。前半部の「天を驚かす」にしても後半部の「地を動かす」にしても、世界をあっと言わせて揺さぶるような様子を表すことに変わりありません。

ちなみに「天地」には、宇宙や世界といった意味合いも存在します。

「驚天動地」の由来・出典は?

次に「驚天動地」の由来や出典を確認しておきましょう。この熟語の出典は、唐代の詩人である白居易(はっきょい)が詠んだ「李白墓(りはくぼ)」という詩です。

この詩の中で、白居易はかつて一世を風靡した大詩人・李白の墓がすっかり荒れ果ててしまっていることを嘆きます。この詩の中で白居易が用いたのは、「曾(かつ)て驚天動地の文有り」という表現です。

かつて世間を驚かすような名詩・名文を残した李白のことを「驚天動地」とい言葉で称賛したものだったというわけですね。

\次のページで「「驚天動地」の使い方・例文」を解説!/

「驚天動地」の使い方・例文

「驚天動地」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

飛行機一機をまるごと使ってビルにぶつけたテロは、まさに驚天動地の出来事でした。

次々に人々が倒れていくという驚天動地の光景に人々はなす術もなかったといいます。

次々に自由形の記録を塗り替えていく彼の泳ぎは、まさに驚天動地といってもいいだろう。

「天を驚かし」「地を動かす」わけですから、単に驚くくらいではこの四字熟語は用いません。自分個人だけではなく、それこそ全世界が「あっ」と驚くような出来事に対して用いるのがふさわしいといえるでしょう。

たとえば、目の前を急に猫が横切ってあなたを驚かせたとします。この程度のことで「驚天動地」を使用してしまうと、あまりに大げさであり、適切であるとはいえません。

ポイントは、自分一人ではなく世間の人々もみんな一様に驚かせる、その驚きもかなり大きいものであることが必要です。上記の例文からはそれぞれ、そういったニュアンスが読み取れます。

#2 「驚天動地」の類義語は?違いは?

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ところで、「驚天動地」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的なものを二つほどご紹介します。

「震天動地」

「驚天動地」の類義語として、はじめに挙げておきたいのが「震天動地(しんてんどうち)」です。こちらは、「天を震わし地を動かす」と訓読できます。

表す意味合いは「驚天動地」とほぼ同じで、「天を驚かし」の部分が「天を震わし」に変わっているだけです。こちらの四字熟語は、北魏の時代に書かれた「水経注(すいけいちゅう)」という書物の「河水(かすい)」という章に現れたものが由来とされます。

\次のページで「「震天駭地」」を解説!/

「震天駭地」

「震天駭地(しんてんがいち)」もまた、「驚天動地」の類義語といって差し支えのない存在です。この四字熟語に現れる「駭地」には、「地を駭(おどろ)かせる」という意味合いがあります。

つまり、この四字熟語全体が表しているのは、「天を震わせ地を駭かせる」という意味なのです。こうなると、先に紹介した二つとあまり意味合いが変わらないことが分かるでしょう。

では、これらの類義語を用いた例文もチェックしておきましょう。

来日して一試合で3ホーマーを打つなど、その外国人選手のはたらきは震天動地といえるものだった。

震天駭地といえば、三大会連続で金メダルをとった柔道選手のはたらきにはまさに世界が驚いた。

#3 「驚天動地」の対義語は?

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さて、「驚天動地」対義語はどのようにとらえればいいのでしょうか。「驚天動地」が世界を驚かせるような出来事を表すのなら、その対義語は当たり前過ぎてまったく驚かないことではないでしょうか。

ここでは、そのような:意味合いを持った四字熟語を二つほどご紹介します。

「平々凡々」

「平々凡々(へいへいぼんぼん)」は、「平凡」という熟語を重ねて意味を強調したものです。この熟語は、際立ったところもなくありきたりな様子を表しています。

この熟語を構成する「平」も「凡」も、普通であることを表す漢字です。いたって普通なわけですから、それを見た人がいたとしても取り立てて驚くことはありません。

「無声無臭」

「無声無臭(むせいむしゅう)」もまた、「驚天動地」の対義語だといえるものです。こちらの四字熟語は、誰にも気づかれないほど目立たないことを意味します。

前半部の「無声」が表すのは何の音声も出さないことです。一方で後半の「無臭」は何の臭いもしないことを意味します。

つまり、行動を起こしたところで何ら影響が及ぶことはないというわけです。では、これらを用いた例文も確認しておきましょう。

編集者との通話内容も平々凡々なもので、大変な事件を引き起こすようには思われませんでした。

書店にある新着情報のコーナーに立ち寄ってはみたが、どれも無声無臭のものばかりのように思えた。

\次のページで「「驚天動地」の英訳は?」を解説!/

#4 「驚天動地」の英訳は?

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では、最後に「驚天動地」の英語訳についてもみていきましょう。

「earth-shattering」

「earth-shattering」は、「驚天動地」の英訳の中でも代表的なもののひとつだといえます。この表現に現れる「earth」が表すのは、大地または地球です。

もう一方の「shattering」の「shatter」には打ち砕くという意味合いがあります。この二つを合わせると見えてくるのが、「大地を打ち砕くような」という意味です。

もちろん、それだけ衝撃的で驚きであることはいうまでもありません。

「world-shaking」

「world-shaking」もまた、「驚天動地」の英語訳といって差し支えないものです。こちらの「world」は世界を、「shaking」の「shake」は揺らすという意味があります。

そして、これら二つをつなげたものが「世界を揺るがすような」という意味合いです。

「驚天動地」を使いこなそう

この記事では「驚天動地」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語は、世界を大いに驚かせることでしたね。

とかく世間では過剰な形容表現を使ってしまうきらいがあります。私たちは、適切なシーンで適切な言葉が選べるようになりたいものですね。

みなさんも、この四字熟語を使える場面に遭遇したら、ぜひ臆することなくどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「驚天動地」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「驚天動地(きょうてんどうち)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「驚天動地」の意味は「とても驚かせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「驚天動地」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「驚天動地」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「驚天動地」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「驚天動地」の意味は?

まずは、国語辞典での定義から。「驚天動地」には、次のような意味があります。

世間を非常に驚かせること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「驚天動地」

「驚天動地」は、「天を驚かし地を動かす」と読むこともできます。前半部の「天を驚かす」にしても後半部の「地を動かす」にしても、世界をあっと言わせて揺さぶるような様子を表すことに変わりありません。

ちなみに「天地」には、宇宙や世界といった意味合いも存在します。

「驚天動地」の由来・出典は?

次に「驚天動地」の由来や出典を確認しておきましょう。この熟語の出典は、唐代の詩人である白居易(はっきょい)が詠んだ「李白墓(りはくぼ)」という詩です。

この詩の中で、白居易はかつて一世を風靡した大詩人・李白の墓がすっかり荒れ果ててしまっていることを嘆きます。この詩の中で白居易が用いたのは、「曾(かつ)て驚天動地の文有り」という表現です。

かつて世間を驚かすような名詩・名文を残した李白のことを「驚天動地」とい言葉で称賛したものだったというわけですね。

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