この記事では「人が変わる」について解説する。

端的に言えば「人が変わる」の意味は「別人のようになる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗を呼んです。一緒に「人が変わる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「人が変わる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「人が変わる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「人が変わる」の意味は?

「人が変わる」には、次のような意味があります。

別人のようになる。性格や人格が変わる。

出典:goo辞書

人が変わる、というのは、人が替わる、というのとは違います。

人が替わる、という場合には、「ある人が別の人と入れ替わる」という意味ですから、「変」ではなく、「替」を使いましょう。

一方、「人が変わる」は、その人自身が変化してしまうのであって、誰か別の人と入れ替わってしまうのとは違います。

どちらも日本語では「かわる」となりますが、漢字の発想では、「替」と「変」では異なりますので、「人が変わる」と漢字を使う場合には、入れ替わりではなく、変化の意味です。

もちろん「人がかわる」と口で言う場合にはどちらかはわかりませんね。もし誰かがそう言っているときに、前後の文脈からわからない場合には、「交替」なのか「変化」なのか尋ねてみてもよいでしょう。とくにビジネスの場合には、後で誤解を生まないように、どちらなのかをはっきりとさせておいた方が吉です。

「人が変わる」の内容は?

次に「人が変わる」の内容を確認しておきましょう。

「人が変わる」というのは「人が変化する」という意味ですが、では人の何が変化するのかというと、時間や場所の移動に伴って、人格や性格が変わることを指すのが一般的です。

髪を切ったり、装いをかえてイメージチェンジをしたりした場合でも、単にその見た目が変わったことを指して言うというよりは、見た目といっしょに変わったその人の内面を指していると考えられます。

また、出世したり、立場がかわったような場合でも、それ自体を指して人が変わった、というよりは、やはりその人の内面、心構え、覚悟が変わったような場合に、人が変わった、ということになるのです。

「人が変わる」の使い方・例文

「人が変わる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「人が変わる」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.あの人は、会社で昇進した途端に、今までの気さくな人柄から人が変わってしまって、気位ばかり高い人になってしまった。

2.町内会の会長に指名されてから、君は目の色が変わり、人が変わったように会の仕事をしているのがうらやましいよ。

3.会社の経営が傾いてきてからというものの、社長は人が変わってしまい、事業への情熱を失いつつある。

4.同窓会に十年ぶりに出席したら、何人かは人が変わったように威張った態度で、周りはしらけてしまった。

5.家族が病気になってからというものの、あの人は人が変わったように仕事に打ち込んでまじめに働いて稼ぐようになった。

6.ふだん学校では彼女はぼんやりとした感じで目立たないが、登山やキャンプに行くと人が変わったようにてきぱきと作業をして頼もしいかぎりだ。

7.彼は家では静かでおとなしくしていて、奥さんにも子どもたちにも優しく穏やかに接しているらしいが、会社では人が変わったようにバリバリと元気に、時に激しく働いて大きな成果を上げている。

「人が変わる」という言葉は、時間や場所の変化に伴って、ある人の内面、性格、人格が変わることを意味しますが、良い方向に変わる場合もあれば、悪い方向に変わる場合もあります。

また、上記の例文では、1.~5.は、時間の経過によるものであるのに対して、6.と7.は、場所や場面の変化に伴うものです。

「人が変わる」の類義語は?違いは?

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「人が変わる」と似た意味を持つ言葉はとしては、「君子豹変「見違えるようになる」があります。

「君子豹変」

「君子」とは古くからの中国の言葉で「徳の高い立派な人」という意味で、「豹変」とは「がらっと変わる」ということですが、特に、自らの過ちを認めた上で考えや態度を改めて正しい方向を目指して行動する、という意味になります。

過ちを認めるというのは人にとって難しく、またいやなものです。それを率直に認めて自らの態度を改め、正しい行いをしていくというのは立派な人間のすることである、ということになります。

「人が変わる」と「君子豹変」の使い方・例文

同じような内容の文章を「人が変わる」と「君子豹変」を使ってそれぞれ作ってみましょう。

入社一年目には、しばしば自分勝手な意見を言っていた新人が、二年目になって人が変わったように素直でまじめに仕事に取り組むよい社員に育っていて、驚いた。

入社一年目には、しばしば自分勝手な意見を言っていた新人が、二年目になって君子豹変とばかりに素直でまじめに仕事に取り組むよい社員に育っていて、驚いた。

\次のページで「「見違えるようになる」」を解説!/

「見違えるようになる」

この場合「見違える」のはその人ではなく、周りの人です。周りの人が見て、見まちがうほどに変わってしまうことを「見違えるようになる」と言います。

「人が変わる」と「見違えるようになる」の使い方・例文

同じような内容の文章を「人が変わる」と「見違えるようになる」を使ってそれぞれ作ってみましょう。

入社一年目には、しばしば自分勝手な意見を言っていた新人が、二年目になって人が変わったように素直でまじめに仕事に取り組むよい社員に育っていて、驚いた。

入社一年目には、しばしば自分勝手な意見を言っていた新人が、二年目になって見違えるように素直でまじめに仕事に取り組むよい社員に育っていて、驚いた。

「人が変わる」の対義語は?

人が変わる、の対義語は、人は変わらない、という意味の言葉でしょう。例えば、「頑固一徹」や「意固地」という言葉があります。

「頑固一徹」

良くも悪くも「頑固」というのは、かたくなに変わらないことを表します。良い意味では「筋を通す」ということで、人が言うからだとか、世間の情勢がそうだからといって、安易に考えや態度を変えたりはしません。これはある意味立派だと言えます。

一方で、間違えたことをしていても謝らない、間違いを認めないというのも「頑固」と言えますが、これはほめられたことではないでしょう。

「一徹」というのも同様で、一途に思い込んだ道を決めた方法でつき進むということで、「頑固一徹」は、良い意味でも悪い意味でも、変わらない、変えない、ということを表します。

「意固地」

「意固地」の場合には、より悪い意味が強まります。

あの人は意固地だから、という場合、あまり良い意味はありません。人の意見を聞かずに自分の考えにこだわって、おかしなことをするというニュアンスになります。

「人が変わる」の英訳は?

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最後に、「人が変わる」を英語で表現するとどうなるのか確認しておきましょう。

\次のページで「「become like a differrent person」」を解説!/

「become like a differrent person」

「become like a differrent person」で、異なる人物のようになる、という意味になります。

She became like a differrent person,and she studied hard.

彼女は人が変わったように一生懸命に勉強するようになった。

「人が変わる」を使いこなそう

この記事では「人が変わる」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「人が変わる」は、似たような言葉の「君子豹変」や「見違えるようになる」と比べて使いやすいように見えます。一見、単純ですものね。

でもこれを英語で「The man changed.」などとしてしまうとちょっとおかしくなります。この場合の「人」というのは、その人の中身です。ある人を別の人と取り替えるのなら、「人が替わる」または「人を替える」を使います。ですから使い分けをしないといけませんね。

さてわたしたちの人生は、人が変わったようにがむしゃらに働く刺激的な時代もあれば、人間関係に疲れたり生活に問題があったりして、人が変わったように意気消沈して何にもする気の起きないような日々もあります。

そしてその間には、平凡な日常、平均的な毎日があるかもしれません。そのどれも後からみて「ああよかったな」と思えるように、ほんのちょっとでいいから余裕をもった考え方、生き方をしていきたいものです。

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国語言葉の意味

【慣用句】「人が変わる」の意味や使い方は?例文や類語を教材系ライターがわかりやすく解説!

この記事では「人が変わる」について解説する。

端的に言えば「人が変わる」の意味は「別人のようになる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教材系のライターを10年経験した梨子なしこ太朗を呼んです。一緒に「人が変わる」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/梨子なしこ太朗吉

本や雑誌を作り続ける文章職人。参考書から音楽誌まで、娯楽と言葉と実用をむすびつけることを自らも楽しみつつ、分かりやすく伝える。

「人が変わる」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「人が変わる」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「人が変わる」の意味は?

「人が変わる」には、次のような意味があります。

別人のようになる。性格や人格が変わる。

出典:goo辞書

人が変わる、というのは、人が替わる、というのとは違います。

人が替わる、という場合には、「ある人が別の人と入れ替わる」という意味ですから、「変」ではなく、「替」を使いましょう。

一方、「人が変わる」は、その人自身が変化してしまうのであって、誰か別の人と入れ替わってしまうのとは違います。

どちらも日本語では「かわる」となりますが、漢字の発想では、「替」と「変」では異なりますので、「人が変わる」と漢字を使う場合には、入れ替わりではなく、変化の意味です。

もちろん「人がかわる」と口で言う場合にはどちらかはわかりませんね。もし誰かがそう言っているときに、前後の文脈からわからない場合には、「交替」なのか「変化」なのか尋ねてみてもよいでしょう。とくにビジネスの場合には、後で誤解を生まないように、どちらなのかをはっきりとさせておいた方が吉です。

「人が変わる」の内容は?

次に「人が変わる」の内容を確認しておきましょう。

「人が変わる」というのは「人が変化する」という意味ですが、では人の何が変化するのかというと、時間や場所の移動に伴って、人格や性格が変わることを指すのが一般的です。

髪を切ったり、装いをかえてイメージチェンジをしたりした場合でも、単にその見た目が変わったことを指して言うというよりは、見た目といっしょに変わったその人の内面を指していると考えられます。

また、出世したり、立場がかわったような場合でも、それ自体を指して人が変わった、というよりは、やはりその人の内面、心構え、覚悟が変わったような場合に、人が変わった、ということになるのです。

「人が変わる」の使い方・例文

「人が変わる」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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