この記事では「柳に風(やなぎにかぜ)」について解説する。

端的に言えば柳に風の意味は「受け流す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「柳に風」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「柳に風」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 39506447

それでは早速「柳に風」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「柳に風」の意味は?

「柳に風」には、次のような意味があります。

逆らわず、おだやかにあしらう。風に柳。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「柳に風」

「柳に風」とは相手に逆らわず受け流してあしらうことを表したことわざで、柳が風に揺られてなびく様子をたとえたものです。

また、柳は強い風にも折れずなびくことから逆らわなければ災いを受けないという意味も持ちます。

なお「柳に風」は「風に柳」「柳に風に受け流す」と異なる表現方法もありますが、どれも意味や使用ルールは同じです。

「柳に風」の使い方・例文

「柳に風」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「柳に風」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.課長の話は長くて同じ話が多いから、柳に風で対応するようにしよう。
2.どんなに大変な状況でも、いつも柳に風のように仕事をこなす先輩を尊敬している。
3.何を言っても柳に風だ。正直彼女からはやる気を感じられない。

「柳に風」は例文のようにビジネスシーンで多く用いられることわざで、1のように苦手な人相手に使うことも可能です。

一方で2のように褒め言葉として使われることもあれば、3の例文では嫌みの表現として「柳に風」が用いられています。

このように「柳に風」はプラスにもマイナスにも使える言葉です。使い方次第で励ましや好印象を与えることも、嫌みや皮肉でネガティブな印象を与えることもできます。相手がいて使用する際は、どんな印象を与えるか注意して発言した方がいいでしょう。

「柳に風」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

受け流すという意味を持つ「柳に風」。ここでは類義語として「柳に雪折れなし」と「馬の耳に風」という2つの慣用句を紹介します。

「柳に雪折れなし」

「柳に雪折れなし(やなぎにゆきおれなし)」は、“柔らかいものの方が堅いものよりも強い”という意味のことわざです。「柳に風」同様「柳」を用いた表現で、しなやかな柳に雪が積もっても枝が折れない様子をたとえています。

「柳に風」と同じく柔軟に受け流す意味で用いられるのが一般的です。

ただし、「柳に雪折れなし」は柔軟に対応することで物事に対応できるという前向きな意味が含まれています。そのためポジティブな印象でプラスの言葉として使用される言葉であり、プラスにもマイナスにも使える「柳に風」とはニュアンスが異なるので注意が必要です。

「馬の耳に風」

“風が吹いても何も感じない馬の耳”をたとえた「馬の耳に風」人の意見を聞かない、批判も聞き流すといった意味があります。「耳」という言葉があるため、受け流すよりも聞き流すという意味合いが強いことわざですが、これも「柳に風」の類語表現です。

ですが、「馬の耳に風」は上述のように聞き流すニュアンスが強いため「言っても仕方がない」といった諦めや皮肉を表現するようなマイナスの言葉として用いられます。そのため似た表現であっても「柳に風」とは使い分けるよう注意しましょう。

なお、「馬の耳に風」は四字熟語である「馬耳東風(ばじとうふう)」がもとになったことわざのため、この言葉も同じ意味を持っています。

\次のページで「「柳に風」の対義語は?」を解説!/

「柳に風」の対義語は?

受け流して対応するのが「柳に風」であれば、対義語は受け流せずに対応することや、自ら行動を起こす意味を持つでしょう。ここではそんな言葉として「出る杭は打たれる」と「売り言葉に買い言葉」を説明します。

「出る杭は打たれる」

「出る杭は打たれる」には大きく二つの意味があります。ひとつは「才能があると人から妬まれ憎まれる」というもの。そしてもうひとつの「余計なことをして非難される」という意味が「柳に風」の反対表現にあたります。

余計なことと言われるような行動を自ら起こして悪目立ちする、という点で自ら行動せず受け流して対応する「柳に風」とは真逆の表現と言えるでしょう。

「売り言葉に買い言葉」

「売り言葉に買い言葉」とは、相手の乱暴な言葉に対して同じように言い返すことです。よく使う表現なので目にする機会も多いのではないでしょうか。

このことわざは相手が放った言葉に応じて言い返す状態を指すため、相手の暴言にも逆らわず受け流す「柳に風」とはまさしく正反対の状態です。「柳に風」のように受け流した対応ができず、事態を悪化させてしまう時に使われます。

「柳に風」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に「柳に風」の英語表現も確認していきましょう。ここでは「柳に風」の英訳として、2種類の表現をご紹介します。

「No reply is best.」

「No reply is best.」は直訳すると「返事をしないことが一番だ」というもの。つまり相手に応じないという意味になり、「柳に風」の受け流すという意味を表現しています。

端的に受け流すことを表現するのであれば、この英語訳で問題ないでしょう。

「Better bend than break.」

困難を耐えしのぐ、という意味を表現したい際には「Better bend than break.」ということわざもあります。「折れるよりは曲がった方が良い」というのが直訳ですが、対立した際には妥協をして困難をしのぐという意味で使われれ、無理に逆らわない対応を表現したものです。

「柳に風」の無理に逆らわずに受け流すことを強調したい際には、この英語表現を用いるのも良いでしょう。

\次のページで「「柳に風」を使いこなそう」を解説!/

「柳に風」を使いこなそう

この記事では「柳に風」の意味・使い方・類語などを説明しました。柳が風に吹かれる様子を「受け流す」と表現したのが「柳に風」です。

辛いことを言われたり腹立たしいことを言われると思わず言い返したくなるものですが、時には「柳に風」で対応をするのもいいでしょう。そうしてグッと耐えることができれば、人間関係の対立を避けたり無駄なストレスを減らせることもあるのではないでしょうか。

心身共に健康でいるため、「柳に風」を自分への戒めとして使うのもおすすめです。

" /> 【慣用句】「柳に風」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「柳に風」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「柳に風(やなぎにかぜ)」について解説する。

端的に言えば柳に風の意味は「受け流す」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「柳に風」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「柳に風」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 39506447

それでは早速「柳に風」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「柳に風」の意味は?

「柳に風」には、次のような意味があります。

逆らわず、おだやかにあしらう。風に柳。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「柳に風」

「柳に風」とは相手に逆らわず受け流してあしらうことを表したことわざで、柳が風に揺られてなびく様子をたとえたものです。

また、柳は強い風にも折れずなびくことから逆らわなければ災いを受けないという意味も持ちます。

なお「柳に風」は「風に柳」「柳に風に受け流す」と異なる表現方法もありますが、どれも意味や使用ルールは同じです。

「柳に風」の使い方・例文

「柳に風」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「柳に風」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: