「渡りに船」っていったら、『かゆいところに手が届く』みたいなニュアンスのことわざですね。言葉通りの意味で使われるから、特に疑問に思ってないやつも多いんじゃないか?ですが、語源まで答えられるかと言われると、ちょっと心もとないよな。
そこで今回は『気遣いするにも相手を選ぶ』って豪語するライターのぷーやんを呼んです。「渡りに船」の意味と使われ方について、説明してもらう。
- 「渡りに船」の意味とは?
- 辞書にみる「渡りに船」
- 例文で「渡りに船」の使い方を確認!
- 「渡りに船」の類義語2選!
- 願ったり叶ったり:希望通りになること
- お誂(あつら)え向き:注文したようにうまい具合
- 「渡りに船」の対義語はなにがある?
- 不都合:目的の妨げになる事情
- 支障を来す:都合の悪いことが生じる
- 「渡りに船」の英語訳は?
- timely offer:折りよい提供
- just what I wanted:ちょうど欲しかったもの
- 「渡りに船」に考える準備の大切さ
- 「渡りに船」の語源は仏教にあり
- 「渡りに船」の数は膨大!
- 「渡りに船」を用意するのは大変なこと!
- 「渡りに船」はスムーズな作業に不可欠!
この記事の目次
ライター/ぷーやん
webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。「渡りに船」を用意するかどうかは、場の雰囲気と相手によって決める小賢しい男。
「渡りに船」の意味とは?
image by iStockphoto
「渡りに船」は言葉を額面通り受け取ることで、ある程度の意味はつかめるかもしれません。しかしそういう言葉こそ、意味をしっかり確認しておかないと、いざ使うときに不安になるものです。まずは辞書と例文で、「渡りに船」の意味を押さえておきましょう。
辞書にみる「渡りに船」
「渡りに船」を辞書でみると、以下のように書かれています。
必要な物がそろったり、望ましい状態になったりして好都合なこと。「―の申し出」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「渡りに船」
「渡り」とは川などを渡るための場所や、渡る行為のことですね。つまり「渡りに船」とは、向こう側へ渡ろうと思ったら手配するまでもなく船があった、ということ。スムーズにことを運べるようになっていると、忙しいときほどとても助かりますね。
例文で「渡りに船」の使い方を確認!
「渡りに船」の意味を辞書で確認したら、今度は例文で使い方をみていきましょう。
1.機械が故障したので修理作業をしなければならないと思っていたら、「渡りに船」のごとく工具と部品の一式が揃えておいてあった。
2.資格試験の勉強についてどこから手を付けようか迷っていたら、事務所に参考書と過去問が置いてあった。「渡りに船」とばかりに、その2冊を手にとって試験対策を始めた。
例文1のように周囲の状況に目を配り、だれかが必要とするであろう道具などをあらかじめ準備してくれる人がいると、業務が滞りなく気持ちよく進みます。この例文で道具類を用意した人は、それとなく準備しておいて名乗り出ていないご様子。
こんな風に黒子的でなかなか日の目をみないやり方をする理由は、いちいち自己主張して他人の意識を割くことを有害と考えているからでしょう。組織の利益を第一に考えていなければできません。まさに影の立役者といえそうですね。
例文2はもしかしたら、会社が資格取得を促す目的で書籍を買っていたのかも。本人としては会社の資産をうまく利用したつもりでしょうが、実は会社の手のひらの上だった、という構図の可能性があります。
願ったり叶ったり:希望通りになること
助動詞「たり」が2つ出ていますね。『「たり」は繰り返し使うことが文法上正しい』と言われますが、それは動作を並列するための「たり」のこと。「願ったり叶ったり」の「たり」は完了の助動詞で、そのはたらきは動作やその結果の存続を確認することです。すなわち「願ったり叶ったり」は現代風に言うと、「願っておいたら叶った」となります。
こちらの記事もおすすめ
【慣用句】「願ったり叶ったり」の意味や使い方は?例文や類語を読書家Webライターが簡単にわかりやすく解説!
お誂(あつら)え向き:注文したようにうまい具合
まるでオーダーメイドの製品のように希望通りであることを意味する言葉です。「誂える」は注文して思い通りに作ってもらうこと。「向き」にはいろいろな意味がありますが、ここでは「適している」と解釈するのが妥当でしょう。
こちらの記事もおすすめ
「誂える」の意味や使い方は?例文や類語を現役塾講師がわかりやすく解説!
「渡りに船」の対義語はなにがある?
類義語の次は、対義語を2つ挙げます。
不都合:目的の妨げになる事情
「都合」はよく聞く言葉ですが、辞書などで調べたことのない方は多いのではないでしょうか。その意味をあらためて記すと、「ほかのこととの関係」や「やりくり」です。「不都合」はこれらが否定された言葉ですので、「うまくやりくりできない」ことを表わしており、「渡りに船」の対義的ですね。
\次のページで「支障を来す:都合の悪いことが生じる」を解説!/