化学

凍結防止剤と融雪剤はどんな仕組み?理系学生ライターが5分で解説

よぉ、桜木建二だ。今回は「凍結防止剤」と「融雪剤」について解説していくぞ。

これら2つの言葉は似ているが、微妙に定義が異なる。今回は、それぞれの特徴や違いに焦点を当てて解説するぞ。豆知識として知っておくのも良いだろう。ぜひとも、この記事を読んで「凍結防止剤」と「融雪剤」について理解を深めてくれ。

環境工学、エネルギー工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

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ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。環境化学工学、資源材料学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

はじめに

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私たちの生活を支えるイフンラの一つに道路が挙げられますね。ひとたび、道路を車や人が通行することが困難になってしまえば、多くの人に悪い影響を与えることになります。ですから、道路は様々な気象条件や災害に対する強靭性を有する必要があるのです。

特に、寒さによる路面凍結積雪は人々の通行を妨げるだけでなく、スリップ転倒といった深刻な事故を引き起こす恐れがあります。そのような理由から、凍結や雪に対する対策は昔から行われてきました。そして、その対策のうち、代表的なものが凍結防止剤融雪剤の散布です。

この記事では、凍結防止剤と融雪剤の特徴や仕組み中心に説明していきます両者の違いについても解説していきますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

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路面凍結や積雪への対策がいかに重要かが理解できただろう。

凍結防止剤

凍結防止剤とは?

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凍結防止剤は、水が凍る温度を0℃以下に引き下げることを主な目的として使用する薬剤です。つまり、凍結防止剤は凝固してしまった氷を融かすことには向いていません。凍結事故が発生しやすい場所である橋の上、トンネルの出入口、交差点などには、あらかじめ凍結防止剤を撒いておくのが有効な対策だと言えますね。

水に溶けやすい物質であれば、どのようなものでも凍結防止の効果があります。ですが、凍結防止剤は散布した後、回収するのは困難です。当然のことながら、環境中に放出されることになります。ですから、凍結防止剤には環境に与える負荷が小さい物質が選ばれますよ。

また、道路は自動車自転車が走行しますよね。このような乗り物は、車体の大部分が金属でつくられています。ですから、塩化ナトリウムといった錆の原因になる物質も凍結防止剤には使用できません。そして、冬場には大量に使用することになりますので、高価な物質は避けたいところです。

このような条件を満たす物質の1つに尿素(UREA)が挙げられます。実際、尿素(UREA)は凍結防止剤として広く使用されていますよ。ですが、尿素にも河川や湾の富栄養化の原因となる窒素が含まれており、環境影響に関しては完全にクリアしているとは言えません。

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水が凍ることを防ぐのが凍結防止剤だ。

凍結防止剤の仕組み

凍結防止剤の仕組み

image by Study-Z編集部

凍結防止剤の仕組みは、凝固点降下という現象によって説明できます。凝固点降下は、水などの液体(溶媒)に物質(溶質)を融かすと、凝固する温度が低くなる現象のことです。

この説明だけではわかりにくい方もいるかと思いますので、身近な例を挙げて説明します。スポーツ飲料やジュースを冷凍庫で凍らせるとき、水よりも凍るまでに時間がかかったという経験はないでしょうか?これが、まさに凝固点降下です。スポーツ飲料やジュースには、水分に加えて糖やミネラルが多く含まれており、凝固する温度(凝固点)が下がっているのですね。

また、凝固点がどの程度低下するのかは計算によって求めることができますよ。凝固点降下の値は、溶液の質量モル濃度と溶媒の種類で決まるモル凝固点降下の積で表現されます。数式で表現すると、ΔT=Kfとなりますね。質量モル濃度は、単位質量の溶媒に溶かした溶質の物質量を示しています。

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凝固点降下という用語は絶対に覚えておけよ。

融雪剤

融雪剤とは?

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融雪剤は、融けつつある氷や雪の融解のスピードを上げることを主な目的として使用される薬剤です。ただ、融雪剤に使用される物質は水によく溶けるので、補助的に凍結防止剤の役割も担うことができますよ。気温が0℃を上回る晴れた日に、道などに積もった雪を迅速に処理するといった場面で、絶大な効果を発揮します

融雪剤に使用される物質の代表例は、塩化カルシウムですよ。塩化カルシウムは十分な融雪効果がありますが、欠点も多くあるので使用する場合は注意が必要です。塩化カルシウムは、水に溶けると電離して、塩化物イオンが生じます。土壌中の塩化物イオン濃度が上昇すると、植物の生態に影響を及ぼしますよ。また、河川の塩化物イオン濃度が上昇すると、一部の淡水魚は生息することができなくなります

また、塩化物イオンは酸化作用をもつのです。酸化作用のある物質は、錆の原因になります。これは、自動車や自転車にとっても、決して良いとは言えませんよね。このように、融雪剤は凍結防止剤に比べて扱いがやや難しいという側面があるのです。

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融雪剤の最も大事な役割は、雪や氷が融けるスピードを上げることだ。

融雪剤の仕組み

融雪剤の仕組み

image by Study-Z編集部

融雪剤は、物質(溶質)が水などの液体(溶媒)に溶ける際に、発生する熱を利用して氷や雪を融かします。このような熱を溶解熱といいますよ。

溶解熱は、正の値をとる物質と負の値をとる物質の両方があるので注意が必要です。溶解熱が正の値の物質は、溶解のときに熱を放出して熱くなります。一方、溶解熱が負の値の物質は、溶解のときに熱を吸収して冷たくなりますよ。

したがって、融雪剤には、できるだけ溶解熱が大きな物質を選ぶことが望ましいことがわかりますね。ちなみに、冷却シートやインスタント保冷材などは溶解熱の値が負である物質を使用しています。

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融雪剤は溶解熱を利用しているぞ。

薬剤を用いない対策とは?

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ここまで、薬剤を使う凍結防止と融雪の方法を解説してきました。ですが、これらの方法が適していない場合もあります。例えば、新幹線などの鉄道です。鉄道は鉄製のレールを使って走ります。薬剤はレールの錆や腐食の原因になるため、使うことは推奨されていません。このような場合、どのような対策がなされているのでしょうか?

写真に示されているように、スプリンクラーにて温水を散布するという方法があります。また、レールの近くにヒーターを設置して融雪を行う場合もありますよ。薬剤を使うよりも、利点が多いように感じますが、このような方法にも欠点はあるのです。スプリンクラーやヒーターを用いると、電気や水道が必要になり、薬剤を使用する場合よりもコストが高くなりますメンテナンスの手間もかかりますよね

以上のことから、凍結防止と融雪の方法を選ぶ際には、場面や場所、コスト、メンテナンス、環境への影響などを総合的に考えることが重要であるとわかります。

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凍結防止法や融雪法について調べてみると面白いぞ。

凍結防止剤と融雪剤の仕組みを理解しよう!

凍結防止剤と融雪剤は主たる目的がそれぞれ異なります。ですから、それぞれが氷や雪に与える影響も異なりますよね。この記事を読んだ方であれば、これらのことについて詳しく説明できるかと思います。

凍結防止剤と融雪剤の仕組みを理解することで、きっと化学の知識も深まったことでしょう。ぜひ、他の方にも、豆知識として教えてあげてくださいね。

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