この記事では「喜色満面(きしょくまんめん)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「喜色満面」の意味は「喜びいっぱいの表情」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「喜色満面」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「喜色満面」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「喜色満面」の意味や使い方などを見ていきましょう。

「喜色満面」の意味は?

まずは、国語辞典の定義から。「喜色満面」には、次のような意味があります。

うれしそうな表情が顔に満ちあふれていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「喜色満面」

「喜色満面」についてもっと詳しく、「喜色」と「満面」に分けて解説していきます。「喜色」の「喜」はよろこびを表すとして、「色」にはどういった意味合いがあるのでしょうか。

「色」にはいろどりの他にも、顔の表情という意味があります。みなさんも、「顔色」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

つまり、「喜色」喜びの表情という意味を表しているのです。では、もう一方の「満面」はどのような意味を表しているのでしょうか。

「満面」の「面」は、顔のことを表しています。「満」の方は、いっぱいや全体といった意味合いです。

これらを合わせると、「満面」顔いっぱいにという意味であることが分かります。

「喜色満面」の使い方・例文

「喜色満面」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「喜色満面」の類義語は?違いは?」を解説!/

喜色満面でこちらに歩いてくる彼の姿を見たら、入試の結果は聞かずとも分かってしまった。

彼女は喜色満面で、大会の主催者から最優秀賞のトロフィーと副賞の目録を受け取った。

男の子でも女の子でも待望の赤ちゃんが生まれたら、誰だって自然と喜色満面になってしまうさ。

「喜色満面」であるからには、単に嬉しいだけではなく、顔中が喜びで満ちあふれるくらい嬉しい出来事があったに違いありません。初めの例文では明記はされていないものの、それが入試に合格したことなのは明々白々です。

二つめの例文では、とある大会で最優秀賞を受賞できたことが最上の喜びなのでしょう。最後の例文では、仮定での話ではありますが、待望の赤ちゃんが生まれることがそれに該当します。

いずれにしても、念願がかなうレベルの出来事でなければ、なかなか「喜色満面」という熟語までは使いません。

今回の「喜色満面」のように、顔全体を表す「満面」を用いた四字熟語は他にもいくつか存在します。「得意満面」や「春風満面」などは、その好例でしょう。

また、四字熟語以外でも「満面の笑み」などという場合もしばしばです。いずれにしても、ある感情が顔中に満ちあふれている様子は共通だといえるでしょう。

#2 「喜色満面」の類義語は?違いは?

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ところで、「喜色満面」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、代表的なものを二つほどご紹介していきます。

「欣喜雀躍」

「欣喜雀躍(きんきじゃくやく)」は、とても喜んでいる様子を表した四字熟語です。したがって、「喜色満面」の類義語だといっても差し支えありません。

前半の「欣喜」を構成する漢字は、どちらも「よろこぶ」ことを表すものです。後半の「雀躍」は、喜びをスズメが小躍りする様子にたとえています。

「喜色満面」との違いは、顔の表情だけではなく、体全体で喜びを表現しているところでしょうか。

\次のページで「「有頂天外」」を解説!/

「有頂天外」

「有頂天外(うちょうてんがい)」もまた、「喜色満面」の類義語だといえるものです。こちらの四字熟語は、この上なく大喜びすることを表しています。

この熟語に現れる「有頂天」とは、仏教語で一番上にある天のことを表すものです。つまり、一番上のさらにそのまた上というのを「有頂天外」は表しています。

それくらい喜びが大きいということですね。では、これらの類義語を用いた例文をチェックしてみましょう。

念願だった東京本社への栄転が内定した支店長は、欣喜雀躍している様子だった。

自分の考案したメニューが望外の評価を受けて、彼女はたちまち有頂天外になった。

#3 「喜色満面」の対義語は?

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では、「喜色満面」の対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。これは大喜びの反対の感情を考えると分かりやすいかもしれませんね。

喜びはいわば「プラスの感情」なので、対義語には「マイナスの感情」を表したものがいいでしょう。具体的には、悲しみや絶望、怒りといった類のものをイメージしてください。

「顔面蒼白」

「顔面蒼白(がんめんそうはく)」は、「喜色満面」の対義語となりえるものです。この四字熟語は、困惑や動揺のため顔色が失われている様子を表しています。

「血の気が引く」などの表現と同様のものだと考えていいでしょう。「喜色満面」の場合は喜びのために上気して、顔色にはやや赤みが差しているはずですね。

それに対して、「顔面蒼白」は「蒼白」が示しているように顔色は青白くなっています。

「怒髪衝天」

「怒髪衝天(どはつしょうてん)」もまた、「喜色満面」の対義語だといって差し支えないものです。こちらの四字熟語には、激しく怒っている様子を表しています。

前半の「怒髪」というのは、あまりの怒りで逆立ってしまった髪の毛のことです。後半の「衝天」天をつくほどの勢いを表しています。

実際に髪の毛が逆立つかはさておき、そのくらい凄まじい怒りようだという点を押さえておきましょう。では、これらも例文を確認していきます。

一瞬にして富も名声も失ってしまった彼は、顔面蒼白のままただ立ち尽くすだけであった。

度重なる自国の省庁サイトへのスパム攻撃に対し、大統領はついに怒髪衝天してしまったようだ。

\次のページで「「喜色満面」の英訳は?」を解説!/

#4 「喜色満面」の英訳は?

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最後に「喜色満面」の英語訳についても見ていきます。

「with an ear-to-ear grin」

「with an ear-to-ear grin」は、「喜色満面」を英語で分かりやすく表現したもののひとつでしょう。この慣用句を構成する「ear-to-ear」は、「耳から耳まで」と直訳されます。

つまり、これは顔全体のことであり、「満面」とほぼ同等の意味です。いちばん最後の「grin」はややなじみが薄いかもしれませんね。

この単語は「smile」の仲間で、歯を見せて笑うことを表しています。

「have a big smile」

「have a big smile」も、「喜色満面」の英語訳といって差し支えないものです。こちらは、先ほどのものよりも平易な単語を用いているため覚えやすいかもしれませんね。

「大きな笑顔」=「喜色満面」のことだと覚えておきましょう。

「喜色満面」を使いこなそう

この記事では「喜色満面」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の意味は、顔いっぱいに広がった喜びでしたね。

世間では、日々辛い出来事や悲しいニュースが報道されています。しかし、中にはみんなが顔いっぱいの笑顔になれるようなものも含まれているのも事実です。

世界の人々が喜色満面になれる、そんな時代が早くくるといいですね。みなさんも、機会があればこの四字熟語をどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「喜色満面」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「喜色満面(きしょくまんめん)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「喜色満面」の意味は「喜びいっぱいの表情」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「喜色満面」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「喜色満面」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「喜色満面」の意味や使い方などを見ていきましょう。

「喜色満面」の意味は?

まずは、国語辞典の定義から。「喜色満面」には、次のような意味があります。

うれしそうな表情が顔に満ちあふれていること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「喜色満面」

「喜色満面」についてもっと詳しく、「喜色」と「満面」に分けて解説していきます。「喜色」の「喜」はよろこびを表すとして、「色」にはどういった意味合いがあるのでしょうか。

「色」にはいろどりの他にも、顔の表情という意味があります。みなさんも、「顔色」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。

つまり、「喜色」喜びの表情という意味を表しているのです。では、もう一方の「満面」はどのような意味を表しているのでしょうか。

「満面」の「面」は、顔のことを表しています。「満」の方は、いっぱいや全体といった意味合いです。

これらを合わせると、「満面」顔いっぱいにという意味であることが分かります。

「喜色満面」の使い方・例文

「喜色満面」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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