この記事では「不承不承(ふしょうぶしょう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「不承不承」の意味は「気が進まないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「不承不承」の意味や例文、類語などを一気に見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「不承不承」の意味や使い方のまとめ

image by iStockphoto

それでは早速「不承不承」の意味や使い方を見ていきましょう。

「不承不承」の意味は?

まずは、国語辞典の定義から。「不承不承」には、次のような意味があります。

気が進まないが、いやいやながらするさま。しぶしぶ。 

出典:大辞林 第三版(三省堂)「不承不承」

「不承不承」は、「不承」という熟語を重ねて意味を強調したものです。ここに出てくる「不承」とは「不承知」を意味します。

「不承知」なわけですから、けっして納得した上で行っているわけではないというのがポイントです。それでも自分の感情はさておき、組織の決定事項だったり他に代役を務めるものが存在しなかったりするときに、この四字熟語が用いられます。

ちなみに、「不請不請」と表記される場合もありますが、表す意味内容に変化はありません。この場合の「不請」も、不承知ではあるが我慢しているさまを表わしています。

「不承不承」の使い方・例文

「不承不承」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「不承不承」の類義語は?違いは?」を解説!/

当たりくじを引いてしまったがために、町内会長の役目を不承不承引き受けることになった。

不承不承務めた忘年会の幹事ではあったが、やってみると新たな発見がいくつもあってよかった。

そんな不承不承営業に行くぐらいなら、むしろオフィスに引きこもっていればいいじゃないか。

「不承不承」の意味を正確にとらえたい場合、「嫌々ながら」に置き換えてしまう方法をおすすめします。たとえば、最初の例文ならば「不承不承引き受ける」を「嫌々ながら引き受ける」という表現に変えてしまうのです。

また、納得したわけではないのにそういう行動をせざるを得ないのには、何かしらの理由もあると考えるべきでしょう。それぞれの例文からはそこまではうかがい知れませんが、体調不良だったり単に面倒くさかったりと様々な理由が考えられます。

いずれにしても、気持ちが乗っていないのと裏腹にそうしなければならない状況にあったことを理解していください。

#2 「不承不承」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

ところで、「不承不承」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でも代表的なものを二つ紹介していきます。

「やむを得ず」

「やむを得ず」は、「不承不承」の類義語の中でも代表的なもののひとつです。この慣用表現は、仕方なくという意味合いを持ちます。

その行動を嫌々ながらとっているかどうかまでは不明です。しかし、他にどうしようもないという点では同様だといえます。

「心ならずも」

「心ならずも」もまた、「不承不承」の類義語だといえるものです。こちらの表現には、本意ではないものの仕方なくという意味合いがあります。

「本意」は、本当の意図や気持ちという意味の言葉です。つまり、本意ではないというのは自らが望んだわけではないという意味であることが分かります。

\次のページで「「不承不承」の対義語は?」を解説!/

予定していたライターが高熱を出したため、やむを得ず私が代役を務めることになった。

会社にとっては大口のお客様なので、心ならずも再びAさん宅を訪問するしかあるまい。

#3 「不承不承」の対義語は?

image by iStockphoto

さて、「不承不承」の対義語についてはどのようにとらえていけばいいのでしょうか。これには、二通りの考え方があります。

一つめは、喜んで引き受けるという意味合いを持つものです。これは、「不承不承」の持つ嫌々ながらという意味とは好対照をなしています。

もう一つは、嫌なので引き受けないというものです。こちらは、「不承不承」の嫌々ながらも「引き受ける」という部分と対をなしています。

「快諾する」

「快諾する」は、相手の依頼などをこころよく引き受けるという意味の動詞です。「不承不承」が、「嫌々ながら」引き受けるのとは好対照だといえます。

「快諾」の「快」という漢字が表すのは、気持ちがいいさまです。また、一方の「諾」には、承知する・引き受けるという意味合いがあります。

「固辞する」

「固辞する」もまた、「不承不承」の対義語として通用するものです。こちらの動詞には、人からの申し出をきっぱりと断るという意味があります。

つまり、「不承不承」とは異なり、要請や依頼を引き受けてはいないのです。それでは、これらの対義語を用いた例文をチェックしてみましょう。

他にもたくさんの仕事を抱えているにもかかわらず、彼はPTA会長就任の要請を快諾してくれた。

彼女の母親が表舞台に出ることをあれほどまでに固辞するのには、何か特別な事情があるにちがいない。

#4 「不承不承」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に「不承不承」の英語訳についてもチェックしておきましょう。ここでは、代表的なものを二つほどご紹介します。

\次のページで「「against someone's will」」を解説!/

「against someone's will」

「against someone's will」は、「不承不承」の英語訳の中でも典型的なもののひとつです。この英語表現に現れる「will」は名詞で「意思」という意味を表します。

つまり、「against someone's will」全体では「自分の意思に反して」という意味になるというわけです。「will」を含む表現には、他にも「unwillingly」などが挙げられます。

「with half a heart」

「with half a heart」もまた、「不承不承」と似たような意味合いを持つ英語表現です。この語句を直訳すると「半分の心で」となります。

これは、自分の気持ちのすべてがそちらに向いていないのだと解釈しましょう。ちなみに、「with all one's heart」とすると「心の底から」という意味を表わせるので、合わせて覚えておくとよいでしょう。

「不承不承」を使いこなそう

この記事では「不承不承」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の意味は、嫌々ながら、または渋々でしたね。

世の中には、ときに嫌々ながらも引き受けなければならない仕事や役目というものがあります。そのようなときに、いかに気持ちを切り替えて集中できるかが大切なことなのかもしれません。

みなさんも、この四字熟語を使う機会があったら、臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

" /> 【四字熟語】「不承不承」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【四字熟語】「不承不承」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「不承不承(ふしょうぶしょう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「不承不承」の意味は「気が進まないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「不承不承」の意味や例文、類語などを一気に見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「不承不承」の意味や使い方のまとめ

image by iStockphoto

それでは早速「不承不承」の意味や使い方を見ていきましょう。

「不承不承」の意味は?

まずは、国語辞典の定義から。「不承不承」には、次のような意味があります。

気が進まないが、いやいやながらするさま。しぶしぶ。 

出典:大辞林 第三版(三省堂)「不承不承」

「不承不承」は、「不承」という熟語を重ねて意味を強調したものです。ここに出てくる「不承」とは「不承知」を意味します。

「不承知」なわけですから、けっして納得した上で行っているわけではないというのがポイントです。それでも自分の感情はさておき、組織の決定事項だったり他に代役を務めるものが存在しなかったりするときに、この四字熟語が用いられます。

ちなみに、「不請不請」と表記される場合もありますが、表す意味内容に変化はありません。この場合の「不請」も、不承知ではあるが我慢しているさまを表わしています。

「不承不承」の使い方・例文

「不承不承」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「不承不承」の類義語は?違いは?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: