この記事では「金科玉条(きんかぎょくじょう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「金科玉条」の意味は「大切なきまり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「金科玉条」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「金科玉条」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「金科玉条」の意味や使い方を見ていきましょう。

「金科玉条」の意味は?

「金科玉条」には、次のような意味があります。まずは、辞書に出てくる定義を押さえておきましょう。

一番大切なきまりや法律。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「金科玉条」

「金科玉条」の意味を「金科」と「玉条」に分けて考えてみましょう。「金科」の「金」は貴金属の金のように貴重で価値のあるものという意味で用いられています。

もうひとつの「科」が表すのは、法律の条文という意味です。一方の「玉条」の方はどうでしょうか。

こちらも、「玉」宝玉のように大切で貴重なものという意味を持ちます。また、「条」が表すのも法律の条文です。

つまり、「金科玉条」は似た意味を持つ二つの熟語が合わさってできているといえます。そして、その表す意味は貴重で素晴らしい法律や規則です。

ただし、「金科玉条」は他人を批判する際にも用いられることがあります。使う際には十分に注意してください。

「金科玉条」の由来・出典は?

次に「金科玉条」の由来や出典を確認しておきましょう。この四字熟語は、「文選(もんぜん)」という書物に収録されている「劇秦美秦(げきしんびしん)」という題名の文章中にその出典があります。

この文章は揚雄(ようゆう)という人が著したもので、秦の国策を批判し「新」という王朝を讃える内容になっているのが特徴です。

この文章中に「金科玉条」という部分があり、今日まで伝わっています。

\次のページで「「金科玉条」の使い方・例文」を解説!/

「金科玉条」の使い方・例文

「金科玉条」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

お世話になった先生方の教えを金科玉条として胸に刻み、卒業後も目標に向けて邁進していく所存です。

150年以上経った現代でもまったく色あせることのない彼の言葉は、一言一句がまさに金科玉条だといえる。

そんな古びたルールをいつまでも金科玉条のように有難がってみたところで、何にもよいことはあるまい。

「金科玉条」を正しく理解するために必要なポイントは、次の二点があります。ひとつめのポイントは、何が金や宝石のように大切なきまりや教えなのかという点です。

もうひとつは、この四字熟語が批判的に用いられているかどうかできまります。三つの例文のうち、最初と二つめの例文は文字通り「大切なもの」という意味です。

しかしながら、三つめの例文はどうでしょうか。この文で用いられている「金科玉条」は明らかに本来の意味とは異なっているのが特徴です。

むしろ、反語的に「貴重でも何でもない」ことを主張しているのが読み取れたでしょうか。それは、いっしょに用いられている「古びた」や「良いことはあるまい」という言葉にマイナス要素があることからうかがえます。

#2 「金科玉条」の類義語は?違いは?

ところで、「金科玉条」の類義語にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、中でも代表的なものを二つほど確認しておきます。

「後生大事」

「後生大事(ごしょうだいじ)」は、「金科玉条」の類義語といえるものです。この四字熟語は、何かをとても大事にしている様子を表します。

ただし、物に執着しすぎるさまを揶揄する際にもしばしば用いられますので注意しておいた方がよさそうです。

\次のページで「「規矩準縄」」を解説!/

「規矩準縄」

「規矩準縄(きくじゅんじょう)」もまた、「金科玉条」の類義語といえるものです。この四字熟語は物事や行動をおこすときに基準や標準になるものを意味します。

規(=コンパス)、矩(=差し金)、準(=水準器)、縄(=墨縄)と本来は測量したり図面を引いたりするための道具を表していたのが特徴です。

そんな昔にもらったプリントを後生大事に取っておいたところで、いったい何の役に立つというんだ。

かつての先輩方が残してくれた「部活ノート」は、後輩たちにとって規矩準縄といえるものだった。

#3 「金科玉条」の対義語は?

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では、「金科玉条」の大義はどのようなものが考えられるのでしょうか。「金科玉条」をとても大切なものととらえた場合、その反対は役に立たないつまらないものとなるはずです。

そのような意味合いをもつ四字熟語を二つほどご紹介します。

「瓦鶏陶犬」

「瓦鶏陶犬(がけいとうけん)」は、見せかけだけで役に立たないものをたとえた四字熟語です。「瓦鶏」は素焼きの鶏を、「陶犬」は陶器でできた犬を意味します。

つまり、鶏や犬が本来期待された役割、つまり朝を告げたり家を守ったりすることができないというわけです。

「薄物細故」

「薄物細故(はくぶさいこ)」もまた、そういった意味では「金科玉条」の対義語ともいえるものです。この四字熟語は、価値がなく役に立たないものという意味合いを持ちます。

「薄物」も「細故」も両方とも価値がほとんどないちょっとしたものという意味の言葉です。

見せかけだけ整えただけの砦を築いただけでは、瓦鶏陶犬だと揶揄されても仕方がありませんよ。

工場で差し押さえた物品はどれもこれも薄物細故で、使い物になるのはほとんどなかったのが残念だ。

\次のページで「「金科玉条」の英訳は?」を解説!/

#4 「金科玉条」の英訳は?

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最後に「金科玉条」の英語訳について確認しておきましょう。

「golden rule」

「golden rule」は、「金科玉条」を英語に訳したものの中では、おそらくもっとも有名で分かりやすいものでしょう。というのも、「golden」も「rule」も平易な単語だからです。

「金科玉条」と訳せるのはもちろんのこと、「黄金律」と訳されることも少なくないので、覚えておくとよいでしょう。

「rock-ribbed law」

「rock-ribbed law」もまた、「金科玉条」の英語訳として十分に通用するものです。この英語表現は、曲げることのできない規則と直訳されます。

かならず守るべきというのはともかく、大事なという要素が欠けている点には注意が必要でしょう。

「金科玉条」を使いこなそう

この記事では「金科玉条」の意味・使い方・類語などを説明しました。この四字熟語の意味は、曲げることのできない大切な教えでしたね。

たしかに、世の中には変えてはならない絶対的なルールともいうべきものは存在します。人を傷つけてはならない、物を盗んではならないなどはその典型です。

しかしながら、物事には「絶対」が存在しないのもまた真理なのではないでしょうか。単に「きまりだから」と思考停止するのではなく、現状に合わせたルールの運用もときには必要でしょう。

みなさんも「金科玉条」という四字熟語を使えそうなシーンがあったら、臆することなくどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「金科玉条」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「金科玉条(きんかぎょくじょう)」という四字熟語について解説する。

端的に言えば「金科玉条」の意味は「大切なきまり」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「金科玉条」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「金科玉条」の意味や使い方のまとめ

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それでは早速「金科玉条」の意味や使い方を見ていきましょう。

「金科玉条」の意味は?

「金科玉条」には、次のような意味があります。まずは、辞書に出てくる定義を押さえておきましょう。

一番大切なきまりや法律。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「金科玉条」

「金科玉条」の意味を「金科」と「玉条」に分けて考えてみましょう。「金科」の「金」は貴金属の金のように貴重で価値のあるものという意味で用いられています。

もうひとつの「科」が表すのは、法律の条文という意味です。一方の「玉条」の方はどうでしょうか。

こちらも、「玉」宝玉のように大切で貴重なものという意味を持ちます。また、「条」が表すのも法律の条文です。

つまり、「金科玉条」は似た意味を持つ二つの熟語が合わさってできているといえます。そして、その表す意味は貴重で素晴らしい法律や規則です。

ただし、「金科玉条」は他人を批判する際にも用いられることがあります。使う際には十分に注意してください。

「金科玉条」の由来・出典は?

次に「金科玉条」の由来や出典を確認しておきましょう。この四字熟語は、「文選(もんぜん)」という書物に収録されている「劇秦美秦(げきしんびしん)」という題名の文章中にその出典があります。

この文章は揚雄(ようゆう)という人が著したもので、秦の国策を批判し「新」という王朝を讃える内容になっているのが特徴です。

この文章中に「金科玉条」という部分があり、今日まで伝わっています。

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