端的に言えば、砂上の楼閣の意味は「見掛け倒し」と「実現不可能」ですが、意味やニュアンスを理解しておくと、使いこなせるシーンが増えるぞ。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。一緒に「砂上の楼閣」の意味や例文、類義語などを見ていきます。
- 「砂上の楼閣」の意味・語源・使い方
- 「砂上の楼閣」の意味
- 「砂上の楼閣」の語源
- 「砂上の楼閣」例文と使い方
- 「砂上の楼閣」の類義語
- 「羊頭狗肉」:見かけ倒し
- 「机上の空論」「空理空論」など:現実には役に立たない
- 「空中楼閣」「海市蜃楼」:実体がないもの
- 「畳の上の水練」「素引きの精兵」:実戦で役に立たない
- 「絵に描いた餅」「取らぬ狸の皮算用」:実現性のない計画
- 「砂上の楼閣」の反対語
- 「堅実」:手堅い
- 「用意周到」:手抜かりがない
- 「砂上の楼閣」の英訳は?
- 「house built on sand」
- 「house of cards」
- 「砂上の楼閣」の意味を知って、実現可能な計画を立てよう!
この記事の目次
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「砂上の楼閣」の意味
まずは辞書で意味を調べてみましょう。
見かけはりっぱであるが、基礎がしっかりしていないために長く維持できない物事のたとえ。また、実現不可能なことのたとえ。
[補説]「机上の空論」との混同で、「机上の楼閣」とするのは誤り。
出典:小学館デジタル大辞泉「砂上の楼閣」
「楼閣」は2階建て以上の立派な高層の建物のことを指します。いくら建物が立派でも、砂地のような基礎がしっかりしていない場所では、いつ崩れるかわかりません。そこから「見掛け倒しで物事が長く続かないこと」、さらに「実現不可能」という意味で使われるようになりました。
「砂上の楼閣」の語源
次に「砂上の楼閣」の語源を見てみましょう。語源は新約聖書のマタイによる福音書第7章、「山上の垂訓」と呼ばれる一節にあります。
それで、わたしのこれらの言葉を聞いて行うものを、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができよう。雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけても、倒れることはない。岩を土台としているからである。また、わたしのこれらの言葉を聞いても行わない者を、砂の上に自分の家を建てた愚かな人に比べることができよう。雨が降り、洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまう。そしてその倒れ方はひどいのである。
引用:マタイによる福音書第7章24節~27節
イエスの「山上の垂訓」を聞いてその教えを実行する人を、地盤がしっかりした岩の上に家を建てる賢い人に例え、教えを聞いても実行しない人を、砂の上に家を建てる愚かな人に例えています。硬い岩盤で基礎工事をするのは大変ですが、砂の上に立派な家を建てたとしても、基礎が弱いのですぐ壊れてしまいますね。
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