日本は地震、台風、噴火と自然災害が多い国である。特に2019年は台風による被害が多かったな。自然災害によって大切な家族や友人、家を失なってしまった人もいるかもしれない。

自然災害自体を防ぐことは難しいが、被害を小さくすることは人間の手でできる。今回は日本を襲った過去の災害と共に防災について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

日常に起こる不思議な現象を解明する科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校では化学部、大学では工学部化学系で化学漬けの日々を送っていた。

自然災害とは

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始めに自然災害とはなにか、ということから確認していきます。

自然災害とは自然現象によって人の命や社会活動に被害が生じることです。日本の法律(被害者生活再建支援法)で自然災害とは「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象により生ずる被害」とされています。

人間が原因となる災害が人災というのに対して自然災害を天災、とも言いますね。

他人ごとではない災害、地震

他人ごとではない災害、地震

image by Study-Z編集部

自然災害と聞いて地震を思い浮かべる人も多いでしょう。地震による災害は震災と呼ばれています。地震は地球の表面を覆ったプレートが動くことで起こっているのです。そのため、通常地震はこのプレート同士がぶつかっているところで起きています。しかし、プレートと関係なく地震が起こることもあり、そのメカニズムは完全には解明されていません。

地震の大きさとしてマグニチュード震度という言葉をよく聞きます。マグニチュードは地震そのものの規模です。一方、震度は地域によって異なり、その場所での揺れの程度を示してます。

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地震は揺れによる被害の他、建物の倒壊地盤沈下液状化現象、さらには火事と様々な二次災によってより大きな被害が出てしまうケースが多くあります。東日本大震災では9割近くが津波が原因で亡くなりました。また震災の時は人々が混乱し警察や消防も出動しているため、窃盗や暴動、さらには性的暴行などの犯罪が起こり治安が悪くなってしまうこともあります。

わずかな時間の揺れでたくさんの被害が出る地震。被害が出ていない地域も募金や被災地のものを積極的に買うなどして復興に貢献できれば良いですね。

日本で起きた過去の震災

日本で起きた過去の震災

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我が国日本は地震が多い国ですが、中でも2011年に起きた東日本大震災は他の地震と比べることのできないほど大きな地震でした。震源は宮城県でありながら、日本の広範囲で揺れが確認され、たくさんの死傷者が出たのです。

規模が最も大きいのは東日本大震災ですが、死傷者が最も多いのは大正時代に起きた関東大震災になります。正確な人数は分からないながらも190万人が被災して10万人以上の人が死亡、あるいは行方不明となりました。

世界で起きた大震災

統計上、世界で過去最大規模の地震は1960年にチリで起きたチリ(バルディビア)地震です。マグニチュードは9.5。この地震の余波としてなんと日本の方にまで津波がやって来たそうです。この地震の正確な死傷者の人数は不明ですが、2200から6000人と言われています。

近年起きた大きな地震としては2004年に起きたスマトラ地震がマグニチュード9.1と大変大きな地震でした。また、余震が2000回以上も発生したとして2011年にニュージーランドで起きた2011年カンタベリー地震(マグニチュード6.1)などが知られています。

\次のページで「火山から噴出、噴火」を解説!/

火山から噴出、噴火

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噴火とは火山からマグマや火山灰が勢いよく噴出する現象のことです。1万年以内に噴火し、現在も活発な奮起活動がある火山のことを活火山と言います。日本には100以上の活火山が存在しているのです。

噴火の危険性を考える目安である噴火警戒レベルは5段階あります。周辺への立ち入り禁止から危険な地域の住民避難までの避難行動が決められているのです。

日本で火山と言えば鹿児島の桜島、北海道の有珠山などが有名ですね。2014年に長野県と岐阜県の間にある御嶽山(おんたけさん) が噴火したときは登山者がいたため、58人もの死者が出て戦後最悪の火山災害となりました。

雨にまつわる災害

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局地的に短時間に100~数百mm降る強い雨のことを集中豪雨といいます。集中豪雨は大量の水蒸気を含んだ温かい空気が上昇してできた雲から降る雨です。ちなみに一過性のすぐにやむ雨はにわか雨と言われていますね。日本の集中豪雨といえば梅雨の時期やその後の暑い時期に発生します。

夏に日本に上陸する厄介なのが台風です。熱帯の海上で発生した水蒸気は、半時計回りの渦を作りながら上昇して積乱雲を作ります。この積乱雲がまとまって大きくなったものが熱帯低気圧、台風と進化していくのです。

台風による被害は上陸している間だけではありません。台風による河川の増加、堤防の決壊などによって家や車が流されてしまうこともあります。また水を吸った山や崖が崩れたり土石流が起こることもあるのです。台風の時はしっかりとニュースに耳を傾けて早めに避難するようにしましょう。

雪による被害

冬に降る美しい雪。雪による自然災害も起こっています。

2013年には北海道で大雪が降り、児童館からの帰りに親子の乗った車が動かなくなり、歩いて帰ろうとするも遭難して子どもは助かったものの父親が無くなるという悲しい事故が起こりました。児童館から家までわずか6㎞程度、毎日通う場所からの帰りに遭難するとは思ってもみなかったでしょう

スキーやスノーボードが好きな人には楽しみの雪ですが、雪崩の原因でもあります。雪崩とは斜面にある雪、氷が流れ落ちる現象で生き埋めになってしまうなどの事故が起こってしまうのです。雪崩はとても速いため、気づいてから逃げ切ることはできません。雪崩が起きやすいポイントには近づかないようにしましょう。

自然災害に負けないために~防災の心得

私たちから命や財産を奪う自然災害。自然の前で人類の力は小さいですが、個人の努力でその被害を減らすこができるのです。

地震による被害を抑えるには家具が倒れないよう固定する、水や電気、ガスなどのライフラインが使えなくなってしまった時に備えて飲み水、電池、卓上コンロとボンベを準備しておくなどの対策をしておく必要があります。また、日中学校や職場で被害にあった時のことを想定して避難場所や連絡方法を家族で確認しておくことも大切です。特に障害や持病がある人は体への負担を少しでも軽減できるよう、過ごしやすい避難場所を事前に確認しておきましょう。

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自分の身は自分で守る!自然災害に負けないためにすべきこと

地球温暖化が進み、異常気象が増えている現代社会。さらに日本は地震が多く、いつ大きな地震がやってくるのかわかりません。自然災害によって生命や財産が失うのはとてもつらいことです。

日頃から災害に備えて防災グッズを用意し、避難の仕方を家族や地域の人で共有しておきましょう。また家庭でも家具を固定したり、家の回りの邪魔なものを片付けておくといざというときに避難しやすくなります。

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地学大気・海洋理科

日本にはどんな自然災害がある?過去の災害とあわせて科学館職員がわかりやすく解説

日本は地震、台風、噴火と自然災害が多い国である。特に2019年は台風による被害が多かったな。自然災害によって大切な家族や友人、家を失なってしまった人もいるかもしれない。

自然災害自体を防ぐことは難しいが、被害を小さくすることは人間の手でできる。今回は日本を襲った過去の災害と共に防災について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

日常に起こる不思議な現象を解明する科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校では化学部、大学では工学部化学系で化学漬けの日々を送っていた。

自然災害とは

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始めに自然災害とはなにか、ということから確認していきます。

自然災害とは自然現象によって人の命や社会活動に被害が生じることです。日本の法律(被害者生活再建支援法)で自然災害とは「暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火、その他の異常な自然現象により生ずる被害」とされています。

人間が原因となる災害が人災というのに対して自然災害を天災、とも言いますね。

他人ごとではない災害、地震

他人ごとではない災害、地震

image by Study-Z編集部

自然災害と聞いて地震を思い浮かべる人も多いでしょう。地震による災害は震災と呼ばれています。地震は地球の表面を覆ったプレートが動くことで起こっているのです。そのため、通常地震はこのプレート同士がぶつかっているところで起きています。しかし、プレートと関係なく地震が起こることもあり、そのメカニズムは完全には解明されていません。

地震の大きさとしてマグニチュード震度という言葉をよく聞きます。マグニチュードは地震そのものの規模です。一方、震度は地域によって異なり、その場所での揺れの程度を示してます。

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地震は揺れによる被害の他、建物の倒壊地盤沈下液状化現象、さらには火事と様々な二次災によってより大きな被害が出てしまうケースが多くあります。東日本大震災では9割近くが津波が原因で亡くなりました。また震災の時は人々が混乱し警察や消防も出動しているため、窃盗や暴動、さらには性的暴行などの犯罪が起こり治安が悪くなってしまうこともあります。

わずかな時間の揺れでたくさんの被害が出る地震。被害が出ていない地域も募金や被災地のものを積極的に買うなどして復興に貢献できれば良いですね。

日本で起きた過去の震災

日本で起きた過去の震災

image by Study-Z編集部

我が国日本は地震が多い国ですが、中でも2011年に起きた東日本大震災は他の地震と比べることのできないほど大きな地震でした。震源は宮城県でありながら、日本の広範囲で揺れが確認され、たくさんの死傷者が出たのです。

規模が最も大きいのは東日本大震災ですが、死傷者が最も多いのは大正時代に起きた関東大震災になります。正確な人数は分からないながらも190万人が被災して10万人以上の人が死亡、あるいは行方不明となりました。

世界で起きた大震災

統計上、世界で過去最大規模の地震は1960年にチリで起きたチリ(バルディビア)地震です。マグニチュードは9.5。この地震の余波としてなんと日本の方にまで津波がやって来たそうです。この地震の正確な死傷者の人数は不明ですが、2200から6000人と言われています。

近年起きた大きな地震としては2004年に起きたスマトラ地震がマグニチュード9.1と大変大きな地震でした。また、余震が2000回以上も発生したとして2011年にニュージーランドで起きた2011年カンタベリー地震(マグニチュード6.1)などが知られています。

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