今回はどうして虹ができるのかを勉強します。

雨上がりに見える虹。霧吹きやホースを使って作ることもできるな。虹は必ず観察者から見て太陽と反対側にできる。条件によっては逆さまの虹や二重の虹もできることがあるぞ。ところで虹が七色であることはみんな知っていると思うが、ではそれが何色と何色でどんな順で並んでいるかをすぐに答えられるか?実は虹の色は国によって色も数も違う。

今回はなぜ虹ができるのか、虹は何色でどんな順に並んでいるのかということを科学館職員のたかはしふみかと解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を送っていた。

虹とは?

image by PIXTA / 60053362

そもそも虹とはなんでしょうか

虹は大気光象(たいきこうしょう:大気や大気中の水滴などに太陽や月の光が反射、屈折などしたときに見られる現象)のひとつで、太陽光が空中の水滴によって屈折、反射することで見ることができます。だから雨上がりの雨粒が多い時や滝で虹が見られるのですね。実はごくまれにですが月の光でも虹ができる(月虹)ことがあるのです。虹は英語ではrainbow(雨の弓)フランス語ではarc-en-ciel(空にかかるアーチ)と美しい意味が込められています。一方、漢字では虫偏であるように中国ではヘビや龍の仲間とみなされているのです。

虹の理解に必要なポイント

虹のでき方を理解するには光に関する現象への知識が必要です。光とはなにかを確認していきましょう。

光とは

光とは

image by Study-Z編集部

たくさんの色の絵の具を混ぜると黒になりますね。しかし色とは逆に光は混ざると白くなります

例えばワードやエクセルで図形の色の設定を調整してみてください。赤、緑、青の色を調整することで様々な色を作ることができます。例えば赤を最大の255に設定し、残りの色を0にすると赤色になり、赤と青を255に緑を0にすると水色になるのです。そして3色すべてを255にすると白、125にするとグレー、0にすると真っ黒となります。

そのため、太陽から様々な波長の光が地上に届き、混ざって白っぽく見えるのです。太陽の光について詳細を知りたい人はこちらの記事を読んでくださいね。

光の現象

光の現象

image by Study-Z編集部

光を理解するために、次の言葉をしっかりと覚えてくださいね。

反射
波が跳ね返ることで、光が一方向に進む鏡反射、いろいろな方向に跳ね返る乱反射がある

入射光
空気(媒質1)→水(媒質2)のように光が異なる媒質に進むとき、媒質1を進む光のこと

屈折
空気→水のように光が異なる媒質に進むときに境界面で進行方向を変えること

光についてはこちらの記事を参考にしてくださいね。

虹のできる原理~虹の色と太陽光

虹のできる原理~虹の色と太陽光

image by Study-Z編集部

皆さんは色の順番を正しく虹を描けますか?虹は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫色という順に並んでいます。この並びは光の長さ(波長)で決まっているのです。

人の目に見える波長の光を可視光線と言い、380~750nmくらいの範囲の光を指します。これより短いものを紫外線、長い物を赤外線と呼び、こちらは人の目で見ることができないので不可視光線というのです。

光が屈折してできる虹。波長が長いほど屈折しづらく(屈折率が低い)、波長が短いほど屈折しやすく(屈折率が高く)なります。そして屈折した光がそれぞれの色に分かれて届くのです。屈折率が低い赤が上となり、波長が短く屈折率の大きい紫が下の端となるので私たちから虹は赤が上で下は紫に見えるのですね。

虹に関わる現象

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虹に関わる現象についてご紹介していきます。

逆さの虹

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空に逆さまにできる虹は環天頂アーク環天頂弧などともいわれている気象現象です。逆さ虹は六角形型の氷の結晶に光が入り、光の進み方が曲がったときに見られます。雲の中にある氷の結晶のせいで起こっているのです。吉兆とも大地震の前兆ともいわれる逆さ虹。しかし現在地震の専門家からも気象の専門家からも逆さ虹と地震の関係は否定されています。

\次のページで「1本だけではない、副虹・反射虹」を解説!/

1本だけではない、副虹・反射虹

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普段見慣れた虹は主虹(しゅにじ)とも言います。この外側に主虹よりも大きく、色が薄くできるのが副虹(ふくにじ)です。副虹は主虹とは逆の色の並び(外側が紫、内側が赤)をしています。

なぜ逆の並びの虹ができるのかというと、主虹が1回の反射でできているのに対して副虹は2回の反射でできているからです。

さらに水辺では虹が水面に反射した反射虹ができることがあります。虹と反射虹が繋がってまるで虹が水の中まで続くかのように長くなった虹やV時となった虹を見ることができるのです。さらに副虹も反射虹となると4本の虹を見ることが可能となります。

ブロッケン現象

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ブロッケン現象とは観測者の後ろにある太陽から光が差し込み、雲や霧にできた影の周りにまるで虹のような輪ができる現象のことです。内側が青く、外側が赤色になります。ブロッケンとはドイツの山の名前です。

日本では御来迎、山の御光、仏の御光などと言われます。日本では神々しい名前で呼ばれていますが、欧米ではこの現象によってみられる影がブロッケンの妖怪と呼ばれているのです。日本と欧米で逆の扱いとはおもしろいですね。

この現象は虹のような色が見えますが、虹ではないことに注意してください。

虹の作り方

自然にできる虹は条件がそろわないとみることができません。そこで自分で虹を作ってみましょう

プリズム

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水滴に頼らずに虹を作ることができるのがプリズムです。プリズムとはガラスや水晶でできた三角柱の形をしたものが一般的で、光を分散(入射した光を波長ごとに分けること)させて虹を生み出します。

ホースと霧吹き

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外で洗車をしたり水遊びをしたときにホースや霧吹きで虹を作ったことがある人もいるでしょう。比較的に太陽が低い位置にある時間(午前中や夕方)に太陽を背に水しぶきを出すと虹ができます。うまくできないときは角度を変えるなど条件を変えて試してみましょう。ホースで作る時は口を狭めて細かい霧状の水を出してくださいね。

\次のページで「国で違う虹の色」を解説!/

国で違う虹の色

ところで国によって虹の絵の色が異なる場合があります。先ほども確認したように虹は7色とされていますね。しかし、実は世界で虹の色は異なっているのです。

アメリカやフランスは赤、橙、黄、緑、青、紫の6色で藍色がありません。ドイツは赤、黄、緑、青、紫の5色で橙色もありません。さらにアフリカは赤・黄・緑そして黒の4色とされているのです。

ちなみに多くの国が7色としています。これはイギリスの物理学者のニュートン(1642~1727)が虹は7色としたからだそうです。

空にかかる橋、虹の仕組み

空にかかる美しい虹。希望や幸福などプラスのイメージがありますね。一方で、科学的根拠はないですがその珍しさから地震の前兆などと言われることもあるのです。虹は空気中の水滴によって光が屈折、反射することで現れます。自分で虹を作る時は太陽が出ている時に、太陽を背に霧吹きやホースを使ってくださいね。

虹の色は7色としている国が多く、それはニュートンが7色としたからとされています。しかし国によっては虹は6色としている場所もあるので、旅行に行ったときなどに虹をモチーフとしたアイテムを確認してみるといいかもしれません。

虹の色は反対になることはあっても(副虹)その並びは一緒です。どんな順番だったか忘れてしまった人はもう一度記事を読んでみてくださいね。

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物理理科電磁気学・光学・天文学

簡単でわかりやすい虹の仕組み!原理や作り方も科学館職員が詳しく解説

今回はどうして虹ができるのかを勉強します。

雨上がりに見える虹。霧吹きやホースを使って作ることもできるな。虹は必ず観察者から見て太陽と反対側にできる。条件によっては逆さまの虹や二重の虹もできることがあるぞ。ところで虹が七色であることはみんな知っていると思うが、ではそれが何色と何色でどんな順で並んでいるかをすぐに答えられるか?実は虹の色は国によって色も数も違う。

今回はなぜ虹ができるのか、虹は何色でどんな順に並んでいるのかということを科学館職員のたかはしふみかと解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

不思議な現象を解き明かす科学が好きで理系に進んだリケジョ。高校、大学で化学漬けの日々を送っていた。

虹とは?

image by PIXTA / 60053362

そもそも虹とはなんでしょうか

虹は大気光象(たいきこうしょう:大気や大気中の水滴などに太陽や月の光が反射、屈折などしたときに見られる現象)のひとつで、太陽光が空中の水滴によって屈折、反射することで見ることができます。だから雨上がりの雨粒が多い時や滝で虹が見られるのですね。実はごくまれにですが月の光でも虹ができる(月虹)ことがあるのです。虹は英語ではrainbow(雨の弓)フランス語ではarc-en-ciel(空にかかるアーチ)と美しい意味が込められています。一方、漢字では虫偏であるように中国ではヘビや龍の仲間とみなされているのです。

虹の理解に必要なポイント

虹のでき方を理解するには光に関する現象への知識が必要です。光とはなにかを確認していきましょう。

光とは

光とは

image by Study-Z編集部

たくさんの色の絵の具を混ぜると黒になりますね。しかし色とは逆に光は混ざると白くなります

例えばワードやエクセルで図形の色の設定を調整してみてください。赤、緑、青の色を調整することで様々な色を作ることができます。例えば赤を最大の255に設定し、残りの色を0にすると赤色になり、赤と青を255に緑を0にすると水色になるのです。そして3色すべてを255にすると白、125にするとグレー、0にすると真っ黒となります。

そのため、太陽から様々な波長の光が地上に届き、混ざって白っぽく見えるのです。太陽の光について詳細を知りたい人はこちらの記事を読んでくださいね。

光の現象

光の現象

image by Study-Z編集部

光を理解するために、次の言葉をしっかりと覚えてくださいね。

反射
波が跳ね返ることで、光が一方向に進む鏡反射、いろいろな方向に跳ね返る乱反射がある

入射光
空気(媒質1)→水(媒質2)のように光が異なる媒質に進むとき、媒質1を進む光のこと

屈折
空気→水のように光が異なる媒質に進むときに境界面で進行方向を変えること

虹のできる原理~虹の色と太陽光

虹のできる原理~虹の色と太陽光

image by Study-Z編集部

皆さんは色の順番を正しく虹を描けますか?虹は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫色という順に並んでいます。この並びは光の長さ(波長)で決まっているのです。

人の目に見える波長の光を可視光線と言い、380~750nmくらいの範囲の光を指します。これより短いものを紫外線、長い物を赤外線と呼び、こちらは人の目で見ることができないので不可視光線というのです。

光が屈折してできる虹。波長が長いほど屈折しづらく(屈折率が低い)、波長が短いほど屈折しやすく(屈折率が高く)なります。そして屈折した光がそれぞれの色に分かれて届くのです。屈折率が低い赤が上となり、波長が短く屈折率の大きい紫が下の端となるので私たちから虹は赤が上で下は紫に見えるのですね。

虹に関わる現象

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虹に関わる現象についてご紹介していきます。

逆さの虹

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空に逆さまにできる虹は環天頂アーク環天頂弧などともいわれている気象現象です。逆さ虹は六角形型の氷の結晶に光が入り、光の進み方が曲がったときに見られます。雲の中にある氷の結晶のせいで起こっているのです。吉兆とも大地震の前兆ともいわれる逆さ虹。しかし現在地震の専門家からも気象の専門家からも逆さ虹と地震の関係は否定されています。

\次のページで「1本だけではない、副虹・反射虹」を解説!/

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