この記事では「抱腹絶倒」について解説する。

端的に言えば抱腹絶倒の意味は「大笑いすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「抱腹絶倒」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に年間60冊読破。本を通じで心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「抱腹絶倒」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「抱腹絶倒」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「抱腹絶倒」の意味は?

「抱腹絶倒」には、次のような意味があります。

腹をかかえてひっくり返るほど大笑いすること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「抱腹絶倒」

誰しも一度は「抱腹絶倒(ほうふくぜっとう)」した経験があるのでないでしょうか。たとえば、面白いお笑い番組を見ていたとしましょう。両腕で自身のお腹を抱えて、床に転がりながら大笑いしてみてください。それが「抱腹絶倒」です。「抱腹」は、文字通り腹を抱えること。「絶倒」は、笑いころげるという意味になります。

ただし、面白さの伝え方は人それぞれ。なかには、両手をパンパン叩く拍手スタイルや、ボクシングのレフェリーがカウントダウンする時のように、机をバンバン叩くタイプもいるでしょう。どちらにせよ、面白すぎて笑っていることには変わりありません。どちらも、立派な「抱腹絶倒」といえますね。相手に対して、あり得ないほど面白いものを見たとにかく面白いものがあると伝えたい場合に「抱腹絶倒」を使ってみてください。

「抱腹絶倒」の語源は?

次に「抱腹絶倒」の語源を確認しておきましょう。「抱腹絶倒」は、「史記(しき)」に記された一つ「列伝」が語源だと言われています。今では「抱腹絶倒」が一般的に使われていますが、当時は「捧腹絶倒」と表記されていました。「史記」は、司馬遷が著書となる中国の歴史書。地域や分野を絞らず、人間像も詳しく描かれた貴重な文書としても有名です。では、「列伝」の内容を確認していきましょう。

占いでお金を稼ぎながら、弟子たちに講義をしていた司馬季主。そこへ、遠巻きに講義をきいていた大臣の宋忠(そうちゅう)と賈誼(かぎ)が尋ねたそうです。優秀な人物なのに、なぜ占い師になったのかと。すると、司馬季主は抱腹絶倒。高い役職に就き、高い給料をもらうことが聖人、賢者だと勘違いしているのではないかと説きました。この話で登場する「抱腹絶倒」は、浅はかな考えをしていた大臣2人を、司馬季主が大笑いして避難したといえますね。

\次のページで「「抱腹絶倒」の使い方・例文」を解説!/

「抱腹絶倒」の使い方・例文

「抱腹絶倒」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.先生が言った渾身のギャグに抱腹絶倒した。

2.最近の人気芸人は、抱腹絶倒するほど面白い。

3.抱腹絶倒の傑作コメディだとおすすめされたが、実際のところ、あまり面白くなかった。

4.好きなクリエイターが描いた空想冒険シリーズに抱腹絶倒した。

「抱腹絶倒」は、日常会話でも使いやすい四字熟語です。もちろん、ただ「面白い」と伝えてもよいでしょう。しかし、「抱腹絶倒」を使った方が、より面白かった様子を分かりやすく伝えられるのではないでしょうか。

ただし、「彼の話は抱腹絶倒するほど面白い」と周囲に話して、事前にハードルを上げるようなことはやめてあげましょう。本人に余計なプレッシャーがかかってしまい、硬直して上手く話せなくなってしまうかもしれません。「抱腹絶倒」を使う場面は、お腹を抱えるほど面白い時だけ。日常で使う場合は、ほどほどにしておくことをお勧めします。

「抱腹絶倒」の類義語は?違いは?

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では、「抱腹絶倒」の類義語や違いをみていきましょう。

「呵呵大笑」

「呵呵大笑」は「かかたいしょう」と読みます。意味は、大声をあげて笑うこと。「呵呵」は、「あっはっはっ」と大声で笑う様子。「大笑」は、大いに笑うことを意味します。「抱腹絶倒」に比べて、やや面白さの度合いは下がるかもしれませんが、声を出して笑っているぐらいですから、面白いことには変わりありません。元気がでない時こそ、「呵呵大笑」してリフレッシュしたいものですね。

\次のページで「「破顔一笑」」を解説!/

「破顔一笑」

「破顔一笑(はがんいっしょう)」の意味は、顔をほころばせてにっこりと笑うこと。「破顔」は、和らいだ表情で笑うこと。「一笑」は、にっこりと笑うことです。「抱腹絶倒」に比べて、「破顔一笑」はおしとやかに笑う姿が想像できるのではないでしょうか。

「破顔一笑」になる場面は非常に多いです。たとえば、プレゼントをもらった時や、試験に合格した時など、自然と笑顔になる時に使うとよいでしょう。大笑いしているわけではないので、「面白い」というよりは「嬉しい」と感じた時に使う四字熟語といえます。

「抱腹絶倒」の対義語は?

では、次に「抱腹絶倒」の対義語をみていきましょう。

「無味乾燥」

「抱腹絶倒」は転げるほど笑っていましたが、「無味乾燥」の意味は正反対。面白みを感じない時に使う四字熟語になります。「無味」は、味がしないこと。「乾燥」は、普段でもよく使われていますが、不要な液体が蒸発していくことですよね。味がしないうえに乾燥しているわけですから、よほど面白くなかったのだと伝わります。「無味乾燥な映画だ」と言えば、相手には「つまらなかったのだろう」と伝えることができるでしょう。

「興醒める」

「興醒(きょうざ)める」は「台無しになった」という感覚で使うと良いかもしれません。意味は、ある事がきっかけで、それまでの楽しい気分や興味が薄れること。「興が醒める」とも表現しますよね。「興(きょう)」は、面白いことを意味します。楽しい気持ちだったのに、急に気持ちが醒めてしまった時に使うとよいでしょう。

たとえば、飲み会で話が盛り上がっていたとします。ところが、同僚から昔の話を蒸し返されて、仕事の仕方を非難されてしまいました。これでは、せっかくの楽しい飲み会も台無し。「興醒める」状況となってしまいます。ほかにも、期待して観に行った舞台の役者が演技下手だったとしましょう。これもまた、楽しい気分が薄れたので「興醒める」といえますね。

「抱腹絶倒」の英訳は?

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では、「抱腹絶倒」を英訳すると、どのような表現があるのでしょうか。

「hold one's sides with laughter」

「hold」は「支える」という意味。「sides」は、この場合では「脇腹」のこと。「laughter」は「笑い」や「笑い声」という意味になります。繋げることで「腹を抱えて笑う」という意味になるので「抱腹絶倒」として使うことができるでしょう。

\次のページで「「rolling with laughter」」を解説!/

「rolling with laughter」

「抱腹絶倒」は、ひっくり返るほど笑うという意味なので、「笑い転げる」を英語にする場合は「rolling with laughter」と英訳することができます。「laughter」は「笑い」という意味。「roll」は「ころがる」という意味になりますので、進行形で使ってみてください。

「funny」

コメディを見て抱腹絶倒するほど「面白い」や「おかしい」と伝える場合は、シンプルに「funny」を使っても問題ありません。「very funny」や「so funny」と言えば、とにかく面白かったのだと相手に伝えることができるでしょう。日常会話では、「funny」が一番使いやすいのではないでしょうか。

「抱腹絶倒」を使いこなそう

この記事では「抱腹絶倒」の意味・使い方・類語などを説明しました。「抱腹絶倒」は、漢字の並びからしても覚えやすく、バラエティ番組や雑誌でも使われやすい四字熟語です。普段の生活では、なかなか面白いことに出会える機会は少ないですよね。さらに、社会人となれば人前では大きな声で笑いづらいかと思います。だからこそ、仲の良い友人の前や、自宅ぐらいは「抱腹絶倒」しても良いのではないでしょうか。そして、面白いものを発見したら、ぜひ「抱腹絶倒」という四字熟語を使って、友人に面白さを伝えてみてください。

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【四字熟語】「抱腹絶倒」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「抱腹絶倒」について解説する。

端的に言えば抱腹絶倒の意味は「大笑いすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「抱腹絶倒」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に年間60冊読破。本を通じで心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「抱腹絶倒」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「抱腹絶倒」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「抱腹絶倒」の意味は?

「抱腹絶倒」には、次のような意味があります。

腹をかかえてひっくり返るほど大笑いすること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「抱腹絶倒」

誰しも一度は「抱腹絶倒(ほうふくぜっとう)」した経験があるのでないでしょうか。たとえば、面白いお笑い番組を見ていたとしましょう。両腕で自身のお腹を抱えて、床に転がりながら大笑いしてみてください。それが「抱腹絶倒」です。「抱腹」は、文字通り腹を抱えること。「絶倒」は、笑いころげるという意味になります。

ただし、面白さの伝え方は人それぞれ。なかには、両手をパンパン叩く拍手スタイルや、ボクシングのレフェリーがカウントダウンする時のように、机をバンバン叩くタイプもいるでしょう。どちらにせよ、面白すぎて笑っていることには変わりありません。どちらも、立派な「抱腹絶倒」といえますね。相手に対して、あり得ないほど面白いものを見たとにかく面白いものがあると伝えたい場合に「抱腹絶倒」を使ってみてください。

「抱腹絶倒」の語源は?

次に「抱腹絶倒」の語源を確認しておきましょう。「抱腹絶倒」は、「史記(しき)」に記された一つ「列伝」が語源だと言われています。今では「抱腹絶倒」が一般的に使われていますが、当時は「捧腹絶倒」と表記されていました。「史記」は、司馬遷が著書となる中国の歴史書。地域や分野を絞らず、人間像も詳しく描かれた貴重な文書としても有名です。では、「列伝」の内容を確認していきましょう。

占いでお金を稼ぎながら、弟子たちに講義をしていた司馬季主。そこへ、遠巻きに講義をきいていた大臣の宋忠(そうちゅう)と賈誼(かぎ)が尋ねたそうです。優秀な人物なのに、なぜ占い師になったのかと。すると、司馬季主は抱腹絶倒。高い役職に就き、高い給料をもらうことが聖人、賢者だと勘違いしているのではないかと説きました。この話で登場する「抱腹絶倒」は、浅はかな考えをしていた大臣2人を、司馬季主が大笑いして避難したといえますね。

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