この記事では「一味同心」について解説する。

端的に言えば一味同心の意味は「心を一つにして力を合わせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「一味同心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「一味同心」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一味同心」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いちみどうしん」です。基本的な意味を確認した上で語源を知っておくと理解が深まりますよ。

「一味同心」の意味は?

「一味同心」には、次のような意味があります。使い方に幅がある四字熟語ですが、まずは中心となる意味合いをしっかりチェックしておきましょう。

1.同じ目的をもって集まり、心を一つにすること。また、その仲間。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

基本的な意味は「同じ目的をもって集まること」ですが、もちろん集まるだけで何もしないわけではないので、複数の人たちが何らかの事に当たる前提で使われる表現です。また、深刻であったり重大である出来事に向けて使うこともありますよ。

「一味」は他の味を交えない一つの味ということから平等や同一ということ、「同心」は志を同じくすることやその人々のことを表しています。

「一味同心」の語源は?

次に「一味同心」の語源を確認しておきましょう。

中世の日本では、国における同盟や連盟、百姓の自治組織である惣の結合や一揆など農村での連帯などのことを「一味同心」と呼ぶことがありました。さらに、その団結を結ぶ際には、神社の境内に集まり神前で神水と呼ばれる水を回し飲みする儀式を一味神水と言います。

ただし、江戸時代になると一味同心が禁止されるケースもでてきて、一味神水も規制されるようになっていきました。

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「一味同心」の使い方・例文

「一味同心」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。大きく分けて二つの使い方があるので、二つの例文を紹介しますよ。

1.一味同心した数人の同志はみるみる大きな集団となり、町の立て直しにあたった。
2.過去の一味同心のメンバーは戦友のようなもので、再会しても同じ考え方をもつ間柄であった。

意味については、一つは例文1.のように「一味同心」を同志が集まり心を一つにするという行為について使う場合があります。もう一つは、例文2.で使われているように、「一味同心」を行為ではなくメンバーを指していることもありますよ。

使い方に注目して見てみると、例文1.は「一味同心する」というように動詞化した表現をしていますが、例文2.は「一味同心の…」と名詞になっています。

意味にも使い方にも、大きく二種類あるので状況や場面によって使い分けるといいですね。

「一味同心」の類義語は?違いは?

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それでは、「一味同心」の類義語についての説明です。類義語は比較的たくさんありますが、それぞれ少しずつニュアンスが違うので、詳しくチェックしていきましょう。

「一致団結」

「一味同心」の類義語には、「一致団結(いっちだんけつ)」があります。多くの人ひとつの目的のためにまとまることという意味です。「一致」は食い違いなく同じであること、「団結」は人々が力を合わせて強く結びつくことを表しています。

非常に意味は近く、言い換えることができますよ。あえて違いを言うなら、「一味同心」よりも幅広く使われるため、子供でも使える場面がありますよ。また、「一味同心」はメンバーのことを表すこともありますが、「一致団結」はまとまるという行為のみを表す表現です。

\次のページで「「意気投合」」を解説!/

「意気投合」

もう一つの類義語には、「意気投合(いきとうごう)」があります。意味は、互いの思いや気持ちがぴったりと合い一つになることです。「意気」は事をやり遂げようとする積極的な気持ちのこと、「投合」はピッタリと合うことを表しています。

「一味同心」や「一致団結」はもともとあった目的のためにまとまるイメージですが、「意気投合」は何らかの達成すべきことの有無は関係なく使いますよ。そのため、目的はなく考え方が同じというときにも使われる表現です。

「一味同心」の対義語は?

次は、「一味同心」の対義語についての説明です。まとまるのが「一味同心」だったので、まとまらないのが対義語になります。ここで紹介する二つの対義語を見てみましょう。

「四分五裂」

「一味同心」の対義語には、「四分五裂(しぶんごれつ)」があります。意味は、一つだったものがいくつかに分かれてバラバラになることです。「四分」は四つに分かれること、「五裂」は五つに裂けることで、いずれもバラバラになることを表しています。

一旦まとまったメンバーがバラバラになるという意味があるので、「一味同心」の状態にあったのが「四分五裂」するというイメージです。なお、「四分五裂する」というように動詞として使うことが多くなっていますよ。

「諸説紛紛」

もう一つの対義語には、「諸説紛紛(しょせつふんぷん)」があります。いろいろな意見が取り乱れてまとまりがつかないようすという意味です。「諸説」はいろいろな説や意見のこと、「紛紛」は入り乱れているようすのことを表しています。

「一味同心」のように目的に向かっていくというより、「諸説紛紛」のほうは何かを分析したり判断したりするときに使われることが多くなっていますよ。また、使い方としては、よく「諸説紛紛として…」という言い方をされます。

「一味同心」の英訳は?

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最後に、「一味同心」の英訳についての説明です。言語が違うので漢字そのもののニュアンスは含まれませんが、意味合いをとらえた表現があるので一緒に見ていきましょう。

「working together with one mind」

「一味同心」の英訳には、「working together with one mind」があります。直訳すると「一つの心をもって一緒に取り組むこと」です。また、「一味同心」にはメンバーを表す意味もあるので、その場合は「people」を加えて「people working together with one mind」となります。

ただ気が合うというだけでなく、「working together」の部分でこれから何らかのことに取り組んでいくようすが伝わりますね。

\次のページで「「一味同心」を使いこなそう」を解説!/

「一味同心」を使いこなそう

今回の記事では「一味同心」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「同じ目的をもって心を一つにすること」という意味でしたが、深刻な場面や命がけの場面で使われてきた表現なので、重い表現であるとも言えます。関連する表現はいくつかありますが、その場面のことの重大さによっても使い分けるとよさそうです

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国語言葉の意味

【四字熟語】「一味同心」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「一味同心」について解説する。

端的に言えば一味同心の意味は「心を一つにして力を合わせること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「一味同心」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「一味同心」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「一味同心」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いちみどうしん」です。基本的な意味を確認した上で語源を知っておくと理解が深まりますよ。

「一味同心」の意味は?

「一味同心」には、次のような意味があります。使い方に幅がある四字熟語ですが、まずは中心となる意味合いをしっかりチェックしておきましょう。

1.同じ目的をもって集まり、心を一つにすること。また、その仲間。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

基本的な意味は「同じ目的をもって集まること」ですが、もちろん集まるだけで何もしないわけではないので、複数の人たちが何らかの事に当たる前提で使われる表現です。また、深刻であったり重大である出来事に向けて使うこともありますよ。

「一味」は他の味を交えない一つの味ということから平等や同一ということ、「同心」は志を同じくすることやその人々のことを表しています。

「一味同心」の語源は?

次に「一味同心」の語源を確認しておきましょう。

中世の日本では、国における同盟や連盟、百姓の自治組織である惣の結合や一揆など農村での連帯などのことを「一味同心」と呼ぶことがありました。さらに、その団結を結ぶ際には、神社の境内に集まり神前で神水と呼ばれる水を回し飲みする儀式を一味神水と言います。

ただし、江戸時代になると一味同心が禁止されるケースもでてきて、一味神水も規制されるようになっていきました。

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