この記事では「釘(くぎ)を刺す」という慣用句について解説する。

端的に言えば「釘を刺す」の意味は「重ねて注意すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「釘を刺す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「釘を刺す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「釘を刺す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「釘を刺す」の意味は?

「釘を刺す」には、次のような意味があります。

あとで言い逃れや間違いなどが起きないように、あらかじめ念を押す。釘を打つ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「釘を刺す」

「釘を刺す」という慣用句は、比較的耳にすることのおおいものです。では、なぜ「釘を刺す」が念を押すという意味合いになったのでしょうか。

この疑問を解消するカギは、日本の伝統的な建築工法にありました。日本の建築物といえば世界最古の法隆寺がそうであるように、木造建築が主流です。

この木造建築も、当初は釘などを一切用いなかったといいます。では、どうしたのかというと、木材に入れた切れ込みを組み合わせるということをしていたのだそうです。

その組み合わせだけでも大丈夫なところ、江戸中期からはさらに「釘を刺し」固定することにより万全を期したといいます。ちなみに、このときの釘は現在使われているような「洋釘」ではなく、「和釘」だったそうです。

「釘を刺す」の使い方・例文

「釘を刺す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「釘を刺す」の類義語は?違いは?」を解説!/

彼が二度とスタンドプレーに走らないように、上司の君からもよく釘を刺しておいてくれたまえ。

あれだけたくさん釘を刺しておいたのに、またあいつはUSBメモリを会社のPCに接続させようとしている。

何度も釘を刺しておかないと、健太は漢字や単語の意味を辞書ではなくスマホだけで調べようとするからね。

「釘を刺す」という慣用句を正確に理解するカギは、言い逃れや間違いが起きないようにという点です。最初の例文では、組織の中でスタンドプレーに走ることを間違いであると考えています。

また、万が一、事後に当事者が「知らなかった」などと言い訳ができないようにとの意図もあるのでしょう。二つめの例文ではUSBメモリの接続を戒めています。

また、最後の例文での間違いだとしているのは、スマホだけで漢字や単語の意味を調べようとすることですね。いずれにしても、何度も繰り返し相手に告げることで、間違いが起こらないようにとの部分は変わりません。

#2 「釘を刺す」の類義語は?違いは?

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ところで、「釘を刺す」の類義語にはどのようなものが考えられるのでしょうか。

「念を押す」

「念を押す」も「釘を刺す」と同じくらいよく用いられる慣用表現です。この表現は、何度も確かめるといった意味や重ねて注意するといった意味があります。

この場合の「念」は、気をつけること、注意することといった意味合いです。

「駄目を押す」

「駄目を押す」もまた、「釘を刺す」の類義語といっても差し支えないものです。この慣用表現には、念のためにもう一度確かめるといった意味合いがあります。

他では、スポーツなどのシーンで勝利が確実視される中、さらに得点を重ねて勝利を決定づけるという場合に使われることもしばしばです。では、これらの類義語を用いた例文をチェックしておきましょう。

\次のページで「「釘を刺す」の対義語は?」を解説!/

あれほど納期だけは守ってくださいと念を押しておいたのに、期日までに納品できないなんてどういうことなのか。

彼らにはもう一度駄目を押しておかないと、ひょっとするとこちらの意図を理解していない可能性もあるよ。

#3 「釘を刺す」の対義語は?

さて、「釘を刺す」対義語はどのようにとらえればよいのでしょうか。「釘を刺す」は、重ねて注意をすることで万に一つも間違いが起きないようにするという意味でしたね。

したがって、その対義語はそれほどキメ細やかな対応ではないことを示すことばだと考えることができます。では、そのような意味合いを持つ言葉を二つほど見ていきましょう。

「ぞんざい」

「ぞんざい」は、物事の取り扱いがいいかげんである様子を表すことばです。また、人に対しても、礼儀にかなっておらず乱暴な取り扱いをするという意味で用いられます。

そういう意味では、「釘を刺す」ような対応とは好対照だといえるのではないでしょうか。

「生半可」

「生半可」もまた、そういう意味では「釘を刺す」の対義語ともいっていい表現です。この言葉には、中途半端で不十分な様子を意味合いがあります。

そこには、「釘を刺す」のように徹底して確認をするような姿勢は読み取れません。では、これらの対義語を用いた例文をここでチェックしておきましょう。

そのようなぞんざいな指示をして、はたして末端にまでこちらの真意は伝わるのかい?

君たちが生半可なやり方で切り抜けようとしても、そうは問屋が卸さないというものだ。

#4 「釘を刺す」の英訳は?

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最後に、「釘を刺す」の英語表現をいくつかご紹介しておきます。

\次のページで「「make extra sure」」を解説!/

「make extra sure」

「make extra sure」の「make sure」には、もともと事実や行動に間違いがないかを確かめるという意味があります。一方、「exrta」の表す意味は、「追加の」です。

したがって、「make extra sure」全体では、間違いがないように追加で確認するという意味合いになります。これが、「釘を刺す」の意味に近いというわけですね。

「remind someone not to」

「remind someone not to」もまた、「釘を刺す」の英語訳だといえるものです。こちらの表現は、「〇〇が~しないように思いださせる」という意味を表します。

ここでポイントとなるのが、「~しないように」の部分です。これは、「釘を刺す」が元々持っている「間違いがないように」と通じるところがあります。

You should make extra sure that he doesn't leave any food.
彼が食べ残しをしないように釘を刺しておくべきだろうね。

She reminded me not to overlook this point.
彼女は、このポイントを見逃さないよう私に釘を刺してきた

「釘を刺す」を使いこなそう

この記事では「釘を刺す」の意味・使い方・類語などを説明しました。この慣用句の意味は、言い逃れができないように何度も注意をするでしたね。

この慣用句は自分で使うことも、また人に使われることも比較的多といえます。それだけに、意味を正確につかんで使いこなせるようにしておくことは重要です。

みなさんも、この慣用句を使う機会があったら臆せずにどんどん使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「釘を刺す」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「釘(くぎ)を刺す」という慣用句について解説する。

端的に言えば「釘を刺す」の意味は「重ねて注意すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「釘を刺す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「釘を刺す」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「釘を刺す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「釘を刺す」の意味は?

「釘を刺す」には、次のような意味があります。

あとで言い逃れや間違いなどが起きないように、あらかじめ念を押す。釘を打つ。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「釘を刺す」

「釘を刺す」という慣用句は、比較的耳にすることのおおいものです。では、なぜ「釘を刺す」が念を押すという意味合いになったのでしょうか。

この疑問を解消するカギは、日本の伝統的な建築工法にありました。日本の建築物といえば世界最古の法隆寺がそうであるように、木造建築が主流です。

この木造建築も、当初は釘などを一切用いなかったといいます。では、どうしたのかというと、木材に入れた切れ込みを組み合わせるということをしていたのだそうです。

その組み合わせだけでも大丈夫なところ、江戸中期からはさらに「釘を刺し」固定することにより万全を期したといいます。ちなみに、このときの釘は現在使われているような「洋釘」ではなく、「和釘」だったそうです。

「釘を刺す」の使い方・例文

「釘を刺す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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