この記事では「開口一番」について解説する。

端的に言えば「開口一番」の意味は「口を開くとすぐに言う」ということですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「開口一番」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「開口一番」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「開口一番(かいこういちばん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「開口一番」の意味は?

「開口一番」には、次のような意味があります。

口を開いてものを言いだすとすぐに。口を開くやいなや。「開口一番相手を批判した」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「開口一番」

漢字を分解してみると、「開口」は「口を開くこと」、その意味から「話し始めること」。「一番」はそのまま「最初に、すぐに」。合わせて「話を始めるとすぐに」という意味です。これは漢字そのままですから、意味もわかりやすいと思います。

「開口一番」誰かが何かを言う場面を想像してみましょう。真っ先に口を開くのですから、発言する人はよほど何かを言いたい状況だということも想像できますね。

「お腹がすいた」というような平和な内容でももちろん良いのですが、言っている本人には重大な出来事なのかもしれません。良くも悪くも、驚くような内容が続きそうな四字熟語です。

「開口一番」の語源は?

次に「開口一番」の語源を確認しておきましょう。

辞書などで正式に語源として扱われてはいるものは見つかりませんでしたが、落語の用語として「開口一番」を確認することが出来ました。参考にご紹介します。

落語は、話し手である落語家が次々に登場しますね。その一番手ということで、「前座(ぜんざ)」を意味しているのがこの言葉です。

前座とは、落語など寄席(よせ)における「格」のことで、一番上手な人のことは「真打(しんうち)」、二番手は「二つ目(ふたつめ)」などとも言います。前座は、それより先に登場する人のことです。

前座というと主役ではなく残念なイメージもあるかもしれませんが、そこは実力の世界。手は抜けません。始まったばかりのタイミングで、お客さんを笑わせて気持ち良く楽しんでもらうのですから、「開口一番」何を言うか、とても重要な役どころです。

芸の世界では先陣を切って登場する、勇ましい役柄とも言えるでしょう。

\次のページで「「開口一番」の使い方・例文」を解説!/

「開口一番」の使い方・例文

「開口一番」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

・仕事から帰ってくるなり姉は開口一番、一人暮らしがしたいと言って、皆を驚かせた。

・長い会議が終わった途端、新人たちはみな開口一番に疲労が限界に達したと嘆いていた。

・「このチームに入りたいんだけど」と、開口一番に彼女が言ってきたのは、とても風が強い日のことだった。

すぐに、顔を合わせたとたんに」というイメージがつくでしょうか。

誰か人がやってきたり、あるいは自分がどこかに行ったという行動・動作を伴っていることも多いですね。待ち構えていて発せられる言葉ですから、緊迫したシーンかもしれません。

もし文章中で使われることがあれば、人物の強い感情の表れであることも多くあります。そうしたところは読解問題でも問われやすいところです。注意して読み込むようにしましょう。

急な動作が伴いますので、驚きやショックなど悪いイメージもありますが、もちろん良い意味にも使えます。

「帰るなり「開口一番」、赤ちゃんが出来たの、と妻が言った」などと、嬉しいサプライズだったら良い言葉にもなりますね。

例文のように、地の文でもカッコつきのセリフでも使うことが出来ます。

「開口一番」の類義語は?違いは?

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「開口一番」の類義語は、四字熟語ではありませんが「いの一番」がいいでしょう。

「いの一番」

「いの一番(いのいちばん)」は、「まっさき、最初」という意味の言葉です。

ただしここには、「口を開くと」という意味は含まれていませんので、文章で補う必要があります。次の例文で確認してください。

ちなみに、この言葉は「いろは」で番付を作った際に、「い」が一番最初に来ることからできた言葉です。成り立ちも「開口一番」に似ていると言えるかもしれませんね。

\次のページで「「開口一番」の対義語は?」を解説!/

・部屋に入ってくるなり、彼女はいの一番に部屋が暑いと文句を言い始めた。

「開口一番」の対義語は?

「開口一番」には、明確な対義語は見つかりませんでした。「口を開くとすぐに(~と言う)」と、ストーリーがあるため、反対の意味になる言葉は作りにくいからかもしれません。

「開口一番」の英訳は?

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「開口一番」の英語訳は「the first thing one says」か「open one's speech with ~」がいいでしょう。oneは代名詞のため、主語によって変化させる必要があることに注意してください。以下で解説していきます。

「the first thing one says」

こちらは名詞表現です。名詞「the first thing(最初の事)」に修飾格「one says(~が言う)」が続いている形になります。合わせて「~が言う最初の事」という直訳です。

名詞ですから、このあとに「is」などの動詞を繋げて文章にしましょう。後ろにthat節などを繋げると、会話の発言内容が表現しやすいです。次の例文で確認してください。

過去形の場合は、「say」を過去形に変化することも忘れないでくださいね。

The first thing he said was that it was not his fault.
開口一番、彼はそれが自分の失敗ではなかったと言った。

「open one's speech with ~」

こちらは動詞openから始まる英訳です。「スピーチ(会話)を~と始めた」ということで、「開口一番」の意味になりますね。

動詞ですから主語を必要とします。こちらの方が「誰々が言っている」と、動作をする人にフォーカスする表現になるでしょう。先の英訳と合わせて、文章によって使い分けてください。

\次のページで「「開口一番」を使いこなそう」を解説!/

She opened her speech with marriage announcement.
彼女は開口一番、結婚の報告をした。

「開口一番」を使いこなそう

この記事では「開口一番」の意味・使い方・類語などを説明しました。

類語の項でもご紹介しましたが、落語でも使われる言葉というのは面白いですね。

みなさんも落語会などで聞くようなことがあれば、「開口一番」を任された人がどんな風に話を始めるのかぜひ注目して観ましょう。ただの前座ではなく、それもプロの技です。更に興味深く聞けかもしれませんよ。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「開口一番」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「開口一番」について解説する。

端的に言えば「開口一番」の意味は「口を開くとすぐに言う」ということですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んです。一緒に「開口一番」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/やぎしち

雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。
国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。

「開口一番」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「開口一番(かいこういちばん)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「開口一番」の意味は?

「開口一番」には、次のような意味があります。

口を開いてものを言いだすとすぐに。口を開くやいなや。「開口一番相手を批判した」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「開口一番」

漢字を分解してみると、「開口」は「口を開くこと」、その意味から「話し始めること」。「一番」はそのまま「最初に、すぐに」。合わせて「話を始めるとすぐに」という意味です。これは漢字そのままですから、意味もわかりやすいと思います。

「開口一番」誰かが何かを言う場面を想像してみましょう。真っ先に口を開くのですから、発言する人はよほど何かを言いたい状況だということも想像できますね。

「お腹がすいた」というような平和な内容でももちろん良いのですが、言っている本人には重大な出来事なのかもしれません。良くも悪くも、驚くような内容が続きそうな四字熟語です。

「開口一番」の語源は?

次に「開口一番」の語源を確認しておきましょう。

辞書などで正式に語源として扱われてはいるものは見つかりませんでしたが、落語の用語として「開口一番」を確認することが出来ました。参考にご紹介します。

落語は、話し手である落語家が次々に登場しますね。その一番手ということで、「前座(ぜんざ)」を意味しているのがこの言葉です。

前座とは、落語など寄席(よせ)における「格」のことで、一番上手な人のことは「真打(しんうち)」、二番手は「二つ目(ふたつめ)」などとも言います。前座は、それより先に登場する人のことです。

前座というと主役ではなく残念なイメージもあるかもしれませんが、そこは実力の世界。手は抜けません。始まったばかりのタイミングで、お客さんを笑わせて気持ち良く楽しんでもらうのですから、「開口一番」何を言うか、とても重要な役どころです。

芸の世界では先陣を切って登場する、勇ましい役柄とも言えるでしょう。

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