この記事では「三面六臂」について解説する。

端的に言えば三面六臂の意味は「一人で何人分もの仕事をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「三面六臂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「三面六臂」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三面六臂」の意味や語源・使い方を見ていきます。読み方は「さんめんろっぴ」です。まずは、意味や語源などの基本的なことを詳しくチェックしましょう。

「三面六臂」の意味は?

「三面六臂」には、次のような意味があります。基本的な意味のほかに、独特のニュアンスも含まれているので、詳しく見ていきましょう。

1.たったひとりで、何人分もの働きをすること。多くの分野で才能を示して活躍すること。大活躍のたとえ。

出典:四字熟語辞典(学研)

大まかな意味は、とにかく「大活躍すること」です。大活躍の内容には、大きく二つの意味合いがあります。

一つは、一人で何人分もの働きをするという意味合いです。量的に働きが多いということですね。二つ目は、多くの分野で活躍することがあります。こちらは、人が驚くほど得意な分野が多方面に複数あって活躍するようすを表していますね。

量的な活躍と多方面の活躍の意味を持っていますよ。

「三面六臂」の語源は?

次に「三面六臂」の語源を確認しておきましょう。漢字のもとの意味をたどっていくと、語源が見えてきます。

「面」は顔のこと、「臂」は肘のことを表すので、つまり、三つの顔と六つの腕をもつということです。阿修羅像に代表されるように仏像に三つの顔を六つの腕をもつことからきており、三人分の働きをするということになりますね。

また、「八面六臂(はちめんろっぴ)」として八つの顔ということで、やや大げさになった表現をすることもありますよ。

\次のページで「「三面六臂」の使い方・例文」を解説!/

「三面六臂」の使い方・例文

「三面六臂」の使い方を例文を使って見ていきましょう。大まかに二種類の意味が含まれますが、それぞれの意味を含んだ例文になっていますよ。

1.トラブルでイベント開催が危ぶまれる中、メンバーそれぞれの三面六臂の活躍で事なきを得た。
2.彼女の三面六臂の大活躍は多分野に渡るものだったので、自分を含めて皆を驚かせた。

二つの例文は、ともに活躍のようすを表していますが、やや意味合いに違いがありますよ。例文1.の「三面六臂」は、仕事量として一人で数人分もの働きをするという量的な意味合いで使われています。2.のほうは、量的なものではなく多方面に渡るという意味合いです。

「三面六臂の…」という使い方をすることが多くなっており、「三面六臂する」というような動詞化した表現はしません。

「三面六臂」の類義語は?違いは?

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それでは、「三面六臂」の類義語についての説明です。類義語は活躍する意味合いのものになっていますが、それぞれにニュアンスの違いがあるので丁寧に見ていきましょう。

「獅子奮迅」

「三面六臂」の類義語には、「獅子奮迅(ししふんじん)」があります。意気込みが果敢で猛烈な活動や華々しい活躍をすることという意味です。「獅子」はライオンのこと、「奮迅」は奮い立って激しく行動をすることを表しています。

「三面六臂」が何人分かの活躍をすることが意味の中心であることに比べると、「獅子奮迅」のほうは行動の激しさや勢いの強さの印象が強くなっているので、場面によって使い分けるといいですね。

\次のページで「「縦横無尽」」を解説!/

「縦横無尽」

もう一つの類義語には、「縦横無尽(じゅうおうむじん)」があります。意味については、自由自在に思う存分に物事を行うようすのことです。「縦横」は縦にも横にもということから四方八方、さらにはどの方向にも自由自在にという意味があります。「無尽」のほうは、尽きることがないということから「好きなだけ」「遮られることなく」という意味合いです。

「縦横無尽」の言葉自体には活躍の意味はありませんが、「縦横無尽の活躍」というように活躍ということばを合わせて使われることが非常に多くなっています。そのため、「縦横無尽の…」とくると活躍をイメージする人は多いのではないでしょうか。

「三面六臂」の対義語は?

次は、「三面六臂」の対義語についての説明です。対義語は、やや難しい四字熟語ではありますが、詳しく見ていき特徴をとらえましょう。

「朽木糞牆」

「三面六臂」の対義語には、「朽木糞牆(きゅうぼくふんしょう)」があります。意味は、怠け者や手の施しようのない者、役に立たないものです。「朽木」は腐った木のこと、「糞牆」は腐ってぼろぼろになった土塀のことを表しています。

腐った木は彫れず、腐った土塀は上塗りできないことから、今の状態からでは手の施しようがないという意味につながっていますよ。大活躍する意味のある「三面六臂」とは、ちょうど反対の意味になっていますね。

「三面六臂」

対義語には、もう一つ「行尸走肉(こうしそうにく)」があります。才能や学問もなく、何の役にも立たない無能な人という意味です。「行尸」は歩く屍のこと、「走肉」は魂のない肉体が走るということを表しています。

無能であることを生ける屍と例えているということは、相当のきつい表現ですね。「行尸走肉」は「行尸走肉の…」など名詞として使用するのが基本です。

「三面六臂」の英訳は?

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最後に「三面六臂」の英訳についての説明です。近い表現はさまざまありますが、とくにニュアンスも近いものをチェックしていきますよ。

「splendid work」

「三面六臂」の英訳には、「splendid work」があります。「splendid」は「見事な、素晴らしい」という意味があるので、「見事な働き」「素晴らしい仕事」という意味合いになりますね。

動詞ですが「be very active」や「perform brilliantly」も大活躍するという意味があり、英訳としての表現も可能です。ほかに、「hugely successful(大活躍)」もありますが、やや個人的な頑張りの印象があります。

\次のページで「「三面六臂」を使いこなそう」を解説!/

「三面六臂」を使いこなそう

今回の記事では「三面六臂」の意味・使い方・類語などを説明しました。一人で何人分もの活躍をしたり、多方面で活躍することを意味する四字熟語でしたね。

「三面六臂」は仏像にルーツがありますが、一番印象深いのは「阿修羅像」かもしれませんね。とくに有名なのは、奈良の興福寺の阿修羅像や京都の三十三間堂の阿修羅像があり、いずれも国宝になっています。阿修羅像のイメージが沸かない人は、ぜひ写真を見てみるといいですよ。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「三面六臂」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

この記事では「三面六臂」について解説する。

端的に言えば三面六臂の意味は「一人で何人分もの仕事をすること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「三面六臂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「三面六臂」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三面六臂」の意味や語源・使い方を見ていきます。読み方は「さんめんろっぴ」です。まずは、意味や語源などの基本的なことを詳しくチェックしましょう。

「三面六臂」の意味は?

「三面六臂」には、次のような意味があります。基本的な意味のほかに、独特のニュアンスも含まれているので、詳しく見ていきましょう。

1.たったひとりで、何人分もの働きをすること。多くの分野で才能を示して活躍すること。大活躍のたとえ。

出典:四字熟語辞典(学研)

大まかな意味は、とにかく「大活躍すること」です。大活躍の内容には、大きく二つの意味合いがあります。

一つは、一人で何人分もの働きをするという意味合いです。量的に働きが多いということですね。二つ目は、多くの分野で活躍することがあります。こちらは、人が驚くほど得意な分野が多方面に複数あって活躍するようすを表していますね。

量的な活躍と多方面の活躍の意味を持っていますよ。

「三面六臂」の語源は?

次に「三面六臂」の語源を確認しておきましょう。漢字のもとの意味をたどっていくと、語源が見えてきます。

「面」は顔のこと、「臂」は肘のことを表すので、つまり、三つの顔と六つの腕をもつということです。阿修羅像に代表されるように仏像に三つの顔を六つの腕をもつことからきており、三人分の働きをするということになりますね。

また、「八面六臂(はちめんろっぴ)」として八つの顔ということで、やや大げさになった表現をすることもありますよ。

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