ゼーベック効果が起こるメカニズム
自由電子や正孔(ホール)の密度差は、金属内部や半導体内部の電荷のバランスを崩すことになります。電荷のバランスが崩れると、金属や半導体に電位差(電圧)が生じるのです。電位差(電圧)の大きさは、金属や半導体の種類に依存します。
ですから、異なる2種類の金属や半導体に生じる電位差(電圧)は異なることがわかりますね。当然ながら、異なる電位差をもつもの同士をつないで回路をつくると、電流が流れます。これが、ゼーベック効果のメカニズムなのです。
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ゼーベック効果を利用したもの
ここからは、ゼーベック効果の利用例を2つご紹介します。
1.熱電変換モジュール
2つの異なる種類の金属または半導体が輪になるように端点を接続した回路に、ゼーベック効果によって出力される電力はごくわずかです。そのため、実用的な発電装置として使用するには工夫が必要ですよね。そこで、この回路を何個も直列に接続することによって、大きな起電力を得られるようにしました。これが熱電変換モジュールです。
熱エネルギーを利用して発電するという点では、火力発電のような熱機関による発電機と同じですね。ですが、熱機関と違い、熱電変換モジュールには回転する部分がありません。そのため、熱電変換モジュールは、メンテナンスが簡単で、騒音が発生しないというメリットがあります。その他にも、小型軽量化が容易といった利点もありますよ。
このようなことから、自動車からの排熱と外気の温度差を利用した発電などに適しており、省エネルギー技術の1つとして注目されています。また、お風呂の残り湯と気温の差を利用した発電、体温と気温の差によって発電した電気を使用する腕時計といったものまで考案されていますよ。
現時点では、大きな工場やゴミ焼却場などの特定の場所以外で、排熱利用は積極的に行われていません。ですが、熱電変換モジュールが普及すれば、排熱利用はより身近なものになるかもしれませんね。
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