物理物理学・力学理科

熱が電気に変換される?不思議な「ゼーベック効果」を理系学生ライターがわかりやすく解説!

熱電変換モジュール

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2つの異なる種類の金属または半導体が輪になるように端点を接続した回路に、ゼーベック効果によって出力される電力はごくわずかです。そのため、実用的な発電装置として使用するには工夫が必要ですよね。そこで、この回路を何個も直列に接続することによって、大きな起電力を得られるようにしました。これが熱電変換モジュールです。

熱エネルギーを利用して発電するという点では、火力発電のような熱機関による発電機と同じですね。ですが、熱機関と違い、熱電変換モジュールには回転する部分がありません。そのため、熱電変換モジュールは、メンテナンスが簡単で、騒音が発生しないというメリットがあります。その他にも、小型軽量化が容易といった利点もありますよ。

このようなことから、自動車からの排熱と外気の温度差を利用した発電などに適しており、省エネルギー技術の1つとして注目されています。また、お風呂の残り湯と気温の差を利用した発電体温と気温の差によって発電した電気を使用する腕時計といったものまで考案されていますよ。

現時点では、大きな工場やゴミ焼却場などの特定の場所以外で、排熱利用は積極的に行われていません。ですが、熱電変換モジュールが普及すれば、排熱利用はより身近なものになるかもしれませんよね

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熱電変換モジュールが搭載されていて、お湯を入れると発電してモーターが回転するおもちゃもあるぞ。

熱電対

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熱電対は、ゼーベック効果を利用した温度計です。耐久性に優れることから、実験用として広く普及しています。ゼーベック効果によれば、異種の金属もしくは半導体を接続した回路に温度差をつけると、電位差(電圧)が生じますよね。この性質から、電位差(電圧)を測定することで、間接的に温度を測定することができるのです。

ただ、熱電対はあくまでも温度差を測定する装置ですから、基準となる温度を用意する必要がありますよね。この基準となる温度として、0℃がよく選ばれます。氷水を用意すれば、簡単に0℃の環境を用意できるからです。他に、水の沸点(100℃)を利用する方法もあります。

また、熱電対は温度差の情報を、電位差(電圧)という電気的な情報に簡単に変換できることから、デジタルの温度計にも、技術が応用されていますね。

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熱電対という用語は覚えておけよ。

ゼーベック効果と逆の効果もある?

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ゼーベック効果は、温度差から電気エネルギーが生じる現象でした。では、電気エネルギーから温度差が生じる反応はあるのでしょうか?実はあります。そのような現象をペルチェ効果と言いますよ。ペルチェ効果は、異なる種類の金属もしくは半導体を端点で接続した回路に、電流を流すと温度差が生じるという現象です。温度差が生じるというのは、片側が熱くなって、もう片側が冷たくなるということですね

つまり、熱電変換モジュールは発電だけでなく、加熱や冷却にも使用することができるのです。このことから、熱電変換モジュールはペルチェ素子と呼ばれることもあります。実際、熱電変換モジュールを利用した小型の冷蔵庫が考案されていますよ。そして、ペルチェ素子は加熱をすることもできるので、ペルチェ素子搭載の冷蔵庫は調理済みの食品を温かく保つ保温庫としても利用可能です。他にも、コンピュータやレーザー発信装置などの機器を冷却するための部品にもペルチェ素子を利用されています。

電気エネルギーを利用して冷却をする方法として、熱機関の1つである冷凍サイクルを使用する方法もありますよね。冷房機器は、多くがこの冷凍サイクルを利用していますよ。ですが、冷凍サイクルも、他の熱機関と同様に可動部分をもちます。そのため、小型化が困難であり、故障のリスクが高くなっているのです。このような事情から、ペルチェ素子は、小型の冷却装置としての普及が期待されていますよ

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熱電変換モジュール(ペルチェ素子)は、熱エネルギーと電気エネルギーを相互変換できるぞ。

\次のページで「熱電変換モジュールへの期待」を解説!/

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