今回は「ゼーベック効果」について解説していきます。

「ゼーベック効果」は、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される物理現象の一つで、様々な技術に応用されているぞ。これらの技術によって、省エネルギー化に不可欠な排熱利用を、従来よりも簡単に行うことができるようになるはずです。ぜひこの記事を読んで、「ゼーベック効果」についての理解を深めてくれ。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

ゼーベック効果とは?

ゼーベック効果とは?

image by Study-Z編集部

ゼーベック効果は、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される現象の1つです。異なる種類の金属もしくは半導体を利用して、エネルギー変換が行われますよ。

図のように、2つの異なる種類の金属または半導体が輪になるように端点を接続し、両接点に温度差をつけます。このとき、金属または半導体には、わずかですが電流が流れるのです。この回路に抵抗負荷を接続した場合、電気エネルギーによって抵抗負荷を動作させることができます。

また、ゼーベック効果によって生じる電気エネルギーの大きさは、使用する金属または半導体の組み合わせや接点の温度差の大小によって、決定されますよ

ゼーベック効果が起こる理由とメカニズム

ここでは、なぜゼーベック効果が起きるのかを考えてみましょう。

ゼーベック効果が起こる理由

ゼーベック効果が起こる理由

image by Study-Z編集部

金属には自由電子、半導体には正孔(ホール)などの電流の担い手となるものが含まれています。これらは、金属や半導体の中を動き回っているのです

自由電子や正孔(ホール)は、温度が高くなればなるほど、運動エネルギーが大きくなります。ですから、金属や半導体に温度差をつけると、自由電子や正孔(ホール)の動きが活発な部分と活発ではない部分ができるのです。つまり、高温部分では自由電子や正孔(ホール)は拡散や強い振動を起こします。このことは、温度差によって、自由電子や正孔(ホール)の密度差があらわれると言い換えることができますね。

\次のページで「ゼーベック効果が起こるメカニズム」を解説!/

ゼーベック効果が起こるメカニズム

自由電子や正孔(ホール)の密度差は、金属内部や半導体内部の電荷のバランスを崩すことになります。電荷のバランスが崩れると、金属や半導体に電位差(電圧)が生じるのです。電位差(電圧)の大きさは、金属や半導体の種類に依存します。

ですから、異なる2種類の金属や半導体に生じる電位差(電圧)は異なることがわかりますね。当然ながら、異なる電位差をもつもの同士をつないで回路をつくると、電流が流れます。これが、ゼーベック効果のメカニズムなのです。

ゼーベック効果を利用したもの

ここからは、ゼーベック効果の利用例を2つご紹介します。

1.熱電変換モジュール

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2つの異なる種類の金属または半導体が輪になるように端点を接続した回路に、ゼーベック効果によって出力される電力はごくわずかです。そのため、実用的な発電装置として使用するには工夫が必要ですよね。そこで、この回路を何個も直列に接続することによって、大きな起電力を得られるようにしました。これが熱電変換モジュールです。

熱エネルギーを利用して発電するという点では、火力発電のような熱機関による発電機と同じですね。ですが、熱機関と違い、熱電変換モジュールには回転する部分がありません。そのため、熱電変換モジュールは、メンテナンスが簡単で、騒音が発生しないというメリットがあります。その他にも、小型軽量化が容易といった利点もありますよ。

このようなことから、自動車からの排熱と外気の温度差を利用した発電などに適しており、省エネルギー技術の1つとして注目されています。また、お風呂の残り湯と気温の差を利用した発電体温と気温の差によって発電した電気を使用する腕時計といったものまで考案されていますよ。

現時点では、大きな工場やゴミ焼却場などの特定の場所以外で、排熱利用は積極的に行われていません。ですが、熱電変換モジュールが普及すれば、排熱利用はより身近なものになるかもしれませんね

\次のページで「2.熱電対」を解説!/

2.熱電対

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熱電対は、ゼーベック効果を利用した温度計です。耐久性に優れることから、実験用として広く普及しています。ゼーベック効果によれば、異種の金属もしくは半導体を接続した回路に温度差をつけると、電位差(電圧)が生じますよね。この性質から、電位差(電圧)を測定することで、間接的に温度を測定することができるのです。

ただ、熱電対はあくまでも温度差を測定する装置ですから、基準となる温度を用意する必要がありますよね。この基準となる温度として、0℃がよく選ばれます。氷水を用意すれば、簡単に0℃の環境を用意できるからです。他に、水の沸点(100℃)を利用する方法もあります。

また、熱電対は温度差の情報を、電位差(電圧)という電気的な情報に簡単に変換できることから、デジタルの温度計にも技術が応用されていますね。

ゼーベック効果と逆の効果もある?

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ゼーベック効果は、温度差から電気エネルギーが生じる現象でした。では、電気エネルギーから温度差が生じる反応はあるのでしょうか?

ペルチェ効果とは

実はそういった現象はあります。そのような現象をペルチェ効果と言いますよ。ペルチェ効果は、異なる種類の金属もしくは半導体を端点で接続した回路に、電流を流すと温度差が生じるという現象です。温度差が生じるというのは、片側が熱くなって、もう片側が冷たくなるということですね

つまり、熱電変換モジュールは発電だけでなく、加熱や冷却にも使用することができるのです。このことから、熱電変換モジュールはペルチェ素子と呼ばれることもあります。

ペルチェ素子を利用したもの

実際、熱電変換モジュールを利用した小型の冷蔵庫が考案されていますよ。そして、ペルチェ素子は加熱をすることもできるので、ペルチェ素子搭載の冷蔵庫は調理済みの食品を温かく保つ保温庫としても利用可能です。他にも、コンピュータやレーザー発信装置などの機器を冷却するための部品にもペルチェ素子を利用されています。

電気エネルギーを利用して冷却をする方法として、熱機関の1つである冷凍サイクルを使用する方法もありますよね。冷房機器は、多くがこの冷凍サイクルを利用していますよ。ですが、冷凍サイクルも、他の熱機関と同様に可動部分をもちます。そのため、小型化が困難であり、故障のリスクが高くなっているのです。このような事情から、ペルチェ素子は、小型の冷却装置としての普及が期待されていますよ

\次のページで「熱電変換モジュールへの期待」を解説!/

熱電変換モジュールへの期待

熱電変換モジュールは1台で、発電、冷却、加熱の3つの役割を果たすことができます。さらには、騒音を出さない、小型化が可能といったメリットもありますよね。このようなことから、様々な分野に応用されることが期待されています。現在は、熱電変換モジュールをより手軽に使用できるようにするために、コストダウンを目指した研究開発が行われていますよ。

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物理物理学・力学理科

簡単でわかりやすい!「ゼーベック効果」とは?原理や利用例も理系学生ライターが詳しく解説!

今回は「ゼーベック効果」について解説していきます。

「ゼーベック効果」は、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される物理現象の一つで、様々な技術に応用されているぞ。これらの技術によって、省エネルギー化に不可欠な排熱利用を、従来よりも簡単に行うことができるようになるはずです。ぜひこの記事を読んで、「ゼーベック効果」についての理解を深めてくれ。

エネルギー工学、環境工学を専攻している理系学生ライターの通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。中学時代に、DIYで太陽光発電装置を製作するために、独学で電気工事士第二種という資格を取得してしまうほど熱い思いがある。

ゼーベック効果とは?

ゼーベック効果とは?

image by Study-Z編集部

ゼーベック効果は、熱エネルギーが電気エネルギーに変換される現象の1つです。異なる種類の金属もしくは半導体を利用して、エネルギー変換が行われますよ。

図のように、2つの異なる種類の金属または半導体が輪になるように端点を接続し、両接点に温度差をつけます。このとき、金属または半導体には、わずかですが電流が流れるのです。この回路に抵抗負荷を接続した場合、電気エネルギーによって抵抗負荷を動作させることができます。

また、ゼーベック効果によって生じる電気エネルギーの大きさは、使用する金属または半導体の組み合わせや接点の温度差の大小によって、決定されますよ

ゼーベック効果が起こる理由とメカニズム

ここでは、なぜゼーベック効果が起きるのかを考えてみましょう。

ゼーベック効果が起こる理由

ゼーベック効果が起こる理由

image by Study-Z編集部

金属には自由電子、半導体には正孔(ホール)などの電流の担い手となるものが含まれています。これらは、金属や半導体の中を動き回っているのです

自由電子や正孔(ホール)は、温度が高くなればなるほど、運動エネルギーが大きくなります。ですから、金属や半導体に温度差をつけると、自由電子や正孔(ホール)の動きが活発な部分と活発ではない部分ができるのです。つまり、高温部分では自由電子や正孔(ホール)は拡散や強い振動を起こします。このことは、温度差によって、自由電子や正孔(ホール)の密度差があらわれると言い換えることができますね。

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