
権力を行使するのは領土なのか市場なのか?
植民地主義の場合、植民者がその土地に行って直接的に統治します。イギリスの植民地だったインドは長らく「イギリス領インド帝国」という位置づけ。イギリスの君主がインド皇帝を兼任し、インドという国家は存在しますが、実際はイギリスの領土です。
同じくラテンアメリカ諸国を例にすると、アメリカが与える影響力は市場。領土をダイレクトに統治することはありません。アメリカに有利になるような取引をラテンアメリカ諸国と行い市場を拡大。その過程で、税金や法律の制定などで、影響を与えていきます。
「帝国主義」の意味はさまざまに転化

帝国主義は、20世紀に入ってから独自に理論化されます。また、新しく生まれた拡張政策が帝国主義と呼ばれるケースも出てきました。そのため帝国主義の意味はいろいろと転化します。
社会主義の理論では階級闘争と関連づけられる
ロシア革命後、社会主義国家であるソ連が誕生します。ロシアの革命家のウラジーミル・レーニンは、国家の理論的な支柱として『帝国主義論』を執筆。そのなかで、資本主義の最終段階が帝国主義であると定義しました。
レーニンによると、帝国主義国家では、階級の対立がクライマックスに達します。その対立が限界状態になると革命が起こり、社会主義国家が生まれると考えました。レーニンによると、帝国主義は資本主義の最終段階ですが不完全なもの。そこで社会主義が登場するという道筋です。
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第二次世界大戦期の日本の軍国主義を意味することも
また、第二次世界大戦期の日本が展開したアジア圏の領土拡大を帝国主義と言うこともあります。実際、このときの日本は大日本帝国。アジアに帝国を作ろうとしていたことは確かでしょう。
武力による領土拡張であるため、狭義の帝国主義とは異なります。実際は、侵攻した国は植民地として位置づけられていたため、植民地主義に近いと言えますね。
アメリカの帝国主義1 カリブ海政策
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ここでは、帝国主義の意味を考えるために、20世紀初頭のアメリカの政策を取り上げてみます。アメリカの帝国主義の中心となるのがカリブ海政策。影響力を拡大するための拠点となりました。
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