この記事では「隠忍自重」について解説する。

端的に言えば隠忍自重の意味は「じっとこらえて、軽々しい行動を慎むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

10数年間、中高生に学習指導をしているライターヤマトススムを呼んです。一緒に「隠忍自重」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマトススム

10数年の学習指導の経験があり、とくに英語と国語を得意とする。これまで生徒たちを難関高校や難関大学に導いてきた。

「隠忍自重」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「隠忍自重」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「いんにんじちょう」です。意味や語源を知っておくと、理解が深まり場面に応じて使い分けられるようになりますよ。

「隠忍自重」の意味は?

「隠忍自重」には、次のような意味があります。基本的な意味だけでなく、細かいところまでチェックしていきましょう。

1.怒りや苦しみなどをじっとこらえて、軽々しい行いをしないこと。また、そうするべきであるとする戒めの語。

出典:新明解四字熟語辞典(三省堂)

簡単に言うと「じっとこらえて軽々しい行いをしないこと」ですが、「じっと」というところがポイントです。「こらえる」ことだけではなく、表に出さないようにするということでもありますよ。

そのため、「軽々しい行いをしないこと」という意味になっていますが、「動揺しない」ようにすれば行動を慎むことにつながるというニュアンスが含まれています。多少の出来事があっても心を乱されているようではいけないという戒めでもありますね。

「隠忍自重」の語源は?

次に「隠忍自重」の語源を確認しておきましょう。漢字とその意味から由来を詳細に見ていきましょう。

「隠忍」は、つらさなどを表面に出さずにじっと耐え忍ぶことで、本当の気持ちを秘めてこらえるということでもあります。「自重」は自らを重んじるという意味から、言葉を慎み軽はずみな行動をしないということのほか、品性を保ち卑下しないことや自分の健康に注意することという意味も含む表現です。

そんなことから、「隠忍」であることが結果的には自分を大切にすることになるととらえることもできますね。

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「隠忍自重」の使い方・例文

「隠忍自重」の使い方を例文を使って見ていきましょう。意味合いの確認と同時に、文法的に二種類の使い方を見ていくので違いもチェックしていきますよ。

1.健太は困難な状況だが、あとで後悔しないためにも我慢を重ねて隠忍自重の日々を送るべきだ。
2.隠忍自重することで、軽率な行動を控え慎重さを身につける機会になる。

例文の1.では「隠忍自重」を推奨する内容になっており、2.では「隠忍自重する」ことで身につく能力について説明をしています。いずれも、「隠忍自重」をよい意味でとらえており、自分のために身につけるべきものとされていますね。

使い方としては、1.は名詞として使われています。一方、2.は「する」を付け加えて動詞化した表現となっており、比較的よく使われる表現方法です。

「隠忍自重」の類義語は?違いは?

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それでは、「隠忍自重」の類義語についての説明です。意味合いはよく似ていますが、表現する漢字やニュアンスの違いはあるので、詳しく見ていきましょう。

「臥薪嘗胆」

「隠忍自重」の類義語には、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」があります。意味は、「目的を達成するために苦労を耐え忍ぶこと」です。「臥薪」は固い薪の上で寝ること、「嘗胆」は苦い肝をなめることを表しており、労苦を重ねて機が熟すのを待つというニュアンスがあります。

基本的には「臥薪嘗胆の…」など名詞として使用しますが、「臥薪嘗胆する」など動詞化して使うこともできますよ。

\次のページで「「堅忍不抜」」を解説!/

「堅忍不抜」

類義語には、もう一つ「堅忍不抜(けんにんふばつ)」があります。何事にも動じないで我慢強く耐え忍ぶことという意味です。「堅忍」は意志がきわめて強く耐え忍ぶこと、「不抜」は抜くことができないという意味から意思が強く動じないことと意味があります。

なお、「堅忍不抜」は「堅忍不抜の…」「堅忍不抜だ」という使い方が多く、「堅忍不抜する」という動詞化した言い方はしません。

「隠忍自重」の対義語は?

次は、「隠忍自重」の対義語についての説明です。対義語の場合は、対になる意味合いを正確につかむと理解しやすくなりますよ。

「軽挙妄動」

「隠忍自重」の対義語には、「軽挙妄動(けいきょもうどう)」があります。これは、深く考えることなく軽はずみに行動することという意味です。「軽挙」は前後のことを深く考えずに行動すること、「妄動」は分別なくみだりに行動することを表しています。

「軽挙妄動の振る舞いを…」や「軽挙妄動をつつしんで…」など、名詞としてのみ使うのが一般的になっていますよ。

「軽率短慮」

もう一つの対義語には、「軽率短慮(けいそつたんりょ)」があります。意味は、よく考えないで軽はずみに物事を決めたり行動したりすることです。「軽率」は物事の善悪や成否を考えずに決断したり行動したりすること、「短慮」はせっかちで慎重さや思慮に欠けることを表しています。

逆に並べて「短慮軽率」という言い方をすることもありますよ。また、意味合いから戒めの言葉であったり、マイナスのイメージをもつ四字熟語です。

「隠忍自重」の英訳は?

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最後に、「隠忍自重」の英訳について見ていきます。言語の違いから、言葉のイメージをピッタリ結びつけるのは難しいですが、ほぼ同じ意味の言葉がありますよ。

「patience and prudence」

「隠忍自重」の英訳には、「patience and prudence」があり、直訳すると「我慢強さと慎重さ」という意味です。「patience」は形容詞「patient(我慢強い)」の名詞であり、「prudence」は形容詞の「prudent(慎重な)」の名詞にあたります。

ほかには、「putting up with …」とすれば「…に我慢すること」という意味として使うことができますよ。しかし、ただ我慢するだけではなく慎重さが必要であるニュアンスを含めるならば、「patience and prudence」のほうが近い意味です。

\次のページで「「隠忍自重」を使いこなそう」を解説!/

「隠忍自重」を使いこなそう

今回の記事では「隠忍自重」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「隠忍自重」は戒めの意味もあるため、やや上から目線の表現にも思えますが、「自重」の部分には自分を重んじるという意味が含まれています。もとの意味からすると自分を大切にする言葉であることを知っておくといいですね。ただし、目上の人に使うのは避けたほうがいいですね。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「隠忍自重」の意味や使い方は?例文や類語などを現役塾講師がわかりやすく解説!

「隠忍自重」の使い方・例文

「隠忍自重」の使い方を例文を使って見ていきましょう。意味合いの確認と同時に、文法的に二種類の使い方を見ていくので違いもチェックしていきますよ。

1.健太は困難な状況だが、あとで後悔しないためにも我慢を重ねて隠忍自重の日々を送るべきだ。
2.隠忍自重することで、軽率な行動を控え慎重さを身につける機会になる。

例文の1.では「隠忍自重」を推奨する内容になっており、2.では「隠忍自重する」ことで身につく能力について説明をしています。いずれも、「隠忍自重」をよい意味でとらえており、自分のために身につけるべきものとされていますね。

使い方としては、1.は名詞として使われています。一方、2.は「する」を付け加えて動詞化した表現となっており、比較的よく使われる表現方法です。

「隠忍自重」の類義語は?違いは?

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それでは、「隠忍自重」の類義語についての説明です。意味合いはよく似ていますが、表現する漢字やニュアンスの違いはあるので、詳しく見ていきましょう。

「臥薪嘗胆」

「隠忍自重」の類義語には、「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」があります。意味は、「目的を達成するために苦労を耐え忍ぶこと」です。「臥薪」は固い薪の上で寝ること、「嘗胆」は苦い肝をなめることを表しており、労苦を重ねて機が熟すのを待つというニュアンスがあります。

基本的には「臥薪嘗胆の…」など名詞として使用しますが、「臥薪嘗胆する」など動詞化して使うこともできますよ。

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