
今回はそんな使い方に注意が必要な「氷山の一角」について、大学院卒の日本語教師の筆者が解説していきます。

ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。
「氷山の一角」の意味・語源は?

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「氷山の一角」…一度はどこかで聞いたことがある表現だと思います。まずはそのような「氷山の一角」の意味や語源を、国語辞典を参照しつつ確認していきましょう。
「見えているのは悪い事柄のほんの一部」という意味
「氷山の一角」は、国語辞典では次のような意味が掲載されています。
表面に現れている事柄は好ましくない物事の全体のほんの一部分であることのたとえ。「今回摘発された事件は―にすぎない」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「氷山(ひょうざん)の一角(いっかく)」
「氷山の一角」は、辞典の記述にあるように、「表面に見えているのは悪い事柄のほんの一部」という意味の慣用句です。たとえば会社である不正が発覚した場合、最初に発覚した1つの不正以外にも、次々と不正が見つかりニュースになることがありますよね。悪い事柄は、表面に見えているものだけでない場合が多いのです。
そもそも“氷山”ってどんな山?語源を見てみよう
では、そもそも”氷山”とは何なのでしょうか。氷山は海上にある大きな氷の塊で、氷河の一部や大陸にくっついた氷の一部がはがれてできたものです。遠くから見ると氷の山のように見えるので”氷山”と言われています。
その氷山ですが、海面上に見えているのは実は氷の塊全体の7分の1から8分の1なのです。つまり、本当にごく一部分しか海上や地上からは見えていないんですね。この氷山の特徴から、物事のごく一部のみが外に現れていることのたとえとして、「氷山の一角」という言葉が使われるようになりました。
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