
1.まぎれて、進むべき道や方向がわからなくなる。「山中で道に―・う」
2.どうしたらよいか決断がつかない。「進学か就職かで―・う」「判断に―・う」
3.心が乱れてよくない方向へ行く。欲望・誘惑に負ける。「色香に―・う」
4.死者の霊が成仏できないでいる。「―・わず成仏して下さい」
5.区別がつかなくなる。まぎれる。
6.秩序なくあちこちへ行ったり来たりする。
7.布の織糸が弱り、糸が乱れかたよる。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「迷う」
改めてみると多くの意味があることがわかりますが、ここではアンダーラインの引かれた箇所に注目しましょう。一口に「迷う」といっても、様々なイメージが浮かんでくるのではないでしょうか。
つまり「路頭に迷う」とは単に道に迷っているのではなく、心(精神)までもが動揺した不安定な状態で「路頭に」いるということです。さらには寝泊まりする場所もなく、道端をさまよい歩く様子が想像できます。これらの要素から「路頭に迷う」は「生活手段を失って途方に暮れる」状態を表す慣用句となりました。
「路頭に迷う」の使い方・例文
「路頭に迷う」の使い方を例文を使って確認していきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.彼は中小企業を経営していたが、資金繰りに失敗して一家を路頭に迷わせることとなった。
2.路頭に迷うのも覚悟の上で夢を追いかけると決めた。
3.働きづめだった父が入院したが、母が生計を立て直したおかげで家族が路頭に迷うことはなかった。
4.会社を独立して新事業を立ち上げた同僚には妻子がおり、周囲からは「一家で路頭に迷うのでは」と心配されていたが、どうやら上手くやっているようだ。
例文1にもあるように「路頭に迷う」を「路頭に迷わせる」と言う場合があります。自分以外の他者(従業員や家族など)にも影響を与える際に使われ、「〜させる」という使役の文法に沿った形です。
また実際に使う際には、ただ悩んでいるのではなく、さらに深刻なレベルでの困窮を意味する慣用句なので配慮が必要でしょう。
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