端的に言えば物議を醸すの意味は「議論を引き起こす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
営業マネージャーとして勤務し、カナダでの留学を経てライターとして活動中のナガタナミキを呼んです。一緒に「物議を醸す」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/ナガタ ナミキ
外資企業の営業マネージャーとして勤務し、相手に伝わる会話表現やコーチングスキルについて学ぶ。カナダでの留学を経て、言葉の持つニュアンスや響きを大切にするライターとして現在活動中。
「物議を醸す」の意味は?
「物議を醸す」には、次のような意味があります。
世間の論議を引き起こす。「大臣の発言が―・す」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「物議を醸す」
「物議を醸す」は社会・世の中の論議を引き落とすことを表す慣用句です。
「論議」とは問題について意見をたたかわせること、述べ合うこと。「議論」と非常に似ているのですが、「論議」には互いが意見を述べ、その問題・物事の理非(正しいかどうか)を明らかにするために論じ合うという意味合いがあります。(「論議を醸す」は誤用ですので注意しましょう。)
たとえば会社に新しい社長が就任し、これまでの働き方やルールなどが大幅に変更されたとしましょう。売上の為に人員整理が行われたり、社員の評価基準も見直されるかもしれません。変化が必ずしも悪ではありませんが、極端な発言や大幅な改革は社会(世間)に多かれ少なかれ戸惑いを生むものです。「これで良いのか、前のやり方が良かったのではないか」などの反対意見もあがるでしょう。このように人々の心に論議の種がまかれることを「物議を醸す」といいます。
一般的に「物議を醸す」は個人に対してというよりも、集団(会社や学校単位のグループから社会全体まで)に向けて使われる言葉です。社会問題や大きな事件などは人々の不安や批判、疑問をあぶり出します。あるいはSNSなどで人気のインフルエンサーが発した一言がきっかけとなることもあるでしょう。
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