
3-2 勝者イングランド
かつてはジョージ・ゴアの作とされていた。 – http://www.luminarium.org/renlit/elizarmada.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる
こうして嵐に遭ったことで敗北したスペインの無敵艦隊。実際にはスペインに勝ったわけではなかったのですが、宣伝上手なエリザベス1世は大きくスペインに対して勝利したことをPRすることに。
この絵画は、ジョージ・ガウアーによる「エリザベス1世」。画面の中のエリザベス女王は、顔を白く塗り、服は過剰な真珠やリボン、ラフと呼ばれたかなり大きめのひだ襟が目立ちますね。真珠は処女を表し、豪華な服は権威の象徴でもありました。余談ですが、彼女はとてもおしゃれ好きで、ドレスのコレクションが数千枚もあったそう。女王の背後にある2枚の絵画はアルマダ海戦の様子が描かれています。つまりこの絵画は大国スペインに小国であったイングランドが勝利したことを表しているんですね。
3-3 没落していくスペイン
一方のスペインはどうなったのでしょうか。アルマダの敗北によって、これまで黄金時代を迎えていたスペインは没落していくことに。かつて栄華を誇ったスペインでしたが、実際には多くの宮廷費と戦費を賄うことができず、フェリペは4度も破産宣告をしたことでも知られています。ちなみに没落のスピードは意外にもゆっくりと進み、彼の孫のフェリペ4世の代でした(彼は無能王という不名誉なあだ名がつけられることに)。その後フェリペの晩年は祈りと日々支配している地方から送られてくる書類仕事に明け暮れたそう。彼は「王ではなく、一介の騎士に生まれつきたかった」と言ったそう。父カール5世と共に日の沈まぬ大国を築いたフェリペでしたが、多くの領土を他国や他宗教から守るため奔走し続けた王はあまり幸せを感じられないようですね。
大国の仲間入りを果たしたイングランド
幾多の困難に見舞われたエリザベス1世でしたが、25歳の時にイングランド女王となりました。当時のイングランドは小国扱いされ、世界の覇権を担っていたのはフランスとスペイン。そんなスペインのフェリペ2世からは求婚されることに。彼女は自身の結婚というカード、異母姉メアリによってカトリック化されたイングランドを再びプロテスタント化することに。更に海賊ドレークらにスペイン船を襲わせ、イングランドの王位継承権を持つメアリ・ステュアートを処刑するなどしました。
そんな中起こったアルマダの海戦。スペインの保有する無敵艦隊アルマダとエリザベスは対決することに。この戦いによってイングランドは勝利を収め、以降大国の仲間入りを果たすことに。一方の敗れたスペインはゆっくりと没落していきました。