それじゃあ当時のスペイン、イングランドに詳しい歴女のまぁこと一緒に解説していくからな。
ライター/まぁこ
ヨーロッパ史の歴史に詳しいアラサー歴女。特にヨーロッパ王室に関する書籍を愛読中。今回は無敵艦隊を保有したスペイン王、フェリペ2世やイングランド女王エリザベス1世が生きた当時の情勢を踏まえながら解説していく。
1 無敵艦隊とは?
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無敵艦隊とは、16世紀に最盛期を迎えたスペインが保有していた艦隊のこと。スペインは大航海時代に培った海上技術、造船技術を用いて強大な海軍を持っていました。そして当時のオスマン帝国が海賊行為を働いていたため、これを撃退するためフェリペ2世の時に彼とローマ教皇、ヴェネツィアの海軍の連合軍で戦いを挑むことに。これはレパントの海戦と呼ばれ、この戦いに勝利したスペインは新大陸からの富によって海軍を増強し、無敵艦隊と恐れられるように。
1-1 太陽の沈まぬ国、スペイン
アルマダの海戦について見ていく前に、当時のスペインとイングランド(次の章にて)について触れておきます。
当時のスペインはフェリペ2世が統治。彼は父カール5世(スペイン王としてはカルロス1世)からスペインを継承することに。父から継承した領土は、スペイン、ナポリ、ネーデルラント、更にアメリカ大陸やフィリピンなど。フェリペはカトリックの盟主としても知られ、フランス国内の宗教戦争にも関与。他にも異教徒らに対する激しい弾圧を加えました。また母がポルトガル王女だったことから、ポルトガルの王位継承権を主張し、ポルトガルを併合することに。ポルトガルを併合したことで、更に支配エリアは拡大し、スペインは太陽の沈まぬ国となることに。
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1-2 メアリと政略結婚したフェリペ
Workshop of ティツィアーノ・ヴェチェッリオ – http://www.museodelprado.es/imagen/alta_resolucion/P00452.jpg, パブリック・ドメイン, リンクによる
さて、フェリペ2世といえば4人の人物と結婚したことでも知られていますね。16歳の時にポルトガルの王女と結婚。しかし幸せな結婚生活はわずか2年で終わり、彼女は産褥熱によって命を落とすことに。残されたのは、不出来な息子1人のみでした。
こうして次の再婚相手になったのが、イングランド女王のメアリ1世。これはカールから命じられたものだったそう。この時フェリペ27歳、花嫁は彼よりも11歳上でした。当時はカトリックとプロテスタントの宗教対立が深刻となることに。特にイングランドはメアリの父ヘンリー8世がカトリック国からプロテスタント国となったため、再びカトリック化する目的の結婚でした。
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1-3 メアリとの結婚生活は?
こうして政略結婚することになったフェリペ2世。2人が結婚するのにあたり、このような契約がされることに。メアリはイングランドから出る必要はなく、生まれてくる子どもはイングランド王位を継承すること。更にフェリペの息子、カルロスが仮に亡くなれば、メアリとの子にスペインも継承させるというものでした。
ちなみにメアリはフェリペの祖母、フアナの妹のキャサリンとヘンリー8世の間に生まれた子だったため、2人は遠縁に当たります。フェリペは世継ぎを作るべく、イングランドへ向かうことに。メアリは一度庶子となり、その後も暗殺される危険にさらされていたため、女王に即位した際には実年齢よりも老けて髪も歯も抜けていたそう。フェリペがイングランドへ着いてから半年後にメアリは懐妊することに。ところがこれが想像妊娠で更に卵巣腫瘍が見つかることに。その後フェリペは40歳近くになったメアリに世継ぎを産むのは無理と判断し、裏では次期女王候補のエリザベスに求婚していたそう。
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