この記事では「暗中模索(あんちゅうもさく)」について解説する。

端的に言えば「暗中模索」の意味は「手探りで進むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「暗中模索」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「暗中模索」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「暗中模索」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「暗中模索」の意味は?

「暗中模索」には、次のような意味があります。

1.暗闇(くらやみ)の中で、手探りして探すこと。
2.手がかりがないまま、いろいろやってみること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「暗中模索」

もっと詳しく、「暗中模索」を「暗中」と「模索」の二つに分けて考えてみましょう。最初の「暗中」は、暗がりの中という文字通りの意味を表しています。

一方、「模索」の意味は手探りで探すことです。したがって、これら二つの意味を合わせると、暗がりの中を手探りで探すという意味になりますね。

さらに、この暗がりを手がかりがなく何の見通しも立たない状況に置き換えてみるとどうなるでしょうか。すると、

「暗中模索」の由来や出典は?

次に「暗中模索」の由来や出典を確認しておきましょう。「暗中模索」は、唐代に著された「隋唐嘉話(ずいとうかわ)」という書物がその出典であるとされます。

この書物の中で登場するのが、唐代の優れた政治家とされる許敬宗(きょけいそう)なる人物です。この政治家は、自分が優秀であることを鼻にかけ、なかなか人の名前を覚えようとしませんでした。

ある人がこれを諫めようとして「歴史上の有名人に会ったら、暗闇の中を手探りしてでも名前を覚えておこうとするだろう」と言ったのが由来だとされています。

\次のページで「「暗中模索」の使い方・例文」を解説!/

「暗中模索」の使い方・例文

「暗中模索」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

超大型台風の影響による停電の中、私は暗中模索しながらまずは食器棚の近くに置いてあったはずの懐中電灯の方へとゆっくり歩きだした。

我々は常に教育ICTという最先端の分野で常に暗中模索を強いられてきたが、これは業界のパイオニアとしてのまさに宿命ともいえるだろう。

たしかに、暗中模索をしながらときには失敗することもあったが、このかけがえのない経験が後の商品開発にもきっと役に立つだろう。

上に記した三つの例文のうち、初めのものだけは文字通り「暗い中で手探りをしながら進む」というこの四字熟語本来の意味合いで用いられています。つまり、後の二つはそこから派生した「手がかりがなく見通しが立たない」という意味で使われているというわけです。

このように、「暗中模索」という熟語に出会ったときは、どちらの意味で用いられているのかをきちんと把握しておくことが大事だといえます。さもなければ、相手の言っていることがよく分からないという事態を招きかねません。

#2 「暗中模索」の類義語は?違いは?

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ところで、「暗中模索」の類義語はどのようにとらえればいいのでしょうか。これには、主に二つの考え方があります。

一つめは、周囲の様子や見通しがまるで分らないという意味合いを持ったものです。そして、もう一つは、そのような状況下において手探りで進んでいくという意味を持つものが考えられます。

「五里霧中」

「五里霧中(ごりむちゅう)」は、「暗中模索」の類義語の中でもっとも有名なもののひとつです。この熟語は、周囲を霧で包まれているかのごとく状況が把握できずに困っているという意味を持ちます。

後漢時代の中国に存在したという道士が「五里霧」という術を使って五里四方を霧で覆ったというのが由来とされますが、そのような術が存在したかどうかは定かではありません。

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「試行錯誤」

「試行錯誤(しこうさくご)」もまた、「暗中模索」の類義語といって差し支えありません。この四字熟語の意味は、試みと失敗を繰り返しながら問題の解決に近づいていくことです。

「暗中模索」とちがって周囲の様子が分からないかどうかは明言できませんが、多くの場合は新しいことに取りくむ際に用いられます。

いつになったら騒動が終息するのか分からない五里霧中の状況ではあるが、それでも生きていくために知恵を出し合って切り抜けねばならない。

とにかく参考資料と呼べるものがほとんどない中で試行錯誤を繰り返しながら、我々はようやくその古代文字の解読することに成功した。

#3 「暗中模索」の対義語は?

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では、「暗中模索」の対義語にはどのようなものが考えられるのでしょうか。

「前途洋々」

「前途洋々(ぜんとようよう)」は、「暗中模索」の対義語の中でも代表的なもののひとつでしょう。この熟語が表すのは、これからの道のりが開けていて希望にあふれている様子という意味です。

「前途」は、これから先の道のりや未来といった意味合いを持っています。一方の「洋々」が表すのは、希望に満ちあふれた様子です。

どちらかといえば暗いイメージを持つ「暗中模索」に対して、「前途洋々」には明るさしか感じません。まさに「暗中模索」とは好対照の熟語だといえるでしょう。

「一目瞭然」

「一目瞭然(いちもくりょうぜん)」もまた、「暗中模索」の対義語だといえるものです。この熟語は、一目見ただけではっきりと分かることを意味します。

「瞭然」の「瞭」ですが、「あきらか」とも読み、明白な様子やはっきりとしているさまを表す漢字です。では、これらの対義語も用法を例文で確認しておきましょう。

一流大学を出て海外に留学し経営学修士の学位も取った彼の将来は、まさに前途洋々だといえるだろう。

この国家の非常事態ともいえる時期に、我々が一国民として取るべき行動はどちらなのかは一目瞭然だ。

\次のページで「「暗中模索」の英訳は?」を解説!/

#4 「暗中模索」の英訳は?

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最後に「暗中模索」の英語訳についても見ていきます。果たして、英語ではどのように表現するのでしょうか。

「grope one's way」

「暗中模索」は、英語で「grope one's way」を用いて表現することができます。この表現に出てくる「grope」は、手探りするという意味の一般動詞です。

「暗中」という意味を強調した場合は、さらに「in the dark」を付けて使うのもよいでしょう。

「be (all) at sea」

「be (all) at sea」もまた、「暗中模索」の英訳となりうるものです。この熟語は、何の頼るべきデータがないまま困惑している様子を表しています。

そういう意味では、何の手がかりもなく進んでいく「暗中模索」に似ているといえるのではないでしょうか。

「暗中模索」を使いこなそう

この記事では「暗中模索」の意味や使い方、類語などを説明しました。この熟語は、よく分からない中手探りで進むという意味でしたね。

人間も生きていれば、様々なことを経験していきます。中には、どうしたらよいか分からず困惑してしまうこともあるでしょう。

しかしながら、けっして希望だけは失わず、周囲の仲間と協力しながら前を向いて進んでいきたいものです。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「暗中模索」の意味や使い方は?例文や類語も含めて現役文系講師が詳しくわかりやすく解説!

この記事では「暗中模索(あんちゅうもさく)」について解説する。

端的に言えば「暗中模索」の意味は「手探りで進むこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

現役塾講師で文系科目のスペシャリストである「すけろく」を呼んです。一緒に「暗中模索」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/すけろく

現役文系講師として数多くの生徒を指導している。その豊富な経験を生かし、難解な問題を分かりやすく解説していく。

#1 「暗中模索」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「暗中模索」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「暗中模索」の意味は?

「暗中模索」には、次のような意味があります。

1.暗闇(くらやみ)の中で、手探りして探すこと。
2.手がかりがないまま、いろいろやってみること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「暗中模索」

もっと詳しく、「暗中模索」を「暗中」と「模索」の二つに分けて考えてみましょう。最初の「暗中」は、暗がりの中という文字通りの意味を表しています。

一方、「模索」の意味は手探りで探すことです。したがって、これら二つの意味を合わせると、暗がりの中を手探りで探すという意味になりますね。

さらに、この暗がりを手がかりがなく何の見通しも立たない状況に置き換えてみるとどうなるでしょうか。すると、

「暗中模索」の由来や出典は?

次に「暗中模索」の由来や出典を確認しておきましょう。「暗中模索」は、唐代に著された「隋唐嘉話(ずいとうかわ)」という書物がその出典であるとされます。

この書物の中で登場するのが、唐代の優れた政治家とされる許敬宗(きょけいそう)なる人物です。この政治家は、自分が優秀であることを鼻にかけ、なかなか人の名前を覚えようとしませんでした。

ある人がこれを諫めようとして「歴史上の有名人に会ったら、暗闇の中を手探りしてでも名前を覚えておこうとするだろう」と言ったのが由来だとされています。

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