この記事では「開いた口が塞がらない」について解説する。
端的に言えば開いた口が塞がらないの意味は「呆気にとられる様」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
中高生に英語や数学など、指導経験豊富なライター要を呼んです。一緒に「開いた口が塞がらない」の意味や例文、類語などを見ていきます。
ライター/要
塾講師を5年していた経験がある。留学経験があり、学生時代は留学生と英語でコミュニケーションを取っていた。日本語とは違った英語の感覚をわかりやすく伝える。
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「開いた口が塞がらない」という言葉を聞いたことがある方は、多いでしょう。一方で、正しい意味や使い方を知らないという方も少なくありません。
そこでまずは、「開いた口が塞がらない」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「開いた口が塞がらない」と聞くと、どのようなイメージをするでしょうか。”驚いた様子”を思い浮かべる方が少なくありませんが、正しい意味は少し異なります。
「開いた口が塞がらない」には、次のような意味がありますよ。
1.相手の行動・態度に、あきれ返って物が言えない様子。
出典:故事ことわざ辞典「開いた口が塞がらない」
「開いた口が塞がらない」とは、驚くというよりも”呆れる”というイメージです。相手の行動や態度に関して、呆れて何も言えない様子を表しています。
相手の言動が予想を超えるものだったため、”驚き”というニュアンスも含まれているのです。しかし、ただ単に驚くというよりは、呆れて反応が出来なかったというイメージになります。
次に「開いた口が塞がらない」の語源を確認しておきましょう。
「開いた口」というのは、口が開いたままになっている様です。「塞がらない」、つまり開いているものが閉じない状況を示します。一度開いた口が、開いたままになっている状況ですね。
驚きや呆れによって、何も言えなくなる状況から使われるようになった言葉と言われています。ただ、はっきりとした語源はわからないようです。
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ことわざや慣用表現は、意味を知っていても使うのが難しいと感じている方も多いです。実際に「開いた口が塞がらない」の使い方を例文を使って、見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。
1.同じミスを何度もする彼には、開いた口が塞がらないよ。
2.起きると知らない場所にいて、開いた口が塞がらなかった。
3.予想に反して模試の結果が悪く、開いた口が塞がらない。
「開いた口が塞がらない」は、呆れて唖然とする様子や言葉がでない様子を表します。また、予想していたよりも結果や状況が悪く、言葉が見つからないという様子も含まれているのです。
上司や先輩に「開いた口が塞がらない」と言われてた時には、相手に呆れられている可能性があります。自分の言動を見直す必要がありますね。
また、年上の人には「開いた口が塞がらない」という表現は、ほとんど使われません。ある状況を表現する際には使えますが、目上の人や先輩の言動に対して使うことは避けましょう。
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「開いた口が塞がらない」の類義語には、「呆れが例に来る」や「呆れて物が言えない」などがあります。
他にも、ことわざ以外では「絶句する」や「返す言葉がない」、「あっけにとられる」、「呆れてものが言えなくなる」、「ぼかんと立ちすくす」などでも同じ意味や同じ様子を表すことも出来ますよ。
ここでは、「呆れが例に来る」について見ていきましょう。
「呆れが例に来る」とは、ひどく呆れる様子を誇張した表現です。「呆れ」を擬人化している独特な言い回しになります。完全に呆れている様子を指しますよ。また、「呆れ」を擬人化した表現としては、「呆れが宙返りをする」というものもあります。
「開いた口が塞がらない」は、呆れて言葉がでない様子を表していました。一方、「呆れが例に来る」では、呆れる様子のみを表しています。ひどく呆れているため言葉がでない場合も考えられますが、「反応が出来ない」というニュアンスまでは含んでいません。「開いた口が塞がらない」とは、細かいニュアンスの違いがあります。
\次のページで「「開いた口が塞がらない」の英訳は?」を解説!/
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「開いた口が塞がらない」の英訳を考える際には、ひどく驚いた様子や驚きで言葉がでない様子を表現することを考えます。「開いた口が塞がらない」と直訳しても、英語ではそういった表現がないため注意が必要です。
では、具体的に英訳を見ていきましょう。
「speechless」の意味は、「(驚きによって)言葉を失って、絶句して」です。1語で驚きから言葉が出ない様子を表せます。
「開いた口が塞がらない」というようなことわざの表現ではありませんが、似たような様子を表すことが可能です。
具体的には、「I am speechless.(言葉がありません。)」といったように使われます。
他にも、「at a loss for words」で同じような意味を表せますよ。こちらの方が、「speechless」よりもフォーマルな言い回しです。
「be dumbfounded 」とは、「(ものが言えないくらいに)驚いた」という意味の表現です。口語表現でよく用いられます。
具体的には、「We are dumbfounded at the accident.(私たちはその事故に、大変ショックを受けました。)」などです。訳し方としては、「言葉が見つからないくらい驚いた」でも問題ありません。
「jaw dropping」とは、「顎が落ちそうな」という意味です。とても驚いた際に使えます。
具体的には、「Her speech was jaw dropping.(彼女のスピーチは、あごが落ちそうだった。)」などです。直訳すると「あごが落ちそう」ですが、「とても驚いた」といったニュアンスを伝えることができます。
「be too surprised」で、「とても驚いた」という意味になります。また、”驚きで言葉がでない”という状況から、「be too surprised to say a word」という言い回しも可能です。「too ~ to say a word」で、「とても~なので、言葉が言えない(言葉がでない)」という意味になります。
基本的な「too ~ to」の表現なので、ぜひ覚えてみてくださいね。
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この記事では「開いた口が塞がらない」の意味・使い方・類語などを説明しました。
「開いた口が塞がらない」という表現は、驚きだけでなく呆れている様子も表せます。また、予想に反して結果が悪かった場合も用いられる表現です。ぜひ意味や使い方を正しく覚えて、使ってみてくださいね。