この記事では「実力行使」について解説する。

端的に言えば実力行使の意味は「目的を達成するため力で解決しようとする」ことですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「実力行使」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「実力行使」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「実力行使」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「実力行使」の意味は?

「実力行使」には、次のような意味があります。

ある目的を達するために、話し合いによらず、武力や腕力などをもって実際の行動に出ること。特に、労働争議にあたり、ストライキなどを行うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「実力行使」

「実力行使(じつりょくこうし)」は、情報番組や新聞などで使用されることが多い四字熟語ではないでしょうか。本来であれば、両者が納得するまで話し合いをして問題解決するべきですよね。ところが、会社と労働者、さらには国同士の問題に至るまで、なかなか平和的手段だけでは解決しにくいもの。そこで「実力行使」によって相手の意見を尊重せずに、武力や法的手段をもって強制的に問題解決しようと踏み切るわけです。

「行使」の意味は、権利や権力を実際に使うこと。「実力」は、本来備えている力量という意味のほかに、目的を果たすための行動という意味も含まれています。「実力」だけであれば良い言葉として使われやすいですが、「行使」が加わるだけで高圧的な言葉へと変貌。平和な解決を望むなら、あまり使われるべきでない四字熟語といえるでしょう。

「実力行使」の使い方・例文

「実力行使」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「実力行使」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.バス組合が不服な解雇処分だと訴え、全職員が出勤拒否を実施するなどの実力行使にでた。

2.当局を完全に制御するには、実力行使しか手段はないのか。

3.電気代の未払いが続く場合、電力会社は供給停止という実力行使が可能である。

4.違法に公開されたビデオは、著作権が弊社に帰属するので実力行使で提供停止にした。

5.製品を不買運動する実力行使が、一部の地域で発生した。

「実力行使」は、社会を揺るがす大きな行動に対してばかり使う四字熟語とは限りません。たとえば、可愛い飼い犬が遊んで欲しくて近づいてきたとしましょう。飼い主も最初は可愛がっていましたが、疲れたので犬の相手を途中で止めてしまいました。すると、犬は構って欲しくて実力行使。飼い主に体当たりしてきたのです。犬は「飼い主に遊んでもらう」という目的を果たすため「体当たり」という行動にでました。これも立派な「実力行使」です。

当たり前のことではありますが、人同士であれば言葉で意思疎通を図ることができますよね。ところが、大多数の人が関われば関わるほど、話し合うだけでは解決できない課題も増えてきます。また、相手が話し合いに応じてくれるとも限りません。最終手段として「実力行使」にでるのです。

「実力行使」の類義語は?違いは?

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では「実力行使」の類義語や違いをみていきましょう。

「武力行使」

「武力行使」は、「実力行使」に比べてさらに高圧的な意味となります。たとえば、戦争は武力行使を伴う闘争といえますよね。「武力」は、軍隊や兵力のこと。「行使」が加わるわけですから、目的を達するために兵力をもって行動するという意味になります。

日本ではあまり聞くことがなかった「武力行使」ですが、ニュースや政治家の発言からもよく耳にするようになりました。「武力行使」の使用が拡大される場合は、多くの人の命が失われる危険性があることを忘れてはいけません。注意して耳を傾けるべき四字熟語といえるのではないでしょうか。

「強制執行」

「強制執行」も力によって目的を果たしますが、力といっても武力ではなく「法律の力」になります。「強制」の意味は、決定や行動を個人や集団に強いること。「執行」は、実際に行うという意味のほかに、法律や裁判などを実際に行うという意味も含まれています。ニュースでよく聞く言葉ではないでしょうか。2つの言葉で構成された「強制執行」の意味は法律に基づき債務者に対して強制的に請求できるとなるのです。

難しく感じるかもしれませんが、簡単に言ってしまえば裁判に関連した用語だと考えるとよいでしょう。たとえば、払わなければいけない税金を、ずっと未払いにしていたとします。本人に払う意志がなくても、未払い分を回収しなければいけません。そこで、資産を差し押さえるなどの「強制執行」がされるのです。くれぐれも「強制執行」されないように注意したいところですね。

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「実力行使」の対義語は?

では、次に「実力行使」の対義語をみていきましょう。「行使」の対義語といえば「放棄」ですよね。そこで今回は、「放棄」や「協力」といった意味合いで対義語をご紹介したいと思います。

「他力本願」

「実力行使」は、目的を達するために力を使って行動するという意味でしたよね。対して「他力本願」は、問題解決を人任せにしてしまうこと。誰かがやってくれるだろうと考えて、自分は行動を起こさない場合に使う四字熟語です。

やはり、実際に行動に起こすというのは勇気がいりますよね。ストライキをして悪い方向に転ぶかもしれませんし、世間から厳しいバッシングを受けるかもしれません。しかし、他人に任せていたら何も解決しないはず。一人が辛いなら、同志を集めることから始めてみましょう。たまには「他力本願」も良いかもしれませんが、時には勇気をもって行動することをお勧めします。

「一致団結」

本来あるべき問題解決方法は、やはり「一致団結」といえるのではないでしょうか。「一致団結」の意味は、多くの人が目的を達するためにまとまること。まさに「実力行使」の正反対で、平和的な方法といえるでしょう。

「一致」は、二つ以上のことが一つになること。「団結」は、多くの人が目的のために一つにまとまることを意味します。どちらも日常会話でよく使われる言葉ではないでしょうか。どのような場面でも「一致団結」は難しいことかもしれません。しかし、一人で実現できることなど限られていますよね。乗り越えられない壁が多い時こそ「一致団結」して取り組みたいところです。

「実力行使」の英訳は?

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では、「実力行使」を英訳すると、どのような表現になるのでしょうか。

「use of force」

「force」は「」や「暴力」といった意味。「use」は「使う」という意味でよく使われますが、その他にも「行使」という意味も含まれています。繋げることで「実力行使」として使えるでしょう。「force」の前に「military」を付け足せば「武力」という意味にもなりますね。「They opposed the use of force」と言えば、「opposed」は「反対」という意味ですから「彼らは実力行使に反対した」と伝えることができます。

「resorted to force」

「resorted」は、「行楽地」という印象が強いですが、最後の手段として「訴える」という意味もあります。そのため「to force」を付けたすことで「実力行使にでた」という使い方ができますね。「They resorted to force」と言えば「彼らは実力行使にでた」と伝えることができます。

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「実力行使」を使いこなそう

この記事では「実力行使」の意味・使い方・類語などを説明しました。ニュースなどで、見ない日はないぐらい「実力行使」をよく目にします。身近な四字熟語ではありますが、あまりにも多用される状況は健全ではないと言えるのではないでしょうか。動物の可愛らしい行動を「実力行使」と言うならば微笑ましいかもしれません。しかし、人に対して使う場合は、大抵は争う前提で使われる場合が多いです。

話し合いなど、平和的手段で問題解決するには根気がいりますし、「実力行使」にでた方が楽かもしれません。当然のことですが、私達は言葉を使ってコミュニケーションが取れます。相手の気持ちを理解して、共感することもできますよね。きれいごとだと言われるかもしれません、それでも、もしも「実力行使」を使わなければいけなくなった時、ほかに方法はないのか、1度立ち止まって考えてみてはいかがでしょうか。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「実力行使」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

この記事では「実力行使」について解説する。

端的に言えば実力行使の意味は「目的を達成するため力で解決しようとする」ことですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「実力行使」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「実力行使」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「実力行使」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「実力行使」の意味は?

「実力行使」には、次のような意味があります。

ある目的を達するために、話し合いによらず、武力や腕力などをもって実際の行動に出ること。特に、労働争議にあたり、ストライキなどを行うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「実力行使」

「実力行使(じつりょくこうし)」は、情報番組や新聞などで使用されることが多い四字熟語ではないでしょうか。本来であれば、両者が納得するまで話し合いをして問題解決するべきですよね。ところが、会社と労働者、さらには国同士の問題に至るまで、なかなか平和的手段だけでは解決しにくいもの。そこで「実力行使」によって相手の意見を尊重せずに、武力や法的手段をもって強制的に問題解決しようと踏み切るわけです。

「行使」の意味は、権利や権力を実際に使うこと。「実力」は、本来備えている力量という意味のほかに、目的を果たすための行動という意味も含まれています。「実力」だけであれば良い言葉として使われやすいですが、「行使」が加わるだけで高圧的な言葉へと変貌。平和な解決を望むなら、あまり使われるべきでない四字熟語といえるでしょう。

「実力行使」の使い方・例文

「実力行使」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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