この記事では「力戦奮闘」について解説する。

端的に言えば力戦奮闘の意味は「精一杯頑張ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

年間60冊以上本を読み込んでいるヤマゾーを呼んです。一緒に「力戦奮闘」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヤマゾー

ビジネス本を中心に毎年60冊読破。本を通じて心に響く生きた日本語を学ぶ。誰にでも分かりやすい説明で四字熟語を解説していく。

「力戦奮闘」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「力戦奮闘」の意味や語源・使い方をみていきましょう。

「力戦奮闘」の意味は?

「力戦奮闘」には、次のような意味があります。

力のかぎり戦うこと。全力を尽くして努力すること。

出典:大辞林 第三版(三省堂)「力戦奮闘」

「力戦奮闘」は「りきせんふんとう」と読みます。「力戦」は漢字の通り、力いっぱい戦うという意味。「奮闘」は、力をふるって戦うこと、もしくは力いっぱい努力するという意味になります。これら2つの言葉を合わせて「力戦奮闘」とという四字熟語となり、自分の力を最大限に出し切るほど頑張る様子を表現しているといえるでしょう。

「奮闘」だけでも十分頑張った様子が伝わるかもしれません。しかし「力戦奮闘」と言うことで、いかに大変な困難に立ち向かったのか相手に伝えることができます。試合などで、スポーツ選手が全力を出し切る姿をよくみますよね。まさに、その姿こそ力戦奮闘。最近は「力戦」だけでも通じますが、「力戦奮闘」と答えた方がより大変な試練だったと伝えやすいでしょう。座右の銘にしても素敵ですね。

「力戦奮闘」の使い方・例文

「力戦奮闘」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「力戦奮闘」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.チームで力戦奮闘した結果、勝利を掴むことができた。

2.選手の力戦奮闘する姿に勇気をもらえた。

3.力戦奮闘しましたが、取引先と契約できませんでした。

4.結果に繋がるまで力戦奮闘する彼の姿勢は、尊敬に値する。

「力戦奮闘」は、決してスポーツの世界だけで使う言葉とは限りません。夢や目標、仕事などで壁にぶつかる時は誰しもあるでしょう。諦めることは簡単です。しかし、力戦奮闘したことによって、立ちはだかる試練を突破することもできるはず。ビジネスでも十分使える四字熟語といえます。とくに上司に結果を報告する際、「力戦奮闘しましたが」と付け加えるだけで、より頑張った様子を伝えることができるでしょう。

ただし、「力戦奮闘」はあくまで力を全て出し切った場合に使う四字熟語です。あまりにも普段から「力戦奮闘」を連呼していると信用問題にも関わりかねません。あくまで、チームを評価するための褒め言葉として使う。もしくは、ビジネスで使う場合は、これ以上の結果を求められても無理な場合の意思表示として使ってもよいでしょう。

「力戦奮闘」の類義語は?違いは?

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では「力戦奮闘」の類義語や違いをみていきましょう。

「獅子奮迅」

「獅子」は、ライオンといった百獣の王を意味します。「奮迅(ふんじん)」は、激しく奮い立つという意味から、獅子が暴れ回っている様子をイメージすると良いでしょう。漢字の並びだけでは伝わりにくいですが、凄まじい勢いで物事を片付ける、もしくは勇敢に戦う姿を意味しています。必死に物事に取り組む姿勢は「力戦奮闘」と同じといえますね。

ただし、「力戦奮闘」が力を出し切った状態を表しているのに対して「獅子奮迅」は戦う姿を指しています。「獅子奮迅の勢いで働く」など、必死に頑張っている人を現わす際に使う四字熟語といえるでしょう。

「一生懸命」

「一生懸命」は、普段から使っている方も多いのではないでしょうか。漢字の通り、意味は命がけで物事にあたること、もしくは取り組む姿を指します。「力戦奮闘」が全力を尽くす姿勢に対して「一生懸命」は命がけ。後がない、より緊張感のある切羽詰まった時に使う四字熟語といえます。

たとえば、自分の能力以上の結果を求められた場合、相手には「一生懸命頑張ります」としか言えませんよね。「力戦奮闘」は努力の成果を最大限に出し切るイメージ。対して「一生懸命」は、結果に結びつくか分からないけれど、とりあえずできるだけ頑張りたいと伝えたい時に使うとよいでしょう。

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「勇往邁進」

「勇往邁進」は「ゆうおうまいしん」と読みます。あまり有名な四字熟語ではありませんが、今を頑張っているすべての人に当てはまる四字熟語といえるでしょう。意味は、目標に向かってよそ見をせずに勇ましく前進すること。目標に向かって一直線に走り切る姿は「力戦奮闘」と同じだといえるのではないでしょうか。

「勇往」は勇ましく前進すること。「邁進」は恐れず突き進むという意味になります。どちらも大変ポジティブな言葉ですよね。どのような困難が待ち受けようとも、目標を達成するまで諦めないという意思表示として使うとよいでしょう。

「力戦奮闘」の対義語は?

「力戦奮闘」は全力を尽くして努力するという意味ですから、正反対の意味となると「ずっと全力を出すことはない」という意味になってしまいます。さすがに、そのような寂しい四字熟語は存在しません。そこで今回は、「困難から逃げる」もしくは「努力をしようとしない」といった意味合いで対義語をご紹介します。

「一時逃れ」

試練が待ち受けている場合、そのまま困難に立ち向かうか、それとも何かのせいにして逃げるか、2つのパターンが考えられますよね。「一時逃れ」は、その場で適当な言い訳をして責任や困難から逃げようとすることを指します。これは、一時しか効果はありません。あとで苦労することは目に見えている時に使う言葉です。

本来であれば、問題が複雑になる前に、できるだけ早く解決したいですよね。ところが、その場で片付ければ楽なのに、放棄してしまう人を見かけたことがあるのではないでしょうか。どのような言い訳しても、あくまで一時逃れ。本人の首を絞めてしまうだけなので、「一時逃れ」の言い訳は避けたいところです。

「苟且偸安」

馴染みのない漢字ばかりですが「苟且偸安」は「こうしょとうあん」と読みます。試練とは、目標や夢があるからこそ訪れる困難ですよね。しかし、そもそも目標もなく、楽なことばかりしていたら、絶対に試練に出会うことなどありません。「苟且偸安」は将来をろくに考えず、楽なことばかりしていることを意味します。

「苟且(こうしょ)」はその場限りかりそめという意味。「偸安(とうあん)」は、目先の安楽を求めるという意味になります。たまには息抜きも必要でしょう。しかし、楽なことばかり選んでいると、将来、後悔する結末が待っているかもしれません。「苟且偸安」をしてもいいですが、いざという時は「力戦奮闘」することをおすすめします。

「尸位素餐」

「尸位素餐」は「しいそさん」と読みます。意味は、一定の地位にいながら責任を果たさず無駄に給与をもらっていること。もしかしたら、あなたの職場にもいるかもしれませんね。部下の立場からすれば、やはりリーダーとなる者は、責任から逃げずに一緒に困難へと立ち向かって欲しいはずです。ところが、上司が最初から責任を負うつもりもなく、給与だけもらえていればいいと考えていたら、部下はどう思うでしょうか。

「尸位(しい)」は、才能や人徳もないのに良い地位に就いていること。「素餐(そさん)」は、功績や才能もないのに良い給料をもらっているという意味になります。ただし、本人は「力戦奮闘」しているつもりなのに、「尸位素餐」と言われたらショックを受けるはず。「尸位素餐」を使う場合はくれぐれも注意しましょう。

「力戦奮闘」の英訳は?

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では、「力戦奮闘」を英語にすると、どのような表現があるのでしょうか。

\次のページで「「make strenuous efforts」」を解説!/

「make strenuous efforts」

「strenuous」は「奮闘的な」や「熱心な」という意味。「efforts」は「奮闘」や「努力」という意味になります。そこへ「make」が加わることによって「たゆまぬ努力をする」となるのです。「力戦奮闘」に近い英訳といえるのではないでしょうか。

「try as hard as one can」

「as ~ as 〇 can」は「〇ができる限り~」という意味になります。そのため「I'm trying as hard as I can」と表現すれば「私は一生懸命やっている」と伝えることができますね。「~」には、動詞が入るものと考えるとよいでしょう。英語はもともと「頑張る」という表現が難しいです。相手にできる限り頑張った様子を伝えたい場合は、「動詞+hard 」か「best」をつけたすだけでも問題ありません。

「力戦奮闘」を使いこなそう

この記事では「力戦奮闘」の意味・使い方・類語などを説明しました。「一生懸命」が同じ意味で有名であるせいか、「力戦奮闘」を使う方は少ないかもしれません。しかし、実力を試された後に使う言葉としては、大変使いやすい四字熟語といえます。

「一生懸命」は、実際に行う前に意志表示として使う言葉。「力戦奮闘」は、行った後に評価として使う言葉です。相手から「力戦奮闘していたね」と言われれば、自分自身が頑張った姿を見てくれていたのだと嬉しく感じるはず。自分の様子を表現するために使うだけでなく、ぜひ、褒め言葉として使ってみてはいかがでしょうか。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「力戦奮闘」の意味や使い方は?例文や類語を本の虫ライターがわかりやすく解説!

「勇往邁進」

「勇往邁進」は「ゆうおうまいしん」と読みます。あまり有名な四字熟語ではありませんが、今を頑張っているすべての人に当てはまる四字熟語といえるでしょう。意味は、目標に向かってよそ見をせずに勇ましく前進すること。目標に向かって一直線に走り切る姿は「力戦奮闘」と同じだといえるのではないでしょうか。

「勇往」は勇ましく前進すること。「邁進」は恐れず突き進むという意味になります。どちらも大変ポジティブな言葉ですよね。どのような困難が待ち受けようとも、目標を達成するまで諦めないという意思表示として使うとよいでしょう。

「力戦奮闘」の対義語は?

「力戦奮闘」は全力を尽くして努力するという意味ですから、正反対の意味となると「ずっと全力を出すことはない」という意味になってしまいます。さすがに、そのような寂しい四字熟語は存在しません。そこで今回は、「困難から逃げる」もしくは「努力をしようとしない」といった意味合いで対義語をご紹介します。

「一時逃れ」

試練が待ち受けている場合、そのまま困難に立ち向かうか、それとも何かのせいにして逃げるか、2つのパターンが考えられますよね。「一時逃れ」は、その場で適当な言い訳をして責任や困難から逃げようとすることを指します。これは、一時しか効果はありません。あとで苦労することは目に見えている時に使う言葉です。

本来であれば、問題が複雑になる前に、できるだけ早く解決したいですよね。ところが、その場で片付ければ楽なのに、放棄してしまう人を見かけたことがあるのではないでしょうか。どのような言い訳しても、あくまで一時逃れ。本人の首を絞めてしまうだけなので、「一時逃れ」の言い訳は避けたいところです。

「苟且偸安」

馴染みのない漢字ばかりですが「苟且偸安」は「こうしょとうあん」と読みます。試練とは、目標や夢があるからこそ訪れる困難ですよね。しかし、そもそも目標もなく、楽なことばかりしていたら、絶対に試練に出会うことなどありません。「苟且偸安」は将来をろくに考えず、楽なことばかりしていることを意味します。

「苟且(こうしょ)」はその場限りかりそめという意味。「偸安(とうあん)」は、目先の安楽を求めるという意味になります。たまには息抜きも必要でしょう。しかし、楽なことばかり選んでいると、将来、後悔する結末が待っているかもしれません。「苟且偸安」をしてもいいですが、いざという時は「力戦奮闘」することをおすすめします。

「尸位素餐」

「尸位素餐」は「しいそさん」と読みます。意味は、一定の地位にいながら責任を果たさず無駄に給与をもらっていること。もしかしたら、あなたの職場にもいるかもしれませんね。部下の立場からすれば、やはりリーダーとなる者は、責任から逃げずに一緒に困難へと立ち向かって欲しいはずです。ところが、上司が最初から責任を負うつもりもなく、給与だけもらえていればいいと考えていたら、部下はどう思うでしょうか。

「尸位(しい)」は、才能や人徳もないのに良い地位に就いていること。「素餐(そさん)」は、功績や才能もないのに良い給料をもらっているという意味になります。ただし、本人は「力戦奮闘」しているつもりなのに、「尸位素餐」と言われたらショックを受けるはず。「尸位素餐」を使う場合はくれぐれも注意しましょう。

「力戦奮闘」の英訳は?

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では、「力戦奮闘」を英語にすると、どのような表現があるのでしょうか。

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