端的に言えば、右往左往の意味は「あわてふためいて混乱すること」です。平治物語の一節に記述があることから、鎌倉時代にはすでに使われていたことがわかる。文字を見ただけでも混乱している様子がわかる表現ですが、意味と使い方をしっかり学んでおこう。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「右往左往」の意味をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「右往左往」の意味
まず、国語辞典で「右往左往」の意味をチェックしましょう。
うろたえてあっちへ行ったりこっちへ来たりすること。あわてふためいて混乱したさまをいう。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「右往左往」
「往(おう)」は「行く」「進む」という意味があります。駅伝の「往路」は「行きの道」のことですね。「右往左往」は右に行ったり左に行ったりすること。うろたえてあちらに行ったりこちらに行ったりする様子が目に浮かびますね。
「右往左往」は「あわてふためいて混乱すること」という意味です。古くは「うおうざおう」とも言いました。「大勢の人があわてて右に行ったり左に行ったり混乱する」という語釈を載せている辞書もありますが、ひとりであわてふためいている場合にも使えますよ。
「右往左往」の語源は?
「右往左往」の語源ははっきりしていません。しかし、平治物語の一節に「大内には六波羅よりよするとて兵ども右往左往にはせちがひ」とあり、「右往左往」という言葉が使われていることがわかります。平治物語は平治の乱を描いた軍記物語。作者は不詳ですが、13世紀なかばごろには成立していたと言われていますので、「右往左往」の表現もかなり古くから使われていたことがわかります。
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「右往左往」の使い方
次は例文で「右往左往」の使い方を見ていきましょう。
1.事前に地図を確認しておいたのに、急に変更になったため会場にたどり着けず、右往左往した。
2.「彼女を連れてこれから家に行く」と兄から急に連絡がきたため、母が右往左往しているが、家の中は雑然としたままだ。
最初の例文は、せっかく予習しておいたのに場所の変更があったため、会場を探してあっちへ行ったりこっちへ行ったりしたという意味です。2番目の例文は、急に大切なお客が来ることになったのに、あわてふためいて片付けが手につかないという意味ですね。「右往左往」は状況を的確に把握できなかったり、予期せぬ出来事が発生したりして、あわてふためき混乱する様子を表現しています。
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