化学

5分でわかる「不飽和脂肪酸」!元家庭教師がわかりやすく解説

よぉ、桜木建二だ。今回は「不飽和脂肪酸」について学ぶぞ。

飽和とは飽和水溶液(もうこれ以上溶質が溶けない溶液)、飽和水蒸気圧(空気1m3に溶ける最大の水蒸気の量)という言葉があるように容量最大限までいっぱいな状態のことだ。そして脂肪酸とは有機化合物の一種で、炭素原子が一列に連なった炭素鎖(R)にカルボン酸(-COOH)が付いたもののことだ。では不飽和脂肪酸とは一体何が飽和していない脂肪酸のことだろうか。

脂肪酸や不飽和脂肪酸の仲間についてを工学部化学系院卒の元家庭教師、たかはしふみかが解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

たかはし ふみか

ライター/たかはし ふみか

高校時代は化学部、大学では化学を専攻していたリケジョ。高校時代に脂肪酸を使った実験をしていたため、有機化学を学ぶ前から不飽和脂肪酸を数種類知っていた。大学時代に実験助手や家庭教師のバイトをする。

不飽和脂肪酸をより理解するために、有機化合物のおさらい

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不飽和脂肪酸について学ぶ前に有機化合物についておさらいしましょう。

有機化合物とは炭素原子を骨格に水素や酸素、硫黄などの原子からできた化合物です。ちなみに炭素と酸素からできていても一酸化炭素、二酸化炭素は有機化合物ではありません

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有機化合物にはたくさんの種類があり、似た構造の化合物もたくさんあります。有機化合物の中には炭素が長く連なった構造の物質も存在しているのです。炭素と水素でできた鎖を炭素鎖(炭化水素)といい、Rと表します。

有機化合物の多くはその物質の特徴を決める官能基を持っているのです。例えばエタノールなどのアルコール類。アルコールはヒドロキシル基(-OH)を持ち、R-OHと表されます。メタノールはRがCH3 -、エタノールはCH3CH2 -となっているのです。

脂肪酸の基本的な化学式はR-COOHとなります。官能基としてカルボン酸がついているのですね。脂肪酸にはカルボン酸が1つだけついていて、この状態を1価のカルボン酸と呼びます。

炭素が連なってできるアルカン、アルケン、アルキンについてはこちらの記事をどうぞ。

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官能基を覚えないと有機化学は物質を覚えられない。

逆に言うと官能基を覚えれば、反応も理解しやすくなるぞ。

脂肪酸て何?

脂質は人間の体に欠かせない三大栄養素のひとつであり、エネルギー源となる他ホルモンを生成する、皮下脂肪として体や臓器を守る、という役割があります。その一方で摂取しすぎは心臓病などの原因となるので注意が必要です。

脂質は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。飽和脂肪酸は動物性に多く含まれ、不飽和脂肪酸は魚類や植物性に多く含まれているのです。常温で固体となる飽和脂肪酸が多いと血液が固まりやすくなってしまいます。一方、不飽和脂肪酸はLDL(悪玉コレステロール)を減らして血をサラサラにしてくれるのです。

高級脂肪酸ってなに?

脂肪酸は炭素鎖の長さ(連なる炭素の数)で呼び方が異なります。

一般的には

・炭素が2~4個  短鎖脂肪酸(低級脂肪酸)

・炭素が5~12個 中鎖脂肪酸

・それ以上    長鎖脂肪酸(高級脂肪酸)

と区別されているのです。

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油脂は3つの高級脂肪酸と1つのグリセリン(3価のアルコール)からできています。脂肪酸がグリセリンでエステル化(アルコールとカルボン酸の脱水反応)したものが油脂なのです。

油は常温で液体のもののことでナタネ油やゴマ油のこと、脂は常温で固体のものでラードなどが当てはまります。

トランス脂肪酸ってどんなもの?

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不飽和脂肪酸でよく耳にするのはトランス脂肪酸についてでしょう。トランス脂肪酸とは水素を付加した部分硬化油を製造するときにでき、マーガリンやショートニングがトランス脂肪酸に分類されます。マーガリンは人工的に作られているのですね。

このトランス脂肪酸はLDLコレステロールを上げ心臓疾患につながり最悪の場合は死亡することもある、とあまり良いイメージがありません。一方、魚油などに含まれる天然の不飽和脂肪酸は通常シス型で存在しています。

天然と人工の油脂で差が出るのですね。

「シス」と「トランス」

「シス」と「トランス」

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ここで「シス」と「トランス」について簡単に確認しましょう。

炭素鎖中に二重結合がある場合、二重結合の場所で炭素鎖は折れ曲がってしまいます。この時、二重結合の前後で炭素鎖が同じ側にあるのがシス反対側にあるのがトランスです。図に示したマレイン酸とフマル酸のように同じ化学式なのに構造が異なる化学物質を構造異性体と言います。

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脂肪酸とはR-COOHで表される1価のカルボン酸、不飽和脂肪酸とは二重結合をもった脂肪酸のことなんだな。

不飽和脂肪酸の仲間

不飽和脂肪酸についてわかったところで、どんな物質があるのか確認しましょう。

オレイン酸

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オレイン酸C17H33 -COOHと表され、融点は13℃で二重結語を1つ含む脂肪酸です。動物性脂肪や植物油に多く含まれています。オレイン酸はオリーブオイルから単離されました。オレイン酸は黄色っぽい色をしていて、水には溶けづらい一方で有機溶媒には溶けます。

リノレン酸

リノレン酸C17H29 -COOHと表され二重結合を3つも持っている不飽和脂肪酸です。二重結合の位置によってα-リノレン酸とy‐リノレン酸が存在しています。オメガ3脂肪酸であるα-リノレン酸は体に必要な必須脂肪酸で、多くの植物油の他くるみにも含まれているのです。

体内でα-リノレン酸はDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)に変換されます。DHAといえば青魚類に豊富に含まれる栄養素ですね。トランス脂肪酸はLDLコレステロールを上げますが、同じく不飽和脂肪酸のリノレン酸から生成されるDHAやEPAはLDLコレステロールを下げて血液をサラサラにしてくれます。

アラキドン酸

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アラキドン酸C19H31 -COOHと表され4つも二重結合を持つ不飽和脂肪酸です。肉や卵、魚、そして母乳にも含まれています。その一方、植物にはほとんど含まれていません。

アラキドン酸は神経細胞の生成と関係があり、記憶力や学習能力にも影響すると言われています。

リノール酸

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リノール酸C17H31 -COOHと表され、融点は-5℃です。二重結合を2つもっています。ベニバナ油やコーン油、大豆油などの植物油に多く含まれている脂肪酸です。

リノール酸は血中コレステロールや中性脂肪を一時的に下げる作用を持つ一方で、摂取しすぎはアレルギーや大腸ガンのリスクがあります。どんなに健康に良い食品でもほどほどにという事ですね。

一緒に覚えたい、飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸とあわせて飽和脂肪酸についても解説します。

ラウリン酸

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ラウリン酸はC11H23 -COOHで表されます。ココナッツオイルやヤシ油に含まれ、抗菌作用を持つ脂肪酸です。また、せっけんやシャンプーにも含まれています。

安価で無毒、保存しやすいことから理科の実験にも使われている脂肪酸です。

ステアリン酸

C17H35 -COOHで表されるステアリン酸。ステアリン酸は常温では固体で、ろうそくの原料にもなっている脂肪酸です。

ステアリン酸のナトリウム塩は石鹸や洗剤として家庭でも使われています。また大豆油などの植物性の油に含まれる植物由来の成分であること、さらに肌に潤いを与えてくれることから化粧品の成分としても使われている成分です。

食事が健康に大きく影響、不飽和脂肪酸

不飽和脂肪酸は食品を通して人の体に取り入れられています。その中には体に良い物もあれば悪い物もあり、正反対の効果を持つものもあるのです。

不飽和脂肪酸とは二重結合を持ち、まだ水素の入る余裕がある脂肪酸のことを言います。二重結合は化合物の構造を理解する上で大切なポイントです。しっかりと理解しましょう。

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たかはし ふみか