この記事では、「真実一路」について解説する。
もう語感からして「真実一路」は、いい意味しかなさそうですね。真実への道ってイメージを受けるが、その道がいったいなんなのかって聞かれると、ちょっとあやふやにしか答えられん。
そこで今回は、移り気グセがあって一途とは程遠いライターである、ぷーやんを呼んです。まるで対岸にあるような「真実一路」の意味と使われ方について、逆に俯瞰できてるでしょうから、説明してもらおうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。なにかと熱しやすく冷めやすい性格だが、冷めるまでは徹底的にのめり込む。

「真実一路」の意味とは?

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さっそくですが「真実一路」について、辞書検索と例文で意味を押さえていきます。

「真実一路」を辞書でみてみよう!

「真実一路」を辞書で調べると、次のように書かれています。なお、読み方は「しんじついちろ」です。

偽りのない真心をもって一筋に進むこと。▽「真実」はまこと・ほんとうのこと。「一路」は一筋の道、一筋の道をまっすぐに、ひたすらの意。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂) 「真実一路」

「真実」は「嘘偽りのないこころ」を意味します。「一路」はまっすぐな道のイメージで、辞書にある通り「ひたすら」の比喩表現ですね。

「真実一路」の使い方を例文でみてみよう

辞書で言葉の意味を押さえたら、次は例文で使い方を把握していきましょう。

1.「真実一路」に勉強に励んだ彼は驚くほどテストで点数を取れるようになり、模試の全科目平均点が15%上がった。
2.なにかに「真実一路」に打ち込んでいる人は、内面が大きく変わっていることがある。直近では目に見えた成果がないからと油断していると、気づいたときには埋められないほど差が開いているものだ。

例文1は、筆者の同級生の実話です。そして例文2はその結果のお話。中学時代は同じくらいの成績だった『彼』は、高校でずいぶんと頑張ったようです。大学受験を控える頃には、『彼』は旧帝大を射程圏にしていました。

「真実一路」に類義語はある?

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ある言葉の意味について知るとき、その関連語を調べておくことは、より深い理解につながります。「真実一路」の類義語には、どんなものがあるでしょうか。

一意専心:一つのことに注力する

漢字を一つずつに分解して文を作ると、『心を専ら(もっぱら)一つの意(考え)に集中する』となります。「一筋にすすむ」ニュアンスをもつ「真実一路」の類義語として、適切といえるでしょう。

一心不乱:こころを乱さずに集中する

よく聞く表現ではないでしょうか。目標に向かって、がむしゃらに突き進んでいく様子が想像できますね。

全身全霊を傾ける:すべての力を注ぎ込む

一点集中で全力投球するような、短距離走的なイメージの言葉です。どちらかというと長距離走的な「真実一路」とは、力の入れ方にすこしの違いを感じられます。

「真実一路」の対義語2選!

類義語の次は、対義語を2つご紹介します。

\次のページで「意志薄弱:決断や我慢ができない様子」を解説!/

意志薄弱:決断や我慢ができない様子

意志が弱くて、なにかを決断することができないことを示した言葉です。

薄志弱行:ものごとを続けられない

意志が弱い点は「意志薄弱」と同じですが、「薄志弱行」はなにかをやり遂げる力に乏しいことまで含みます。

「真実一路」は英語ではなんという?

類義語と対義語をみてきました。これらに加えて、関連語のひとつとして英語訳もみておくと、案外言葉の理解が進むもの。「真実一路」の英語訳はどのようになるのでしょうか。

single minded:ひたすらに

直訳すると「ただ一つのことを気にかける」です。「真実一路」に近い、「ひたすらに」や「一意専心」などと意訳されます。

path of sincerity:真実一路

こちらも直訳すると「誠実なる道」です。「真実」と「一路」をそれぞれ英訳して、つないだような表現といえそうですね。

人生は自分の真実探し?

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桜木先生の持たれた疑問は、決して特異なものではないと思います。「真実一路」という四字熟語の理解を確かなものにするためにも、「真実」とは一体なにを指すのかを考えてみましょう。

\次のページで「自分の真実は『いつもひとつ』じゃない?」を解説!/

自分の真実は『いつもひとつ』じゃない?

「真実」とは「飾っていない、偽りのないこころ」と辞書にありましたね。「本心」とか、「等身大の自分」と言えばイメージがしやすいでしょうか。ここで一つ注意しておきたいことがあります。それは、「偽りのないこころ」も年齢とともに変わっていくかもしれないということ。

言わずと知れたアニメ『名探偵コナン』の名台詞に、『真実はいつもひとつ』とあります。殺人事件の真相はどれだけときが経っても一つだけでしょう。しかし子どものころと大人になってからでは、「自分の偽りのないこころ」が違っていることを体感されている方も多いのではないでしょうか。

エリクソンの『発達段階』とは?

発達心理学者であり著名な精神分析家であるエリクソンは、人生を8つの段階に分けてそれぞれにおける課題を提唱しました。その時期と課題の内容は次の通りです。

1.乳幼児期(0~1歳半):基本的信頼と不信
2.幼児期(1歳半~3歳):自律性と恥
3.遊戯期(3~5歳):積極性と罪悪感
4.学童期(5~12歳):勤勉性と劣等感
5.青年(思春)期(12~20歳):アイデンティティの確立
6.成人期(20~39歳):親密性と孤独
7.壮年期(40~64歳):生殖と自己没頭
8.老年期:(65歳~):自己統合と絶望

例えば『自分とは何者か』を探求して葛藤する青年期と、アイデンティティがある程度固まったあとの成人期とでは、『こんな人間になりたい』という「自分の真実」は違って当然でしょう。

あるいは成人期と壮年期との違いは、もっとイメージしやすいかもしれません。前者は『自分と他人の価値観のすり合わせ』が、後者は『価値観の違いを前提としたうえで後継を育てること』が課題です。『若気の至り』というように、若いうちは血気盛んに自分の意見をぶつけていくことが多いもの。一方で年を取ると、そんな若者を温かく見守って、自分が得てきたものを伝えていくことが仕事になります。

このように人生のステージによって、自分とは変わっていくものです。それにともなって、「自分の真実」も変わっていくのが道理でしょう。

「自分の真実」は自分だけのもの!

人生の段階ごとの課題について、葛藤しながら成長していくわけですね。しかしそのペースやバランスの取り方は、人それぞれ。特に年齢の小さいうちは、周囲の環境も大きく影響するでしょう。

さらには、発達心理学としてだれにでも同じ人生の課題が設定されていますが、自分の人生は自分だけのものです。どれだけ似ている人がいても、課題へのアプローチの仕方や向き合い方が全く同じということはありえません

『同じ人はいない』ということは、「自分の真実」は自分の中にだけあるということ。そして年齢とともに課題が変わり、「自分の真実」も変わり得るわけです。したがって「自分の真実」とは、人生をかけて探し続けるものといえそうですね。

「真実一路」は絶対不変ではありません

この記事では「真実一路」について、言葉の意味を関連語とともに解説しました。また「一路」の行く先を定める「自分の真実」が、人生の段階によって変わる可能性を考えてみました。

『前は○○って言ってたのに』『昔とは変わったな』などは、しばしば耳にするセリフではないでしょうか。若干寂しさや批難を含んだ言い回しですね。しかし人として成熟していくことで、「自分の真実」とか「信念」といったものは変わっていくものです。ころころ移り気で流されやすいのはダメですが、いつまでも昔の発言を取り沙汰するのもいかがなものか、と思います。

この記事が「真実一路」という言葉を使いこなすことと、「自分の真実」と向き合ってみるきっかけになれば幸いです。

" /> ドラマや小説もご用達!「真実一路」の意味・使い方・類語・対義語をWEBライターが簡単にわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

ドラマや小説もご用達!「真実一路」の意味・使い方・類語・対義語をWEBライターが簡単にわかりやすく解説!

この記事では、「真実一路」について解説する。
もう語感からして「真実一路」は、いい意味しかなさそうですね。真実への道ってイメージを受けるが、その道がいったいなんなのかって聞かれると、ちょっとあやふやにしか答えられん。
そこで今回は、移り気グセがあって一途とは程遠いライターである、ぷーやんを呼んです。まるで対岸にあるような「真実一路」の意味と使われ方について、逆に俯瞰できてるでしょうから、説明してもらおうか。

ライター/ぷーやん

webライター歴7年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。なにかと熱しやすく冷めやすい性格だが、冷めるまでは徹底的にのめり込む。

「真実一路」の意味とは?

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さっそくですが「真実一路」について、辞書検索と例文で意味を押さえていきます。

「真実一路」を辞書でみてみよう!

「真実一路」を辞書で調べると、次のように書かれています。なお、読み方は「しんじついちろ」です。

偽りのない真心をもって一筋に進むこと。▽「真実」はまこと・ほんとうのこと。「一路」は一筋の道、一筋の道をまっすぐに、ひたすらの意。
出典:新明解四字熟語辞典(三省堂) 「真実一路」

「真実」は「嘘偽りのないこころ」を意味します。「一路」はまっすぐな道のイメージで、辞書にある通り「ひたすら」の比喩表現ですね。

「真実一路」の使い方を例文でみてみよう

辞書で言葉の意味を押さえたら、次は例文で使い方を把握していきましょう。

1.「真実一路」に勉強に励んだ彼は驚くほどテストで点数を取れるようになり、模試の全科目平均点が15%上がった。
2.なにかに「真実一路」に打ち込んでいる人は、内面が大きく変わっていることがある。直近では目に見えた成果がないからと油断していると、気づいたときには埋められないほど差が開いているものだ。

例文1は、筆者の同級生の実話です。そして例文2はその結果のお話。中学時代は同じくらいの成績だった『彼』は、高校でずいぶんと頑張ったようです。大学受験を控える頃には、『彼』は旧帝大を射程圏にしていました。

「真実一路」に類義語はある?

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ある言葉の意味について知るとき、その関連語を調べておくことは、より深い理解につながります。「真実一路」の類義語には、どんなものがあるでしょうか。

一意専心:一つのことに注力する

漢字を一つずつに分解して文を作ると、『心を専ら(もっぱら)一つの意(考え)に集中する』となります。「一筋にすすむ」ニュアンスをもつ「真実一路」の類義語として、適切といえるでしょう。

一心不乱:こころを乱さずに集中する

よく聞く表現ではないでしょうか。目標に向かって、がむしゃらに突き進んでいく様子が想像できますね。

全身全霊を傾ける:すべての力を注ぎ込む

一点集中で全力投球するような、短距離走的なイメージの言葉です。どちらかというと長距離走的な「真実一路」とは、力の入れ方にすこしの違いを感じられます。

「真実一路」の対義語2選!

類義語の次は、対義語を2つご紹介します。

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