端的に言えば、再三再四の意味は「何度も何度も」です。意味はわかるでしょうが、「再三再四」は、使うのを避けたほうがよいシチュエーションがあることは知っているか。
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「再三再四」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「再三再四」の意味
まず、国語辞典で「再三再四」の意味をチェックしましょう。
再三を強めていう語。ある動作がくりかえし何度も行なわれるさま。たびたび。多く副詞的に用いる。
出典:日本国語大辞典精選版「再三再四」
「再三」は「ある動作が二度も三度も行われること」「たびたび」「しばしば」という意味です。「再三再四」は「再三」を強調する言葉で「ある動作が繰り返し何度も行われること」ですよ。「再三再四」は名詞ですが、「再三再四注意する」というように、よく副詞的に用いられます。
「再三再四」の語源は『紅楼夢(こうろうむ)』
「再三再四」の語源は『紅楼夢』です。『紅楼夢』は清朝の中期、乾隆帝の時代に曹雪芹(そうせつきん)よって書かれた小説ですよ。上流階級の貴公子と彼を取り巻く女性たちの心理が繊細に描かれており、映画化やテレビドラマ化もされています。日本でいうなら源氏物語といったところでしょうか。
「再三再四」の使い方
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「再三再四」は「重ね言葉」です。「重ね言葉」は、使うシチュエーションを間違えるとマナー違反になってしまうこともあるので説明しましょう。例文で実際の使い方もみてみましょう。
「再三再四」は重ね言葉!
「再三再四」「くれぐれも」「重ね重ね」など、意味を強めるため同じ言葉を重ねて用いた言葉を重ね言葉と言います。重ね言葉は、結婚式や葬儀で避けた方がよいとされる忌み言葉のひとつ。「再三再四」は結婚式では再婚を連想させる言葉ですし、葬儀では不幸が重なることを連想させてしまいます。「何度も」と言いたいときは「頻繁に」「大変多く」など別の言葉に言い換えましょう。
「再三再四」の例文
例文で「再三再四」の使い方を見ていきましょう。
1.医者から、酒とたばこをやめて摂生するようにと再三再四言われていたのに、彼は決してやめようとしなかった。
2.この交差点にカーブミラーを設置してほしいと、市役所に再三再四要望を出していたが、設置される前に交通事故が起きてしまった。
3.先輩の結婚式のスピーチで「先輩はミスを連発する僕に再三再四ダメ出ししてくれた」と言おうとしたら上司から「NGワードがいっぱいで、これではだめだ」と添削された。
最初の例文は、彼は医者から何度も禁酒禁煙と言われていたのに、やめようとしなかったという意味です。「再三再四言われる」というように副詞的に用いられることが多いですよ。
2番目の例文は、市役所にたびたびカーブミラーの設置を要望していたが、要望がかなう前に事故が発生してしまったという意味です。「再三再四」は「再三再四○○したがダメだった」という文脈で使われることが多いですね。
3番目の例文は、スピーチの文面に「ミスを連発」「再三再四」という重ね言葉が入っていたので、上司に添削されたということです。先輩に感謝を伝えたいなら、マナー違反にならないように言い換えしましょう。
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