この記事では「三者三様」について解説する。

端的に言えば三者三様の意味は「人間は様々」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、四字熟語のライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「三者三様」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は四字熟語の「三者三様」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「三者三様」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三者三様」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「さんしゃさんよう」で、使われている漢字をそのまま理解すると、「三人の人には三つの様子がある」というような意味になりますね。ただし、「三者三様」は必ずしも三人という人数であるとは限りませんので注意してください。

文化人類学が誕生した頃、ある未開民族の老人に年齢を質問したところ、その老人はなんと「3歳だ」と答えたというのです。実はその民族には、数字は1と2と3の3種類しかないというだったのですね。つまり、3は「多数」という意味ですから、「三者三様」の「三者」も3人以上の多数の人々と考えても大丈夫ですね。もちろん、百人でも大丈夫でしょう。

「三者三様」の意味は?

三者三様」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、「三者三様」が見出し語にないので、「三者」を引用してみますね。

1.三人の人。三つのもの。「ー会談」「ー三様の解釈」
2.「第三者」の略。「ーの地位に立てばこそ芝居は観て面白い」〈漱石・草枕〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「三者」

国語辞典では、「三者」は「三人の人」または「三つのもの」というように、数字の3にこだわっています。たしかに、例文に挙げられている「三者会談」は、三人の間で行われる話し合いのことですね。ですから、「三者三様」という表現も、もともとは三人を比較してそれぞれ別のものだということを意味しているのですね。ただ、三人がそれぞれ別のものだとすれば、三人以上でも同じことになりますね。

国語辞典には、「三者」が「第三者」の略であるとも書かれていますが、「第三者」とは「当事者以外の人」のことをいいますね。英語で、主語には一人称・二人称・三人称の三つの人称があることは知っていると思いますが、一人称は「自分」、二人称は自分が話している「相手」のことで、三人称はそれ以外の人や物すべてですから、まさにこの「第三者」ということになりますね。

「三者三様」の使い方・例文

三者三様」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「三者三様」の類義語は?違いは?」を解説!/

考え方や意見などは三者三様だということを心得て、会議を進めていく必要がある。

人はみんな性格も好みも三者三様だから、サービス業に従事する者は、それに合ったやり方を身につけることが大切だ。

三者三様とはいうけれど、それぞれの人たちの行動などを観察していると、それほど大きな差はないように思えるのだけれど。

それぞれの人の個性を尊重するという意味のキーワードとして、「三者三様」という慣用句が用いられますね。しかし、会議などは、一定の合意に達する必要がありますから、みんなバラバラではよくありませんね。各人の個性や意見などを尊重しつつ、誰もが納得できる結論に達することが大切ですね。

「三者三様」の類義語は?違いは?

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三者三様」の類義語として、「十人十色」と「千差万別」を紹介しておきましょう。

「十人十色」

十人十色」の読み方は「じゅうにんといろ」で、とくに「十色」は「といろ」という変わった読み方をしますので注意してくださいね。この四字熟語の漢字を見れば、人が十人いたらそれぞれ「色」が違っているということですね。この「色」ですが、考え方や好みなどのことを言いますから、ふつうの色とは違いますね。十人の人がいたら、十種類の考え方や好みがあるということですが、「三者三様」より見かけ上人数が多いことは、気にする必要はありませんよ。

彼はいつも奇抜な洋服を着ているけれど、十人十色だからそれもいいのだろう。

このビジネスにはたくさんの人が参入していて、それぞれ違った方針と目標をもって動いているのは、十人十色だから当たり前のことだろう。

\次のページで「「千差万別」」を解説!/

「千差万別」

千差万別」の読み方は「せんさばんべつ」で、意味は「さまざまな違いがあること」ですね。「三者三様」と違うのは、人の個性の違いより大きな枠でのさまざまな違いのことを指していますよ。

哲学が究極的に探し求める真理はたった一つのはずなのに、哲学を勉強していると、哲学者の考え方が千差万別であることに驚かされる。

「三者三様」の対義語は?

三者三様」は、人はそれぞれ個性も違えば考え方なども違うということですから、その対義語として「画一」を紹介することにしますね。

「画一」

画一」の読み方は「かくいつ」で、意味としては、個性や特徴などを無視してすべてのことを一様のものとしてそろえることです。「画一化する」というように使いますね。また「画一的」というと、何もかもが一様で個性や特徴がない様子を表しますね。

教育の現状を見ていると、生徒の個性や能力などを無視して、画一化されつつあるのではないかと危惧している。

彼の意見はいつも画一的で、なかなか受け入れられるものではない。

「三者三様」の英訳は?

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三者三様」をそのまま英語訳すると、Each of the three is different from the other two.となりますね。また、英語のことわざに、So many men, so many minds.というのがありますので、これを「三者三様」に対応する英語表現と考えることができますね。

\次のページで「「Each of the three is different from other two.」」を解説!/

「Each of the three is different from other two.」

「三者三様」は「三人の人がいたらそれぞれ違っている」ということなので、それを、「三人のそれぞれは他の二人とは違っている」というふうに英語訳することができますね。それが、Each of the three is different from other two.という英文ですね。

「So many men, so many minds.」

So many men, so many minds. は英語のことわざなので、語調がいいですね。peapleを使わずにmenと表現されているのが面白いですね。このことわざを日本語に訳すと、「人の数だけ心がある」ということになるでしょう。

「三者三様」を使いこなそう

この記事では「三者三様」の意味・使い方・類語などを説明しました。「三者」について、国語辞典の説明を越えて考えてみましたが、どうでしたか。「三者三様」は各人の個性を尊重する言葉ですが、ときには自分の意見などを抑えて、規則などに従うことも必要ですから、好き放題にやっていいということではありませんよ。

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国語言葉の意味

【四字熟語】「三者三様」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「三者三様」について解説する。

端的に言えば三者三様の意味は「人間は様々」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語塾講師で、四字熟語のライターをしているトミー先生を呼んです。一緒に「三者三様」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トミー先生

元国語塾講師で、通信教育で英語と国語の「赤ペン先生」などもやっていた。実はドイツ語が得意で、外国語を学ぶことにより国語を理解するのに役立つと実感している。今回は四字熟語の「三者三様」について、語源と意味と使い方を自分でしっかり理解できるよう、わかりやすく解説していく。

「三者三様」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「三者三様」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。読み方は「さんしゃさんよう」で、使われている漢字をそのまま理解すると、「三人の人には三つの様子がある」というような意味になりますね。ただし、「三者三様」は必ずしも三人という人数であるとは限りませんので注意してください。

文化人類学が誕生した頃、ある未開民族の老人に年齢を質問したところ、その老人はなんと「3歳だ」と答えたというのです。実はその民族には、数字は1と2と3の3種類しかないというだったのですね。つまり、3は「多数」という意味ですから、「三者三様」の「三者」も3人以上の多数の人々と考えても大丈夫ですね。もちろん、百人でも大丈夫でしょう。

「三者三様」の意味は?

三者三様」には、次のような意味があります。手元にある国語辞典には、「三者三様」が見出し語にないので、「三者」を引用してみますね。

1.三人の人。三つのもの。「ー会談」「ー三様の解釈」
2.「第三者」の略。「ーの地位に立てばこそ芝居は観て面白い」〈漱石・草枕〉

出典:デジタル大辞泉(小学館)「三者」

国語辞典では、「三者」は「三人の人」または「三つのもの」というように、数字の3にこだわっています。たしかに、例文に挙げられている「三者会談」は、三人の間で行われる話し合いのことですね。ですから、「三者三様」という表現も、もともとは三人を比較してそれぞれ別のものだということを意味しているのですね。ただ、三人がそれぞれ別のものだとすれば、三人以上でも同じことになりますね。

国語辞典には、「三者」が「第三者」の略であるとも書かれていますが、「第三者」とは「当事者以外の人」のことをいいますね。英語で、主語には一人称・二人称・三人称の三つの人称があることは知っていると思いますが、一人称は「自分」、二人称は自分が話している「相手」のことで、三人称はそれ以外の人や物すべてですから、まさにこの「第三者」ということになりますね。

「三者三様」の使い方・例文

三者三様」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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